ジェイラン監督、カンヌ国際映画祭で監督賞に輝く
2008年05月25日付 Radikal 紙

[前略]
「この賞を、情熱をもって愛するただひとつの美しき祖国に捧げます」
ヌーリ・ビルゲ・ジェイラン監督が、映画「スリー・モンキーズ」でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞したときに使ったこの言葉が、トルコではまた格別の喜びの波を生んだことは疑いのないことだ。どこまでも政治的、どこまでも本音で、そしてどこまでも感情に訴えるこの言葉はヒロイズムに逸脱することなく、しかしエキシ・ソズルック(訳者注:自由投稿型の情報サイト)の投稿者に言わせれば、「2時間話しても説明がつかないようなことを、二言三言で語り、我々を涙させた。誇りに思う」というものであった。また別の投稿者は「私を喜ばせたのはトルコ人の受賞ではなく、私が動悸を感じるほど大切に思う場所が外国人を感動させ、そのことが授賞したことだ」と解説している。

今までジェイラン監督の作品を観たことが無い人々も、「お見事」とたたえている。彼の作品に距離を置いていた人々も、態度を和らげてきたように見受けられる。ジェイラン監督をナショナリストと批判したがる人々も出てくることは間違いないだろう。彼らには、ジェイラン監督が2003年に「冬の街(Uzak)」で受賞した国際批評家連盟賞受賞を、ユルマズ・ギュネイ監督に捧げたことを思い出していただこう。

■ガラタサライも祝福
カンヌでの成功により、ジェイラン監督は祝福の嵐の中にいる。通信各社が最初に報道したのは、ギュル大統領の祝福メッセージとなった。
「トルコ国民に大きな誇りと幸福を与えてくれ、トルコ映画が国際的に到達した重要な局面を示してくれたこの意味深い成功を祝福します」

これに続き、エルドアン首相が授賞式典の後すぐにジェイラン監督に電話をかけ、祝福したことが発表された。
トルコ大国民議会のキョクセル・トプタン議長も、ジェイラン監督に祝福メッセージを送った。
ジェイラン監督に電話かけ、祝福した共和人民党(CHP)のデニズ・バイカル党首は、賞も受賞スピーチもジェイラン監督に非常にふさわしいものだったと伝えたという。
人民向上党のヤシャル・オクヤン副党首も、ジェイラン監督が受賞の際に述べた言葉をきわめて意味深く、素晴らしいものであると述べた。
またスポーツ界もジェイラン監督の成功をたたえた。ガラタサライクラブは、書面による発表を行い、ジェイラン監督を祝福した。


■世界最高の監督のひとり
映画祭に参加した「スリー・モンキーズ」の出演者とスタッフも、受賞に対する気持ちをラディカル紙に語った。

ゼイネプ・オズバトゥル(プロデューサー):私は元来おしゃべりなのですが、今は話しづらいですね。言葉では表現できないほど強い感情が私の中にあります。とても幸せな気持ちでカンヌをあとにしようとしています。
監督賞はとても重要な賞です。カンヌで私たちが言葉を交わした有名な映画関係者たちは、この受賞が正当であり、ふさわしいものだと言ってくれました。私にとっても素晴らしいことです。世界最高の監督と仕事をしているのですから。プロデューサーとして、ひとりの映画人としてこの作品をとても気に入っていることは言うまでもありませんが、トルコ映画界にとっても、とても重大な賞なのです。世界の映画界の目を再びトルコに向けさせるきっかけとなっています。また今回の受賞は、ヌーリ・ビルゲ・ジェイラン監督が世界有数の映画監督のひとりであるということを記録することにもなりました。

ハティジェ・アスラン(女優):
昨晩、ヌーリ監督の受賞の際のスピーチはとても見事でした。あの言葉にすべてがまとめられていて、この上また何かを話すのは本当に大変です。とても感動しました。誇らしいとても大きな賞です。監督賞を持ち帰ることができるのはとても嬉しいことです。そして私たちはその監督の映画で演じたのです、これは本当にとても素敵なことです。カンヌでは最高の気持ちを味わいました。トルコから祝福メッセージをいただき、トルコの人たちが私たちと一緒に喜んでくれていること、これは信じられなくくらい素敵な気分でした。今は帰国のために、トランクの準備をしています。大きな幸福感と共にカンヌを離れようとしています。

エルジャン・ケサル(俳優、脚本も担当): 今、特急列車でパリに向かっており、私の目の前には今日のフランスの新聞各紙があります。それらには、審査委員長との対談が掲載されています。トルコがカンヌで監督賞を獲得したことはとても心地よいことです。新聞にはジェイラン監督の腕前を検証するような記事も以前に出たことがありますが、今回の受賞は同時に、彼の力量を改めて記録するという意味あいもあります。自分のことのように大喜びしています。彼はとても良い友人ですから。このような映画のためにカンヌにいることも、とても気分の良いものです。カンヌというのは、映画を作っていることにいつも誇りを抱かせる、特別な場所なのです。とても幸せです。

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( 翻訳者:川原田喜子 )
( 記事ID:13918 )