最高裁判所検事局は、与党の公正発展党(AKP)について、「世俗主義に反する活動の拠点となっている」罪で解党を請求し訴訟を起こした。検事局はAKPの設立者として知られるアブドゥッラー・ギュル大統領、タイイプ・エルドアン首相、ビュレント・アルンチ元国会議長を含む、71名のAKP指導者と党員に対して「政治活動の禁止」を求めた。憲法裁判所のハシム・クルチ裁判長は、訴訟の請求が昨日(3月14日)の16時30分に行われたため、この件に関する業務は行われていないと述べ、「月曜に手続きを始めます」と語った。160ページに及び2つのファイルからなる訴訟資料の中で、エルドアン、ギュル、アルンチならびに、数名のAKP議員、自治体の首長による発言と適用行為を証拠として採用したことが明らかにされた。
■ 起訴状内容は不明
最高裁判所検事局は、昨日業務の終了時アナトリア通信に、AKPについて「世俗主義に反する活動の拠点である」と主張し、訴訟を起こしたことを発表した。訴訟に関する書類が憲法裁判所に届けられ、訴訟が行われることが公表された後で業務時間が終了したため、起訴状の内容は不明のままである。
クルチ裁判長は夕方憲法裁判所を出る際に、次のように弁明した:「16時30分頃に最高裁判所検事局は、公正発展党が『世俗主義に反する活動のための拠点になっている』罪により解党を求める訴訟を起こしました。もう16時30分近かったので、この件に関するいかなる業務も行えませんでした。月曜に資料をコピーし、裁判官らに配布されてから作業を始めます。訴訟請求書はまだよく見ておりませんが、ざっと見た限りでは、71人について解党後の政治活動の禁止請求があります。週内に同僚に必要な資料・文書を配ります。首相、ギュル氏、ビュレント・アルンチ氏の名前がリストの冒頭にあるのを見ました。それ以外の名前は見ていません」
クルチ氏は訴訟文書が150-160ページにもなることを明らかにした上で、新聞記者らの「政党助成金(の没収)、警告といった要求はあるのか」との質問に「いえ、そのような要求はありませんでした」と答えた。
■ 「たとえ…」で始まる
入手された情報によると、検事局はAKPの設立以来、常に党の活動を追ってきたが、エルドアン首相が1月14日にマドリードで語った「たとえスカーフが政治的なシンボルであったとしても、あなた方は禁止することが出来るのでしょうか」という発言のあと行動を起こしたという。
エルドアン氏の論議を引き起こした発言の後、民族主義者行動党(MHP)が憲法第10項を改正し、スカーフ問題の解決を提案したことを受けて、AKPも憲法改正の手続きを始めた。エルドアン氏の発言とスカーフのために憲法を改正するというニュースに、最初に反対を表明したのは最高裁判所検事長アブドゥッラフマーン・ヤルチュンカヤ氏だった。ヤルチュンカヤ氏は、エルドアン氏がマドリードで発言した3日後の1月17日に次のような通達を出した:
「政治政党は、共和国の世俗主義的な本質の変更という目的を追い求めることができないように、この目的に向かう活動について、それを公言できない。(なぜなら)この規則の軽視が世俗主義の原理遵守が不可能になるという考えの原因となる。
国家は、社会的あるいは経済的、政治的、法的な基礎体制を、一部であっても宗教的な基盤や信仰に合わせる目的で、あるいは政治的目的で、あるいは政治的利益の保証やその基盤を築く目的でもって宗教、宗教的感情あるいは宗教上の神聖な問題を利用してプロパガンダを行うことはできず、利用することはできず、悪用することはできない。逆に、(そのような)活動や宣言は、宗教や宗教上神聖とされるものの利用と見なされる。;
トルコ共和国が国に存在する民族的・宗教的文化や宗派、人種あるいは言語の違いによる少数派の存在を主張することはできない。
言語、人種、宗教そして宗派の差別を生み出すこの概念と見解にもとづくひとつの国家体制を築く目的を追い求めることはできず、地域、人種、特定の個人、家族、集団あるいは信徒、宗教、宗派、教団の基盤に寄りかかることはできない。そうでなければ民主的な国家体制が守られることが不可能になる。
憲法に書かれている権利と自由は、国家による、国と国民は分断されないという全体性の破壊、そして人権に基づく民主的・世俗主義的共和国の消滅を目的とした活動という形で用いられることはできない。
これらすべては憲法と法律による統制のもとにおかれ、さらに制裁が提示されている」
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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:13359 )