PKK掃討のため、トルコ軍兵1万人が北イラクに陸路で越境
2008年02月23日付 Radikal 紙
●トルコ軍は、12月以降空から攻撃していた標的であるテロリストに、今回突然の地上攻撃を行った。一昨日、日没と共に1万の兵を動員して始まった作戦で、北イラクの20キロ内部に入った。
●ヘリコプターがこの地域に降下させた奇襲部隊がPKKと戦闘を開始し、軍用機が兵士を空から援護した。参謀本部は、「トルコ軍(TSK)は目的を達したら直ちに国内に戻るだろう」と表明した。
トルコ国軍(TSK)は、標的である北イラクのPKKを「極寒の急襲作戦」で攻撃した。大統領官邸で一昨日夜、作戦計画が説明された国家安全保障評議会(MGK)の会議後、19時に作戦を開始した。ボルドーベレー特殊部隊と、奇襲部隊がヘリコプターで北イラクに降ろされ、一方何百人もの兵士も国境を陸路で越えた。空からの援護を受けながら、10人の将校が凡そ1万の兵を率いて作戦を指揮し、軍隊はいくつかの地域で20キロほど進軍した。作戦では、あちこちでPKKと遭遇し、衝突が起こった。兵士が進軍しなかった地域は、空から軍用機で爆撃された。軍の高官らは、季節の気候条件がネックとなり、軍事作戦は春になるだろうと思わせたと語り、その結果軍事作戦はPKKとって「予期しない」ものであったことを述べた。参謀本部は、「計画された目的を達した後は、軍団は直ちに引き揚げるだろう」と述べた。
■まず大砲が撃たれた
マラトゥヤ第2陸軍司令部の指揮のもと、ディヤルバクル第7軍団司令官代理ベキル・カルヨンジュの派兵指揮で実行された作戦の開始前に、一昨日南東部で大砲が発射された。イラク国境のハッキャーリ県チュクルジャ郡から、標的であるPKKは大砲の攻撃に晒された。40キロの射程距離を持つ榴弾砲は、30キロ離れたザプ、15キロ離れたハクルクと、10キロの距離にあるアヴァシンのPKKのキャンプを標的にした。10時に始まった砲撃は、18時頃に終わった。この間、チュクルジャにヴァンから500台の護送車が派遣され、軍用機も偵察のため飛び立った。同時刻、政府首脳は大統領官邸にてMGKの会議中だった。4時間10分続いた会議で、軍事作戦の全詳細が話された。司令官は代替案をふくめ作戦の計画を説明した。
地上作戦は、日が落ちてから19時に始まった。暗視装置付きシコルスキー型のヘリコプターが、南東部にボルドーベレー部隊と奇襲部隊を降下させた。ハフタニンとザプのPKKキャンプ地区に奇襲部隊が降ろされたすぐ後に、地上からも部隊が越境して標的とする地域に向かった。兵士は北イラクに、ハッキャーリのチュクルジャ郡にあるウズムル地区と、シェムディンリ郡のデレジキ地区から入った。
凡そ600人のPKKがいるこの地域で、奇襲部隊がテロリストらと遭遇し、短い衝突も起きた。ザプのキャンプに、PKKの指導者の一人であり、ダールジャ攻撃を指揮した「アリシェル」というコードネームを持つユジェル・ハリスもいることが明らかになった。
■ヘロンも使用された
暗視装置付きのスーパーコブラ機とコブラ型のヘリコプターが地上作戦を空から援護し、PKKのいる地域を爆撃した。作戦では、地上部隊をディヤルバクルから飛び立った約20基の軍用機が援護した。イスラエルから借用された無人軍用機、ヘロンも使用された。
■標的のキャンプ
軍事作戦では、国境の20キロほど内部にまで広がる多くのPKKのキャンプが標的とされた。90年代の作戦に匹敵するこの大規模な地上作戦の枠組みの中で、384キロに及ぶトルコ‐イラク国境全域では2007年4月以降、兵力が補強されていた。南東部の軍団の兵士数は、15万となっていた。ウルデレ付近の部隊は、シナフト、シェラニス、ハフタニン;スィロピ付近の部隊はザホとメティナ;チュクルジャ周辺の部隊はカニマスィとザプ ;シェムデンリ付近の部隊はスリ、バルザン、バスヤン、アヴァシン、ハクルク地域;バメルニの旧空港に配置されたTSK諸部隊も、担当する地域の他、そこから少し南に位置するガラ山と、周辺のPKKを標的に作戦を実行している。
北イラクで地上作戦が続く中、国境ゼロ地点では戦略的地帯に多くの兵士と戦車が配置された。約60台の戦車が、ハブル国境門を通って地上作戦を援護し、その後再びトルコ国境内に戻った。作戦が続く中、昨日戦車は再び北イラクの標的を砲撃した。
キャンプから逃走したPKKがトルコに入り込むのを防ぐため、通過ルートが封鎖された。前もって住民を立ち退かせた村々に大型テントが張られ、何千もの兵士が陣取った。
■TSKはペシュメルガを警告した
参謀本部は、作戦をインターネットで次のように知らせた:
「TSKは、国内で作戦を続ける一方、イラク北部に設置されたPKK/KONGRA-GEL組織関係者の影響力を削ぎ、南東部における組織的基盤を機能不全に至らしめる目的で、2008年2月21日の10時から18時の間、絞られた標的を、地上に配置された射程距離の長い武器と戦闘機で、効果的な形で攻撃した。首尾よく実行された銃撃後、同日19時から空軍に援護された越境軍事作戦が開始された。地上作戦は今日まで実行された空からの作戦を引き継ぐもので、その標的はPKK/KONGRA-GELテロ組織である。一般人とTSKに敵対行動を取らない地元の諸勢力が軍事作戦により被害を受けないよう、細心の注意を払い続けるつもりである。イラクの国土保全と安定を尊重するTSKは、計画された目標が達成された後は、速やかに国内に引き揚げる。この作戦は、南東部がテロリストにとって恒常的で安全な基地として利用されることを防ぎ、イラクの安定にも貢献するだろうと考えている。報道関係者が作戦の実行される地域に入らないことが、彼ら自身の身の安全と、作戦が確実なものとなるためにも重要である。」
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( 翻訳者:林 奈緒子 )
( 記事ID:13198 )