西エルサレムの神学校でパレスチナ人が銃乱射、イスラエル人7人死亡
2008年03月07日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ガザ地区攻撃への報復としてエルサレムで攻撃 7人が死亡、数十人が負傷
■ 「自由ガリラヤ部隊・殉教者ムグニーヤおよびガザ地区殉教者グループ」 が実行声明を発表
■ エジプトがガザ地区との国境に壁を建設
■ イスラエル軍兵士1人が死亡、ガザ地区南部に対するイスラエル軍の空爆でイスラーム聖戦のメンバー4人が殉教
2008年03月07日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ガザ、ラーマッラー:本紙アシュラフ・アル=ハウル、ワリード・アワド】
パレスチナ人コマンド2人が過激主義ユダヤ教徒の学校へ攻撃を行い、イスラエル人少なくとも7人を殺害し、コマンド2人も殉教した。時を同じくして、イスラーム聖戦の軍事部門であるエルサレム部隊のメンバー4人がイスラエル軍の空爆で殉教した。昨日朝にはイスラエル軍兵士1人がガザ地区で待ち伏せ攻撃によって殺害されている。
ヒズブッラー系のアル=マナールTV局は(ユダヤ教学校への攻撃について)、「自由ガリラヤ部隊・殉教者ムグニーヤおよびガザ地区殉教者グループ」 が作戦を実行し、過激派ユダヤ教徒複数を殺害したとの声明を出したと報じている。
イスラエル警察の報告によれば、木曜日の西エルサレムにおける攻撃ではキルヤート・モシェ地区のタルムードを教える神学校が標的となり、イスラエル人7人が殺害され、他に少なくとも35人が負傷した。諸通信社はイスラエル救護団体メンバーの証言も伝えている。
ある医療関係者はイスラエル軍放送に対し、少なくともイスラエル人7人が死亡、35人が負傷したと伝えた。イスラエルの各メディアが報じた第一報によれば、パレスチナ人コマンド2人が神学校に入って銃を乱射し、その場にいた過激主義ユダヤ教徒たちに死傷者が出た。
イスラエルのラジオは、攻撃を行ったパレスチナ人2人のうち1人は殉教し、もう1人はおそらく逃亡した、と伝えた。
イスラエル警察は、今のところ身元不明の攻撃実行者2人が、銃撃戦の際に殉教したと述べている。1人は神学校において、もう1人は逃亡して近くの建物へ避難したが、半時間にわたる追跡の末、殉教した。
救急車10台以上が現場へ駆けつけた。神学校の向かいに住む女性はイスラエルのラジオに対し、激しい銃撃戦があり現場は恐慌状態に陥っていたと語った。いずれの勢力も、すぐには関与の声明を発表していない。
ガザ地区では武装した人々がこの攻撃を祝福して空中に向けて発砲した。ガザ地区のハマースのメンバーらは拡声器を通じて占領下エルサレムにおける殉教作戦の実行者2人への賛辞を述べたが、攻撃の背後にいる勢力については触れなかった。
ハマースのサーミー・アブー・ズフリー報道官は声明の中で、「この攻撃はガザ地区に対する占領および市民の虐殺という犯罪に対する反応である」と声明で述べた。
一方、ハマースの軍事部門であるカッサーム部隊は「この作戦を祝福する。これはシオニストの巨大なる犯罪に対する報復である」と述べた。
また医療筋およびエルサレム部隊関係者によると昨夜、ガザ地区南部のハーン・ユーニス東におけるイスラエル軍の空爆でエルサレム部隊のメンバー4人が殉教した。
パレスチナ厚生省救護・緊急事態局局長であるムアーウィヤ・ハサネイン医師によれば、木曜夜にカラーラの町に対するイスラエル軍の空爆でパレスチナ人4人が殉教した。
エルサレム部隊は、この殉教者4人が同組織のメンバーであることを声明で述べた。エルサレム部隊はこれに先立って昨日、木曜日にガザ地区で起きた爆発によりイスラエル軍兵士1人が死亡、3人が負傷したことについて関与の声明を出していた。
