シリア軍、イスラエルからの攻撃を警戒して国境に兵力を増強
2008年04月02日付 al-Quds al-Arabi 紙

■バラク国防相が警告:「イスラエルは地域最強の国家であり、挑発はお勧めしない」
■シリアが大規模演習、イスラエルからのあらゆる攻撃を想定し、予備役部隊を招集

2008年04月02日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ダマスカス:本紙】

シリアの高官筋が本紙に明かしたところでは、ヒズブッラーに加えてシリアをも標的にする可能性のあるイスラエル軍による大規模攻撃への対応をシリア当局が準備している。

この匿名の情報筋によれば、シリアは国境でのイスラエル軍の動きと増強を注意深く見守っており、イスラエルの報道やイスラエル軍関係者の声明に、対シリア戦争に向けたイスラエル国内及び世界の世論形成や雰囲気醸成の試みと扇動とを見て取っているという。

同じ情報筋は、シリア軍が大規模な軍事演習を行い、あらゆる不測の事態に備えて予備役の一部を召集したと付け加えた。こうした軍事的な準備に加えてシリアは隣国からの侵攻を恐れ、治安組織の召集も行ったという。

ここ数週間のうちにシリア軍はおよそ3つの装甲部隊、特殊部隊、機械化歩兵部隊(9旅団)をレバノンの西ベカーア地域の前面に集結させている。シリアはベカー地域こそイスラエルによる侵攻や陸上攻撃の舞台になると考えているが、それはベカーがヒズブッラーとっての戦略拠点であるだけでなく、シリア前線の弱点となっているからだ。ヘルモン山の北西の山腹沿いにラーシャイヤー渓谷から25㎞地点までイスラエル軍が侵攻に成功しさえすれば、ベイルート-ダマスカス街道を寸断した上、シリアの首都ダマスカスをイスラエルの射程圏内に置いて軍事的優位に立てるからである。

この兵力集結はヒズブッラーの軍事司令官、イマード・ムグニーヤの暗殺に関する調査結果を今週末に公表するという情報をシリア当局が漏らしたのと同時に行われた。イスラエルにとってみればこれはすなわち、司令官暗殺に対する復讐のゴーサインをヒズブッラー側に与えたことを意味する。特にこの調査は暗殺作戦へのモサドの関与およびアラブの機関とイスラエルの機関との協力の疑いを指摘すると見られているからである。

ダマスカス中心部でのムグニーヤの暗殺は、パレスチナの指導者たちにも厳しい治安措置を講じさせることになった。あるパレスチナ高官は本紙に対し、パレスチナ人が皆に知れ渡っているのとは反対に、ムグニーヤ司令官の身元はよく知られていなかったと指摘し、「ムグニーヤにイスラエルの手が及んだということは、イスラーム聖戦やハマース、PFLP-GCなどは容易な標的だということ」と語った。

またアラブの情報筋は本紙に対し、いかなる攻撃の口実をもイスラエルに与えることのないよう、ムグニーヤ司令官のための報復作戦をヒズブッラーはしばらくの間控えるであろうと語った。イスラエルの軍司令官たちは、あらゆる攻撃に対するイスラエルの報復は、大規模に、かつイスラエル領内で行われることになるだろうと発表している。イスラエルの兵力増強についても語られ始めた頃、イスラエルのエフード・バラク国防相はイスラエルに対する攻撃が行われた場合には看過するわけにはいかないとして、シリアとヒズブッラーに向けて激しい口調でそうした攻撃の帰結を警告した。

(後略)

Tweet
シェア


現地の新聞はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:13531 )