トルコ農業協会(TZOB)のシェムスィ・バイラクタル会長は、トルコ南東部で起こった干ばつが原因で、この地域におけるコムギ、オオムギの被害の割合が90%に、赤レンズマメでは60%にまで達していると話した。
バイラクタル会長は、南東部で起こっている干ばつが原因で被害にあっている作物、とられるべき対策、マメ、コメ、牛乳において起きている投機に関して評価をおこなった。
トルコで昨年起きた干ばつに関して言及したバイラクタル会長は、この干ばつが農業に与えた被害が500万新トルコリラ(約4億円)になるとの計算が出たこと、また農業が7.3%縮小したことを明らかにした。同会長は、干ばつのいくつかの県における影響を確認する目的でおこなった調査で、マルディン、シャンルウルファ、ディヤルバクル、バトゥマン、ハッキャーリ、ムシュ、スィイルト、シュルナク、ガズィアンテプ、エラズーでコムギ、オオムギの被害の割合が90%に、赤レンズマメでは60%にまで達していることが明らかになったと話した。
■ 家畜が売却されている
バイラクタル会長は、調査の結果、この地域にあるブドウ園での生産高が減少するとの予想が確実になったとし、「特にエラズー特産のワイン用ブドウ種のオキュズギョズとボアズケレで枯れが生じ、初期の検証によると、30%にまで生産高が減少するとの予想が明らかにされている。この地域でもまた牧草地で草の生育が悪いため、畜産業も困難な状況にあるといわれている」と話した。
バイラクタル会長は、この地域での干ばつにより牧草地で家畜が草を食べられなくなること、このため農家が家畜を売却し始めていることを明らかにした。対策をとらないと干ばつが原因で南東部における移住者が増加すると警告を発し、「なぜなら、この地域での経済活動は農業に重点があるからである。必要な措置をとらないとなると、この地域での経済活動が麻痺する」と話した。
■ 「収穫できる作物がない」
バイラクタル会長は、降雨がない場合、東アナトリアと地中海地方でも干ばつが起きる可能性を懸念していると話した。また、ハタイ県でも降水量が減少していること、アミック平野を潤すアースィ(オロンテス)川からシリアが保水していることが原因で、この地域におけるコムギ、ワタ、トウモロコシでの損失が深刻な規模にまで達するであろうと推測されていると話した。マラトゥヤでは凍結、異常なまでの高温が原因で、アンズにおける作物の損失が60%にまで達しているとし、生産者の被害に対処するために必要な調査がおこなわれていると語った。
バイラクタル会長は、穀物やマメの収穫が始まるひと月前にして、南東部で収穫が行われるコムギ、オオムギ、赤レンズマメの取り入れはとても難しくなるであろうとし、次のように話した。
「トルコのコムギ生産で280万トンを占める南東部では90%の減少が予想され、年間総生産量で250万トンの減少が予想される。またトルコのオオムギ生産で155万トンを占める南東部での90%の減少は、年間総生産量で140万トンの減少が予想されています。同じように、トルコの赤レンズマメ生産の86%を占める南東部での60%減少は、年間生産量で25万トンの減少が予想されます。」
■ レンズマメにおける危険性
トルコの技師・建築士協会の農業技師協会長のギョクハン・ギュナイドゥン氏も、南東部における干ばつは、特に赤レンズマメの生産において深刻な危険信号が生ずる原因となるとし、「ただちに適切な措置をとる必要がある。コメにおける投機が、赤レンズマメでは生じてはならない」と話した。同会長は、トルコはここ20年でマメの播種地がほぼ半減したとし、そしてマメの播種地200万ヘクタールが120万ヘクタールにまで縮小したとして、生産量も220万トンから160万トンにまで減少したと話した。
(中略)
■ 「乳製品にも被害が及ぶ」
コメにおける投機を議論する中、牛乳での投機が見逃されていると主張したバイラクタル会長は、次のように話した。
「特に乳産業従事者が、国民が特に多く消費する乳製品であるチーズの価格を32.9%値上げした際、小売では90%近く価格が上昇した。2008年の最初の3ヶ月で国民が特に多く消費する乳製品である白チーズの値段が67%以上上がったと見られている。この被害は、バターにも及び、50%にまで達するであろう。生産者が売る搾りたての生乳1リットルあたりの値段が15%下がる中、消費者価格におけるこうした上昇は理解できない。」
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( 翻訳者:小川玲奈 )
( 記事ID:13686 )