ガザ情勢、ハマース休戦の意向
2008年02月13日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ハニーヤ、緊張緩和の方途を探る用意
■ハマース、イスラエルに改めて休戦を呼びかけ、幹部は空襲に備えオフィスを空に

2008年02月13日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【アル=ナーシラ:ザヒール・アンドラーウス(本紙)】

 ハマース勢力は、その指導部を防御する治安措置として公表したとおり事務所を空にしている。その一方で彼らはイスラエルとの休戦の用意があることを表明した。

 警官らは駐屯所を離れ、近隣の木陰などに臨時の場を設定した。ハマース要員のミサイル攻撃に対しイスラエルが警戒レベルを高めたのに応じて、ハマース側は、鉄とコンクリートで出来た警察詰め所が空襲の容易な標的となる事を懸念したための措置である。それ以降ハマース勢力は四散し、大規模な数で集まる事がない。車両の利用もごく稀である。通りでは木陰や建物の影に身を潜めている。ハマース指導部のイスマーイール・ラドワーンによれば、イスラエルの威嚇が彼らを地下へ潜らせているわけではないが、ハマースは指導部防衛の措置を講じている。

 昨日火曜(12日)、パレスチナ首相とされるイスマーイール・ハニーヤは、現在のガザにおける緊迫状態を緩和できる如何なる提案も検討する用意があると発表した。声明でハニーヤは、「安全と公正な平和の道は誰もが承知している。民族としての我々に、その祖国の地での権利を認めるため、占領者は退去し攻撃を止めるべきである。現状を維持する大義名分はない。この目的を実現しえる提案なら何でも検討の用意がある」等述べた。

 火曜、(ガザ政権)外務省政治顧問アフマド・ユースフは、イスラエルが封鎖を解除しハマースに西岸との往来の自由を与える事により現状を沈静化しようという真剣な対応を示せば、それが長期休戦の基礎となろう、と述べた。

 アフマド・ユースフがハマース政府の元で書きハ・アレツ紙にも掲載された社説は、次のように述べている。

 何故未だに頭上にミサイルが降り注ぐのか知りたければ、スディルートの住民は自分達の政府に、何故我々の停戦呼びかけを拒むのか訊ねるべきだ。ミサイル発射の責任は明らかにイスラエルにある。イスラエル軍の日々の侵攻、繰り返される空襲が全民衆を危機にさらしている。マフムード・アッバースが指導するパレスチナ政権とイスラエルとの和平交渉には成功のチャンスがない。パレスチナ側にもイスラエル側にも、パレスチナの土地の最終的地位について合意する用意がない。ハマースは、長期停戦を希望している。それにより、双方の間に、平穏な空気の中で相違を解決し得る余地が広がるだろう。ミサイル攻撃の停止の代わりにイスラエルの軍事作戦を停止する事を目的としたハマース側の休戦の提案を、イスラエルは繰り返し拒否してきた。また、ハマースが尊重してきた平穏な期間にもミサイル発射を続けてきた他のグループ、特にイスラーム聖戦について、ハマースがその行動をあえて阻止しなかった、あるいは、長年ユダヤ国家撲滅を目指してきたハマースは停戦期間を利用して軍事部門を強化するつもりだ、などとイスラエル幹部は示唆した。


 またハニーヤは、次のように述べた。

 政府とそれが代表するもの及びパレスチナ抵抗各派に対する占領側の威嚇は、彼らのパレスチナ民族、特にガザに対する政策がもたらした低迷と失敗の表れであり、同時にそれは敵意の表現でもあり、また内部の危機をパレスチナ問題にすり替えようとする作戦でもある。このような脅しに我々パレスチナ民族は屈する事がない。我々の偉大で強固な意志は尽きる事がないだろう。


 火曜ベルリンで、オルメルト首相は、イスラエルがパレスチナのテロリストとの戦いを断固として続行すると宣言し、あらゆる手段でテロに対抗する計画であると述べた。

 昨年6月ハマースがガザを制圧して以来激しくなったミサイル攻勢に対抗し、イスラエルは今週に入ってハマース指導部の粛清という圧力を高めていた。これらのミサイルにより南イスラエルで数十名の負傷者がでている一方、イスラエルの攻撃による死者は300以上にのぼる。多くが武装グループメンバーである。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13122 )