イスラエル軍はこの事件の発生を確認しており、軍の報道官は、「兵士らがガザ地区中部で保安フェンスに沿ってパトロールしていた際、爆発物が爆発し、兵士1人が死亡、3人が負傷し、うち1人は重傷である」と述べた。
目撃者らは、ガザ地区に隣接するイスラエル軍の拠点近くで大きな爆発音が数回聞こえたと証言し、爆発の後イスラエル軍の車両が燃えているのを見たと述べている。
この攻撃の直後、イスラエル軍がガザ地区に入り、デイル・アル=バラフ近くで活動家らと銃撃を交えた。イスラエル軍機は北部に空爆を行い、医療関係者によればパレスチナ人1人が殉教し、他に1人が負傷した。
イスラーム聖戦は、キソフィームにあるイスラエル軍拠点の近くで起きた爆破について実行声明を出した。
これらの事件が起きたとき、隣国エジプトではガザ地区と周辺地域の事態の鎮静化を実現するための国際的努力が急がれていた。
アメリカのコンドリーザ・ライス国務長官は木曜日に、ガザ地区に平静を回復するためのエジプトの仲介を支援すると発表したが、現在行われている交渉については明確な情報を示さなかった。
ライス長官はブリュッセルでの記者会見の際にエジプトの人々に語りかけ、「エジプトの人々は地域に平静を回復し、ガザの状況の改善を試みるために取り組むと言っている。我々はエジプトの人々がその取り組みに努力してくれることを期待している」と述べた。
またライス長官は、「エジプトの人々は良き同盟者である」と繰り返し、「詳細を明らかにすることはできないが、平静を取り戻す取り組みが行われることが重要であり、交渉を続けることが重要である」と述べた。合衆国はハマースをテロ組織と見なしており、ハマースとの交渉開始を求めるアッバース大統領の呼びかけを今まで拒否してきた。しかしアッバース大統領は水曜日、エジプトを通じてハマースと交渉することについてライス長官が同意したと発表している。
エジプト治安機関の幹部は、エジプト政府高官らとガザの状況を話し合うために、ハマースとイスラーム聖戦の代表団がラファハ通行所を通って木曜日にエジプトに到着した、と述べた。
同幹部は、マフムード・アル=ザッハール率いるハマース代表団とムハンマド・アル=ヒンディー率いるイスラーム聖戦代表団が、アリーシュ市でエジプト政府高官らとガザ地区の状況について合同協議を行う予定であることを明らかにした。
そうしたなかでエジプトは、木曜日にエジプト治安機関関係者が明らかにしたところによれば、ガザ地区との国境沿いに壁の建設を開始した。1月に発生したパレスチナ人活動家らによる国境の壁の破壊が繰り返されることを防ぐためである。
身元を明かさないよう求めたこの関係者は、エジプトがガザとの国境沿いに高さ3メートルの壁の建設を始めたことを述べ、この壁は予防的な措置であり、現在は新たに破壊が行われる恐れはないと説明するとともに、3キロメートル分が完成したことを明らかにした。
国境の通行の動きをイスラエルが監視できるようにカメラを設置するとの合意もあるが、ハマースはこれに反対している。
この関係者は、エジプトが国境の全長(14キロメートル)にわたって壁を建設するのか、あるいは特定のいくつかの地点に建設するのかについては明らかにしなかった。
エジプトはエジプト側のラファハの町で家屋から20メートルの地点に壁を建設している。証言者らは、「壁の建設はエジプトが先月ガザ地区との国境を閉鎖した後に始まった」と述べた。
イギリスの人権諸団体は木曜日、ガザ地区の状況は40年来最悪であると警告し、EUに対してハマースとの話し合いを実施するよう促し、イスラエルがガザ地区に課している封鎖を終わらせるよう要請した。
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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:13309 )