憲法裁判所、苦難の日々
2008年05月24日付 Radikal 紙

ここ1年間に、憲法裁判所のメンバーらに影響を及ぼすよう通知による攻撃が行われ、メンバーらは尾行された。裁判官らは、「噂にならないように」と隠遁生活を送り始めた。

1961年7月9日に国民投票にかけられて承認された新憲法の第145条に基づいて設置された憲法裁判所は、ここ1年間に行ったいくつかの危機的訴訟のために常に脅威の下に晒された。時には政治から、時には軍と警察から、そして時にはメディアから圧力を受けた憲法裁判所は、最後の一撃を同職者から受けた。最高裁判所からの通知で、同裁判所のメンバーはスカーフについて行われた憲法改正と、公正発展党(AKP)に対して開かれた解党訴訟を前に、難しい状況に立たされたのだ。

憲法裁判所のメンバーである裁判官らの苦難の日々は、昨年アフメト・ネジュデト・セゼル氏の大統領任期の満了とともに始まった。共和人民党(CHP)は、アブドゥッラー・ギュル氏を唯一の候補者として始まった選挙の第一回投票の後、憲法裁判所に訴えた。選出には国会の3分の2、つまり367人の国会議員が投票に参加することが必要と述べ、投票が無効とされることを望んだ。

■ 参謀部からの電子上の警告

憲法裁判所が上記の件を審理しているとき、2007年4月27日に参謀本部からその日の真夜中に電子上の警告として通知がおこなわれた。参謀本部のインターネットサイトで行われた通知では、体制に関する不安が述べられていた。CHP党首デニズ・バイカル氏は、参謀本部の通知後、会見を行い、「もし憲法裁判所が367の定足数が不必要と判決するなら、我が国は衝突に引きずり込まれ、より悪い時代になる可能性がある。もし『367は必要条件だ』という形で判決するなら、この決定は我々に危機解決のチャンスをもたらし、この議会は大統領選出が不可能となる」と語った。

■ そして判決

憲法裁判所は、5月2日に歴史的判決に署名し、大統領が選出される議会総会は、選出に求められる数だけの国会議員の参加なしには開始できないと判決した。この展開を受けてトルコは早期選挙を行い、大統領を国民が選ぶために憲法改正が行われた。この改正は国民投票で承認された。

■ スカーフと解党訴訟

一時安堵した憲法裁判所は、大学でのスカーフ着用の自由について、憲法の第10条と42条における改正の取り消しと、AKPに対して開かれた解党訴訟で、再び苦難の日々を送り始めた。特にメディア上での解釈と記事で、憲法裁判所の判決に影響を与えようと試みがおこなわれた。憲法裁判所のハシム・クルチ長官は、2008年4月25日に、憲法裁判所の46周年式典で演説し、受けている圧力に注意を引いた:

「憲法裁判所の判断に委ねられた訴訟に関し、国内の、また国際的な諸勢力が裁判所を方向付け、影響や圧力下に置こうとする試みを、悲しみを抱いて見守っている。裁判所のメンバーの投じた票に着目して、テレビや新聞で、どの大統領がどのメンバーを選んだか、いかなる票を投じたかという形で分類評価することは、裁判官らが自衛本能を働かせ、良心的見解に背かせることに向けた重大な攻撃の性格を帯びている。裁判所のメンバーの姿が毎分テレビの画面に映し出されること、ニュースまたは公開討論会などで名前を挙げて指し示すことは、かつて起きた悲痛な事件よりの教訓の責任を免れないであろう。我々は行われていることを注視しており、認識している。」

■ パクスュト氏が尾行されている

訴訟手続が続く中、先週、尾行されているとの疑いで、憲法裁判所長官補のオスマン・パクスュト氏が訴えたパトカー車の存在が判明した。パクスュト氏は、盗聴をうけたとして、車のトランクを開けるよう望んだが、これは認められなかった。県警本部はパクスュト氏が尾行されてはいないと主張した。しかしパクスュト氏は、2ヶ月間尾行されていると述べ、疑いを口にした。同氏は、ラディカル紙に行った説明で、尾行しているパトカー車への不安を、「この彼の疑いは、不正捜査を終わらせた」という形で反応した宗教色のある新聞に怒りを見せた。「辞任させようと圧力がかけられている」とも語った。

■ 「我々はすべてに注意している」

名前を公表することを拒否したある裁判所のメンバーも、経験した圧力に関して次のような説明をラディカル紙に行った:

「我々は今やすべてのことに注意しなければならない状態にいます。私と妻は出かける場所さえも、苦心して選んでいます。このため、言い方が適当であるなら、我々は針のむしろにいるのです。なぜなら、非常に重要な訴訟に判決を下す裁判団のメンバーだからです。非常に注意深くあらねばなりません。(新聞記者らの、あなた方はもう私たちの電話に出ないし、お茶飲みにも応じないのですねという非難に対して)我々は文明的な人間です、この状況に我々も不愉快です。新聞記者の親友たちを我々は勤務場所に呼びません。政党に属する国会議員である友人らさえも、外で会わないよう注意しています。噂を立てられるとためらっているのです。」

同氏は、裁判所のメンバーの写真を使用して、訴訟を審判するのはこの人たちであるといった形のニュースにも怒りを示して、「この種のニュースは、とても恐ろしい結果になりえます。それこそ行政裁判所の攻撃は、これの最も具体的な例です。他にも見聞きします、あのメンバーを、あの大統領が任命した、あのメンバーはあの人が任命した、と。つまり『彼の票はこうなる、ああなる』などといった解釈がなされています。これを認めることはできません。そして、絶対に正しくありません。人生で一冊も法律のテクストを読んだことのない一部の人たちが、朝から晩まで解釈を行っています。我々の名前で解釈しているのです」と話した。

■ 最高裁判所の警告のような通知

こうした展開が生じる中、ヨーロッパ議会で承認されたトルコレポートで、憲法裁判所にメッセージが与えられ、「ヴェネツィア基準」の適用が望まれた。最高裁判所執行委員会の行った非常に厳しい通知は、憲法裁判所のメンバーを大変難しい状況に置いた。最高裁判所は、「自らの言うことを聞く司法を形成しようとしている」とAKPを批判する中、最高裁判所の検事総長が標的にされていると明らかにした。政府の返答は、最高裁判所の登場は、憲法裁判所に影響を与えるためのものであるであった。どのような判決を下そうが、批判の焦点となるのは間違いないように思われる憲法裁判所の裁判官らを、一体この先、何が待っているのだろうか?

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:13905 )