■ ムバーラク大統領:「アラブ間の関係は改善のために努力の倍増を必要としている」
■ 「我々は開催前にダマスカス・サミットの成功を約束する要素が十分に揃うことを望んでいた」
■ ダマスカスでのアラブ・サミットに向けた演説で大統領:「アナポリス会議の精神は後退し、パレスチナ問題は危険な曲がり角に差し掛かっている」
2008年03月30日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【ダマスカス:本紙特派員】
ホスニー・ムバーラク大統領は、「我々の国民が期待する前向きの成果を持って会議を終えられるような成功を約束する要素が、ダマスカスでのアラブ・サミット開催の前に十分に揃っていることが我々の望みだった」と主張した。そして「アラブ間の関係は改善と再活性化のために努力の倍増を必要としている」「サミットに参加したアラブ首脳達はそのために尽力し、反目や敵対を解決して、アラブ全体の利益を他のあらゆるものに優先させる努力の先頭に立つことが求められている」と語り、「我々は同胞国レバノンの治安と安定を脅かし、独立した自由国家として政治的選択権を行使するという主権を脅かしている政治的危機が、長らく待ち望まれている解決を見るよう望んでいた」と述べた。
ムバーラク大統領は昨日開会したダマスカス・サミット宛にこのスピーチを用意し、エジプト代表団の団長を務めるムフィード・シハーブ法律問題・議会担当相がそれを代弁した。
このスピーチで大統領は、レバノン危機の解決にはエジプトも起草に加わったアラブ提案の完全な実施が求められると強調した。このアラブ提案は、これ以上の遅滞なく大統領職に調整候補を選出するという、すでに合意された事項の実施、挙国一致内閣の形成、デリケートなレバノンのバランスを維持する新たな選挙法の承認からなる。
またムバーラク大統領は「パレスチナ問題は新しい危険な曲がり角にさしかかっており、アナポリス和平会議で見えた希望は後退し始めている」と語った。そして「イスラエルが中東の中心に正常な位置を占めるための唯一真実の入り口はパレスチナ問題の公正な解決であり、パレスチナ国家建設であることをイスラエルは悟るべきだ」と続けた。大統領はパレスチナ人に対し、立場と戦列を統一してパレスチナ人同士の不和を乗り越えるよう呼びかけた。またイラクについてエジプトは、全てのイラク人がその富と資源の恩恵を受け、国の成長や独立と社会平和の防衛に参加できるような、統一し安定し安全なイラクを待望すると強調、エジプトにはイラク国民を支援する万全の用意があると指摘した。
シリアのバッシャール・アサド大統領は昨日午前、ダマスカスでアラブ・サミットを開幕し、開会式にはアラブ連盟に参加する22のアラブ国家のうち、11人の指導者が参加した。アサド大統領はサミット開会式のスピーチで、「シリアにはレバノンの政治危機を終わらせるため協力する準備があるが、そのためにはいかなる提案であれ、レバノンの国民融和というレバノン国家の安定を支える土台に力点を置いたものであることが条件となる」と、オブザーバー達の受けた印象では全般に穏やかな口調で語った。アサド大統領は「解決の鍵はレバノン人自身の手の内にある。国もその機関も憲法も彼らのものであり、彼らは危機の解決を行おうという不可欠の意識を持っている。他者の果たしうる役割は彼らの助力でしかなく、彼らに取って代わることではない」と述べた。
またシリア大統領は、(第三次中東戦争が始まる前の)1967年6月4日当時のラインまで完全に(イスラエルに占領されている)ゴラン高原が返還されるまでは、(イスラエルとの)和平が実現されることはないことを確認した。
アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長は開会式のスピーチで、レバノンの政治危機解決のためにアラブ提案は今後も継続されるであろうと述べ、今後数週間で提案を完全な実行段階に移すべく働きかけることを明らかにした。アラブ間の対立問題については、「このサミットが開催されている今、アラブ世界の空は雲に覆われており、その空の暗さはことわざの種になるほどだ」と述べた。
開会式後には第一作業部会が開かれ、数人の首脳によるスピーチが行われた。パレスチナのマフムード・アッバース大統領はこの作業部会で、国家建設を阻止するためガザ地区から西岸地区を分離して、パレスチナ領土を分断したとイスラエルを非難した。その後、各代表団の指導者や団長のみが参加する非公開会議が始まった。リビアのアブドゥッラフマーン・シャルクム外相は、サミットへの代表派遣を縮小したいくつかの国は「アメリカの圧力」に屈したのだと主張した。
現地の新聞はこちら
( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:13540 )