ブッシュ大統領がサウジアラビア訪問、エジプトなどで中東歴訪への抗議運動広がる
2008年01月15日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ブッシュ米大統領、石油価格高騰に対する懸念を表明
■ エジプトで米大統領の訪問に抗議するデモ
■ 米大統領がサウジアラビアに到着、イランの「脅威」と軍備増強に対抗するための新たな武器取引を発表

2008年1月15日付クドゥス・アラビー(イギリス)HP1面

【リヤド、ワシントン、カイロ:本紙、諸通信社】

 ジョージ・ブッシュ米大統領は昨日月曜、同国との大規模な武器取引契約の約束をたずさえ、イランの脅威の克服とイスラエル・パレスチナ間の和平プロセスの促進に向けた努力に対するアブドゥッラー国王の支持獲得への希望を抱いて、サウジアラビアに到着した。

 世界最大の産油国であり湾岸地域最大の合衆国の盟友であるサウジアラビアへの初めての訪問の中で、ブッシュ大統領は石油価格の高騰に関して懸念を表明した。

 48時間にも満たない訪問の間に、ブッシュ大統領はアブドゥッラー国王に対して、イランを孤立させ、2008年末までにイスラエル・パレスチナ紛争の解決を果たすための自らの努力を支持する必要性について説得を試みる。外交筋によると、ブッシュ大統領はイスラエルとの関係樹立に言及すると見られるが、この課題を実現することは困難だと思われる。

 米当局は昨日、政府高官らが「イランの軍備増強に対抗するための努力」と表現する措置の一環として、多数の高性能兵器をサウジアラビアへ売却する計画を議会に報告したと述べた。

 米政府は115億ドル相当の兵器と軍事設備を湾岸諸国に売却する意思を示している。

 米議会にはこの取引に反対することのできる30日間の期間が与えられている。この取引は人工衛星によって誘導される超高性能爆弾が含まれている。

 米当局は、湾岸諸国への武器売却取引はブッシュ大統領のいわゆる「イランの脅威」を阻止するために必要である、と強調した。「イランの脅威」は、ブッシュ大統領の湾岸諸国歴訪の中心的な課題になっている。

 ブッシュ大統領は、サウジアラビアや全ての湾岸諸国がイラン・イスラーム共和国を孤立させる自らの努力に協力するよう願っている。しかしサウジアラビアがブッシュ大統領のこれまでに訪問したアラブ諸国(クウェート、バハレーン、アラブ首長国連邦)と同様にイランの影響力の拡大を懸念しているとしても、それよりもさらに懸念しているのは、現在までイランの権益に寄与してきたイラク戦争の次に、この地域でアメリカの新たな戦争の起こる可能性の方かも知れない。

 アラブ諸国はイランの脅威の存在することを認めているようだが、イランの敵意を刺激することを望んではいないし、自国がイスラエルを支持しているという印象を与えることを望んでもいない。

 サウジアラビアは合衆国でのアナポリス会議に出席したにもかかわらず、ブッシュ大統領が2008年末までにイスラエルとパレスチナの間の和平合意に到達するべく行っている努力を警戒しつつ見守っているようだ。和平合意への到達は、先週イスラエルとヨルダン川西岸の訪問から始まった中東歴訪の第2の目標である。

 米当局は、現在のところエジプトとヨルダンだけが行っているイスラエル承認を公然と呼びかけることは避け、サウジアラビアに対してパレスチナ穏健派への資金援助を提供するよう呼びかけるにとどめている。

 また米政府は、「アブドゥッラー国王こそ、まだ皇太子であった頃にアラブ和平提案を打ち出した人物であり、アラブ連盟もこれを承認している」と述べた。米政府はこの提案によって、アラブ諸国とイスラエルの和解がもたらされ得ると見ている。

 ホワイトハウス高官は昨日月曜、「ブッシュ大統領は今週の中東歴訪における湾岸諸国首脳との会談の中で、石油価格の高騰への懸念について協議した」と述べた。

 エド・ギレスピー大統領顧問は記者に対して、「米大統領と湾岸諸国首脳は市場のあり方と今日の国際市場における莫大な石油需要に関して協議した」と伝えた。

 ブッシュ大統領はドバイからサウジアラビアに到着し、明日水曜のエジプト訪問で中東歴訪を終える。

 カイロでは昨日、訪問に反対するデモが行われ、エジプト各紙は昨日と一昨日に米大統領を非難する記事を掲載したが、注目すべきことには(政府系の)民族主義系新聞もブッシュ訪問への反対キャンペーンに加わった。
ナショナリスト勢力や政党が記者組合の前でデモを行い、ブッシュ大統領の写真を燃やし、訪問反対のプラカードを掲げた。

 また、アラブ諸国の諸勢力や政党はアメリカ大統領の中東訪問を非難し、訪問を「挑発的でうさんくさいものだ」と表現した。また、「人種主義的でテロリストのシオニスト政体の利益を実現し、アラブ諸国間の関係を破壊するために、アラブ諸国の無条件の譲歩をむしりとるという米当局の侵略的な戦略の延長線上に、今回の訪問がある」と述べた。

 アラブ民族会議とイスラーム・民族会議、アラブ政党全体会議は、アルジャジーラ・ネットで一部が公開された声明の中で、今回の忌まわしい訪問が我々の人民と大義と共同体に及ぼす重大な影響を食い止めるためにアラブ人が再び結束するよう呼びかけた。

(後略)

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:12986 )