新指導部選出を前にしたファタハの内部闘争
2008年02月16日付 al-Quds al-Arabi 紙

■バルアーウィー:ダハラーンがかく乱を画策
■ダハラーン:チュニスのアッバース事務所にスパイを放ったのはバルアーウィー
■第6回総会を前にファタハの内部抗争が拡大

2008年02月16日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ガザ、ラーマッラー:アシュラフ・アル=ハウル、ワリード・アウド(本紙)】

新指導部が選出される予定の総会を前に、ファタハ指導部内の争いが表面化しつつある。一方、組織内の大多数は政治プログラムの変更を拒否している。

対立する二大潮流の一方はファタハ中央委員会であり、他方は、ムハンマド・ダハラーンが代表する実力者グループである。組織内の非公開会合や政治サロンで対立していた両派の諍いは、最近マスコミの知るところとなった。双方が、ハマースにガザの制圧を許した昨年の選挙における失策の責任をなすりつけ合う言動に出たためである。

発端は、ファタハ革命委員会メンバーのアブー・アリー・シャーヒーンが、中央委員会を激しく攻撃しマフムード・アッバースを批判した事であった。同氏は、ハマースにガザ制圧を許した一連の事件の直接の責任は中央委員会にあると述べた。中央委員会メンバーのハカム・バルアーウィーが即座に反論し、アッバース大統領はダハラーン一派に充分な可能性を与えた、それにも関らず(ガザ制圧に)失敗したのは、むしろ彼らの責任であるとした。そしてメディアの質問攻勢が沈静化した頃、中央委員会は、ダハラーンの一連の声明によれば、彼がファタハ内部の霍乱を計画し中央委員会をそれに巻き込もうとしていると解されるとして、ダハラーンを攻撃した。

声明でバルアーウィーは、ダハラーンの一連の発言を無責任と評し、ポストを得んがための脅し文句を含んでいる、自らをファタハの権威とみなし、しかも参加する意義を理解していない、このような発言を続ける限り当人は妄想以外の何も得る事はないだろう等、述べた。また、最新のダハラーン声明については、明るみに出た欺瞞と自らの短所を隠そうとして分厚い煙幕を張ったのだと批判した。

近い筋によればダハラーンは、指導部選挙のための第6回総会開催の条件を、自身の中央委員会への参入、もしくは引続き革命委員会に残る事としている。また、この条件が満たされなければファタハ内部をかく乱する用意があると非公式会合で発言した事も伝えられている。しかし、本紙へ届いた声明でダハラーンはこれらを否定し、捏造された妄想劇の出所は決して自分ではない、それらは他者を害する前に自分を害するからである、と述べている。

またダハラーンは、バルアーウィーの声明はマスコミの反応を意識して出されたものであり、その目的は、個人的怨恨をはらす事、彼のような人物と意見を異にし批判するファタハ幹部のイメージを損なう事であると述べた。ダハラーンは、バルアーウィー発言は栄えあるファタハ史上では耳にした事もない誹謗中傷であり全く顧みる価値の無い言葉である、またバルアーウィーがこれまで成し遂げた最重要なことは、同志アブー・マーゼン(アッバース大統領)のチュニス事務所にスパイを潜入させたことぐらいだ、などと述べて攻撃した。

ファタハ内部では、昨年6月ガザを譲った治安組織の堕落の責は中央委員会にあるとするダハラーン、アブー・アリー・シャーヒーンらガザ出身幹部と、ファタハ中央委員会が激しく対立し続けており、他には、捕われのマルワーン・バルグーディを支持する一派、第6回総会を通じて指導部に食い込もうとする一派がある。

各派が各々の手段で開催を目論む第6回総会がファタハの没落を招き、新たな軋轢が生まれるのではと、ファタハ内部でも懸念されている。中央委員会、革命委員会の2つが選挙により刷新される予定の第6回大会につき、革命委員会メンバー、ジブリール・アル=ラジューブは、個々人の利益は遠ざけられるべきであるとして、もしそれが実現されなければファタハの終わりの始まりとなろうと述べた。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13148 )