イラク情勢:ターリク・アジーズらの公判延期
2008年04月30日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ターリク・アジーズ公判はアル=マジードを待つため延期
■ サッダームの裁判官、彼の死刑は後進的、非文明的であった

2008年04月30日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バグダード:本紙】

AP通信によれば、火曜(29日)、ラウーフ・ラシード・アブドゥッラフマーン裁判官は、ターリク・アジーズ元副首相並びに前政権関係者7名の公判を5月20日まで延期すると発表した。

ケミカル・アリーの名で呼ばれるアリー・ハサン・アル=マジードを含む7名とアジーズは、イラクが経済封鎖を受けていた1992年、基本物資の価格操作を行ったとしてイラク人ビジネスマン42名を処刑した件につき公判中である。

開廷から約45分後、裁判官は、5月20日までの本件公判延期を法廷が決定した旨述べた。また4月29日の同法廷は、弁護人を立てていない被告のため国選弁護人を任命する事も決定した。裁判官は、ターリク・アジーズをはじめとする被告人を一人一人呼び出し、弁護人の件を協議した。その際、元サッダーム・フサイン秘書官のアブド・ハミード・マフムードは、彼と弁護人との会見は5分に満たず不十分であるとして会見時間延長を法廷に要請した。閉会後裁判官は、会見時間は延長される見通しであると述べた。

また裁判官は、アリー・ハサン・アル=マジードに関する医師診断書を読み上げた。それによれば医師団は、2週間前の法廷で同被告が心臓発作により病院へ移送されたことを確認、アル=マジードは外科手術を必要とするが現在の病院では行えない手術であるため、その健康状態に鑑み今後3週間は出廷が不可能であると述べている。裁判官は、アル=マジードの事情を考慮し法廷が上記期日までの延期を決定した旨述べた。

法廷筋によれば手続き上の理由で、開廷が午後にずれ込んだ。前政権の国際的代表であったアジーズ元副首相は、2003年の連合軍イラク攻撃を阻止すべく欧州各国を相手に多数の試みを行った。

アンマン在住のターリク・アジーズ子息ジヤードは、父親の本件への関与を否定している。ジヤードによれば、父親は、その件と無関係であり、大多数のイラク人同様それについてはメディアを通じて聞いたと、個人的に彼に告げた。ジヤードは、当時の父親は副首相として大量破壊兵器査察委員会の問題を任され多忙であり、公務のためイラク国外にいたと述べた。また、被害者であるビジネスマンの家族から父親に対する訴えは出されておらず、そのほとんどが、サッダーム前大統領と義理の兄弟関係にあるワトバーン・イブラーヒーム・アル=ハサンとサブアーウィー・イブラーヒーム・アル=ハサンを訴えている点を指摘した。彼ら二人は、サッダームから個人的に本件を一任されていた。

ターリク・アジーズ、アリー・ハサン・アル=マジード、アブド・ハミード・マフムード、ビジネスマンらの処刑事件当時内相であったワトバーン・イブラーヒーム・アル=ハサン、公安局長(1991-1995)であったサブアーウィー・イブラーヒーム・アル=ハサンに加え、ミズバーン・ハディル・ハーディ元革命指導委員会メンバー、アフマド・フサイン・ハディール元蔵相(1992-1995)、イサーム・ラシード・フウェイシュ元中央銀行総裁(1994-2003)らが本件被告として訴えられている。

本件は、2006年サッダーム・フサインに死刑判決を下したラウーフ・アブドゥッラフマーン裁判官が受け持つ。フサインの容疑は、1982年暗殺未遂に遭った後、ダジール村でシーア派住民148名を殺害した事であった。

昨日火曜、アブドゥルラフマーンは最高刑事裁判所での記者会見で、アブドゥッラフマーン裁判官は、サッダームの死刑執行が非文明的、後進的やり方で成されたと批判した。サッダームは、(イスラム暦)犠牲祭初日に当たった2006年12月31日に処刑されたが、アブドゥッラフマーンは、イラクの法は公開処刑を許しておらず、また祝日や宗教行事中の処刑も禁じていると述べた。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:13704 )