公正発展党のスカーフに関する試みが解党訴訟を招いた
2008年05月04日付 Yeni Safak 紙
米国国際宗教の自由委員会(USIRFC)の「宗教の自由に関する報告書」は、大学でのスカーフ解禁のための取り組みの後、公正発展党解党(請求)裁判が起こされたことに警鐘を鳴らしている。
米国国際宗教の自由委員会(USIRFC)は、米国が1998年に施行した宗教の自由法の範囲内で、世界における宗教の自由の諸条件を観察し、そしてこの枠組みの中で米国大統領、国務長官、米国議会に助言する役割を担う非政府組織である。同委員会は、2008年、世界における宗教の自由報告書を公開した。
同報告書では、宗教の自由という視点から懸念される国々として、ビルマ、北朝鮮、エリトリア、パキスタン、中国、サウジアラビア、スーダン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナムが挙げられている。アフガニスタン、バングラディッシュ、ベラルーシ、キューバ、エジプト、インドネシア、ナイジェリアは「要観察リストに数えられる国々として報告書に掲載された。
米国国際宗教の自由委員会は、サウジアラビアで宗教を冒とくしたという理由で、あるトルコ人理髪師が死刑判決を受けたことも取り上げられた。
同委員会の委員は、トルコ訪問の際に話をしたグループが、宗教の自由にみられる最近10年間の進展に注目を促したと述べた。そしてこれについては特にEU加盟交渉に向け前進したいトルコが実施した諸改革と関係づけられている、とも述べている。
報告書では、トルコでの世俗主義という理解が、米国の宗教と国家の区別という理解と異なっていると述べられている。そしてトルコでは公共の場における宗教の表現が、「国家の統制下におかれている」と主張された。
同報告書では、公共の場でより表現できるようにと支持した政党がトルコの人々によって与党に選ばれたが、この政党が部分的に世俗主義を脅かしているという理由で、政権から遠ざけられたと述べられている。
米国国際宗教の自由委員会は、大学でのスカーフ解禁に関する取り組みの後、公正発展党に対する解党(請求)裁判が始まったことを述べた。
トルコでは、「厳格な世俗主義とトルコ人としてのアイデンティティーに関連する限定的な意味合いをもつナショナリズム」が、宗教の自由と、マイノリティーの権利に関する見方に影響を及ぼしていること、そして社会ではトルコ人でない者、ムスリムでない者に疑いの目が向けられていることが主張されている。ジャーナリスト、フラント・ディンクの殺害も、「過度なナショナリズムと結合している」と説明されている。
報告書では、トルコの宗務庁が「ハナフィ―学派のスンナ」教義により忠実であること、そしてアレヴィーに対して宗務庁が予算立てしていないことが報告された。そしてアレヴィーがトルコ人人口の20パーセントを構成することも明らかにされた。
スカーフを着用する人たち、そしてスカーフを着用する人たちを擁護する人たちは、公的機関での職を失い、看護師、教師にはなれないこと、また、軍部は妻がスカーフを被ったり礼拝をしたりする軍人を、「規律が不足している」と非難されていることが報告されている。
報告書では、他のイスラーム諸国と比較するとトルコでは、ユダヤ人に対する姿勢はずっと良好であり、宗教の自由における制限がないとされている。しかしこの一方で、シナゴーグ攻撃や、メディアにおける反ユダヤ主義的な発言が続いていることも主張されている。
報告書では、「ナショナリスト、または行きすぎた宗教主義」として定義されている反ユダヤ主義的発言に反米主義を加え、米国およびイスラエルのイラクに対する姿勢を批判するニュースの数が一部の報道機関で増えていると述べ、これがユダヤ人コミュニティーの中で恐怖と不安を生じさせていると主張している。
また同報告書は、少数派の宗教を信じる者が不動産所有者になることや、自らのリーダーを育成することが難しくなっていると述べている。そしてフェネル・ギリシャ正教総主教座に「エキュメニカル」という定義を用いて、このステイタスがトルコでは認められていないこと、そしてヘイベリアダ(島)のルフバン学校が1971年以降、閉鎖されていることも明示された。
トラブゾンであるイタリア人のカトリック神父が殺害された事件にも紙面を割いた報告書では、2007年4月にマラトゥヤで福音主義者プロテスタントの出版社職員の殺害事件では、ナショナリスト・グループが役割を担っていたという主張を掲載し、裁判が現在も継続中であることを明らかにした。
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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:13900 )