公開処刑、原則禁止に:シャーフルーディー司法権長が通達
2008年01月31日付 E'temad-e Melli 紙
「今後、公開での処刑を禁ずる」。選挙での資格審査をめぐる騒動がメディアを騒がせている中、司法権長は簡略な、しかしきわめて重要な通達を、全裁判官に向けて発出した。
アーヤトッラー・モハンマド・ハーシェミー=シャーフルーディー司法権長は昨朝、裁判官らに宛てたきわめて短い通達の中で、次のように記した。「今後、死刑執行はいかなるものであっても、公開で行われてはならない。以上により、死刑執行は司法権長の同意があり、社会的要請に基づく場合にのみ、公開で行われるものとする」。
この通達は公開での死刑執行の条件・方法について、裁判官らに規定を設けるだけでなく、国内メディアにおけるこの種の刑罰の報道のあり方についても踏み込む内容となっている。「
処刑に関連した写真や絵を、メディア上で公開することを禁止する。一般・革命検察庁は管轄を問わず、本通達が誠実に実施されるよう監督する義務を負う」。
この通達が発せられてまさに数分後、司法権報道官は、この通達の実施はすべての裁判官・裁判所にとって義務であると語った。
刑の執行方法は裁判官の裁量
〔中略〕
〔他方、司法弁護士の〕バフマン・ケシャーヴァルズ氏は、司法権長の今回の通達に対して、次のような疑問を提起している。「もし判決を下した裁判官が公開での執行〔の正しさ〕を確信し、このことを判決の中に明示した場合、どうすべきであろうか。別言すれば、司法権長の通達はこのような場合、公開での刑執行を抑止することができるであろうか」。
ケシャーヴァルズ弁護士は「判決における裁判官の独立」〔の原則〕をこのように強調して、さらに「判決を下すにあたり、裁判官は絶対的に自由である。裁判官にとって合理的であると判断されるならば、その結果下されたものは判決の一部である」と指摘する。
ケシャーヴァルズ弁護士はその他のイラン市民と同様、検察が
モガッダス判事殺害犯の公開処刑を主張したこと、そして〔麻薬の〕密輸犯らの処刑の様子を写した映像をイラン国営放送の全国ネットで放送すべきであると強調したことを、よく記憶している。同氏は司法権長がこのような通達を行ったもっとも重要な要因として、このような恐怖感を与える映像・写真が一般に流れたことを指摘できるとした上で、次のように述べる。「刑を公開で執行し、さらにその詳細な様子を報じ、映像・写真で流すことは、一般市民に悪影響を及ぼすように思われる。人間の思考は暴力を好むものではない。それゆえ、司法権長もさまざまな推測や統計データなどを通して、このような刑の執行方法は肯定的な影響をもたらさないばかりか、教育に悪影響を与え、さらには正当化することのできない醜悪な行為を働いた者に対して、市民から同情の念すらも喚起しかねないと判断したのではないか」。
同氏はまた、選挙が近いことも今回の通達の重要な要因の一つであるとしている。「恐らく全体的に見た場合、現在の特別な状況もまた、今回の通達に影響がなかったわけではないだろう」。
死刑執行の停止を求める国際社会の声
司法権長が公開処刑を禁ずる通達を発出したのは、国連総会が世界105カ国の賛成多数によって、死刑の廃止を求めてからほんの43日後のことである。潘基文国連事務総長はこのことについて、「これは死刑の完全な廃止に向けて、国際社会が傾きつつあることを示す、もう一つの証拠である」と述べている。
とはいえ、2007年12月18日の国連総会では、105カ国が死刑廃止に賛成する一方、イランや中国、アメリカをはじめとする世界54カ国がこの決議に反対を表明している。また、世界29カ国も決議を棄権している。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:13105 )