西ベイルート各地で与野党勢力が衝突、ムフティーがヒズブッラー非難
2008年05月08日付 Al-Nahar 紙

■ レバノン共和国ムフティーがヒズブッラーに対して過去最も激しい非難
■ ナスラッラー書記長、シーア派指導者たちの会合の後、今日8日登場へ
■ ベイルート、宗派間の民兵衝突の恐怖の記憶を甦らせる
■ 野党勢力が空港を孤立化させ操業を妨害。非常事態宣言発令か

2008年05月08日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 政府は7日夜、非常事態宣言の発令を検討し始めた。この動きは、7日に西ベイルートの各地で政治勢力、党派および宗派間の緊張状態が爆発にいたる可能性が前例がないほどに高まっていることの表れである。また、ベイルート国際空港への道路が封鎖され、航空便の大部分の運航が阻害されてレバノンが世界から隔離される恐れが出てきたことは、過去の戦争の経験の暗い1ページを再現するような出来事であった。

 街頭での衝突が発生し、道路が封鎖され、タイヤが燃やされるという事態の中で、5月7日は2007年1月23日および25日と並ぶ節目になった。いや、民兵の行動が一気に顕在化して、機関銃やロケット砲を装備した武装グループが西ベイルートに展開したという点では、より危険な節目だと言えるだろう。このような事態の激化が今後どのような反響をもたらすのかという恐怖と不安に、街中が包まれていた。

 空港への道路から西ベイルートに到る各地で民兵の行動が顕在化したことで、労働総同盟が発表したストライキは、デモなどの中止を余儀なくされた。コルネーシュ・マズラアやラアス・ナバア、ムサイティバ、タリーク・ジャディーダの各地で衝突が発生し、バルブール地区では最も激しい衝突があり「アマル」運動の武装メンバーが「ムスタクバル潮流」の拠点に突入する事態に到った。また、双方の支持者が混住する各地でも同様の事件が発生したと伝えられている。

(中略)

■ ムフティーのメッセージ

 こうしたなか、レバノン共和国ムフティーであるムハンマド・ラシード・カッバーニー師は昨夜メッセージを発表し、初めてヒズブッラーを直接に激しく非難するとともに、名指しにはしなかったがイランを非難した。

 カッバーニー師は、ヒズブッラーがイスラエルの占領に対する抵抗運動体から「ベイルートを占領し侵犯する武装勢力に変貌した」と非難し、アラブ・イスラーム世界に対して、「この遺憾極まりない侵犯行為を停止させる」よう呼びかけるとともに、「レバノンでは今日、一政党が外国の支援と抵抗運動の名の下に覇権を握ろうと企てている」との見解を示した。

 またカッバーニー師は、「この政党は1年以上前から首都ベイルートの中心街周辺を奪い去り、武装した党員たちの駐屯地に変えてしまっている。そして今日、殉教者ラフィーク・アル=ハリーリー空港を奪い去り、レバノン国家を恐喝して空港の監視と通信網の黙認を勝ち取ろうと企てているのだ」と述べ、「某イスラーム国家がこれら全ての侵犯行為に資金を提供し、レバノン国内のイスラーム教徒の一体性に悪影響を及ぼしている」として遺憾の意を表明した。

(後略)

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( 翻訳者:根田文佳 )
( 記事ID:13866 )