エジプトでパン不足から高まる社会不安、経済的困窮による自殺者は4000人
2008年03月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 社会不安が爆発する恐れが増大、2007年に経済的理由で自殺したエジプト人は4000人との報道
■ 危機の拡大を受け、ムバーラク大統領が軍と警察にパン支給の応援を要請

2008年03月17日付クドゥス・アラビー紙(ロンドン)HP1面

【カイロ:本紙】

 昨日、エジプトのムバーラク大統領は、パンの価格高騰と貧困地域での品不足という危機的状況を受けて、軍と警察にパンの追加支給への応援を要請した。スライマーン・アウワード大統領府報道官は記者会見で、「防衛相や社会連帯相を含むエジプト閣僚らと会談したムバーラク大統領は、パンの不足問題を解決するために、軍所属の国民サービス機関と内務省所属の製パン所の応援を仰ぐ必要性があるとの要請を出した」と述べた。

 先週金曜にアリー・アル=ムサイラヒー社会連帯相は、軍所属の国民サービス機関がカイロ県とギザ県、カリユビーヤ県を含む大カイロ圏内に、政府の補助を受けたパンの製造にあたる10のセンターの建設に取り掛かったと語っていた。(中略)

 パンを含む食料品の価格上昇といくつかの貧困地域でのパン不足という危機的状況によって批判に晒されたエジプト政府は先週、パンへの政府補助を継続すると約束した。今回、パンの支給に軍の助力を求めるに至ったのには、国の補助を受ける製パン所が製品の提供に大きな支障をきたしているという事情がある。これらの製パン所には政府の補助を受けた〔価格で〕パンを購入しようとする多くの人々が早朝から列をなし、大混雑をきたしている。

 地元紙のレポートによれば、パンを買う順番が来るのを待っている間に起きた喧嘩や事故で先週、2人のエジプト人が殺された。政府補助を受けていないパンの価格は場合によっては50パーセントも上昇しており、危機解決のために政府は最近になって170億エジプト・ポンド、およそ31億ドル相当を支出したと述べている。専門家筋はこのたびのムバーラク大統領の決定は、社会が暴発しかねない危険域にまでパン危機が到達したことを示していると見ている。パンを買う行列に並んでいた市民9人が喧嘩で命を落としたとの新聞報道もあり、そのいくつかのケースでは銃器が用いられたという。

 一方、内務省と保健省に属するいくつかの政府機関による報告書では、昨年に自殺を試みた人の数は5万4000人、そのうち4000人が実際に自殺し、5万人は親族や隣人に救助されて病院に搬送され、一命を取り留めたという。

(後略)

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:13377 )