“メガワット”にうんざりのイラク市民
2008年05月19日付 al-Sabah al-Jadid 紙

■ 市民に必要なのは電気供給時間で、“メガワット”じゃない!

2008年05月19日付サバーフ・ジャディード紙(イラク)

 このところ、電力システムのメガワット数増強に関するニュースをしょっちゅう耳にする。その最後ではないが最新の一つが、すでに我々をじりじりと焦がし始めたこの夏に、新たに500MWの電力を増加するという吉報を伝えるニュースだ。

だが実際のところ、現実の生活に関していえば、この増加の成果を市民はいっこうに感じていない。どの市民も“メガワット”などという問題には関心がないのだ。そんなことは電力会社で働く技術者の関心事にすぎない。電力会社の広報は、そういう技術的な用語を誰にでも理解可能な言葉に翻訳すべきなのだ。たとえば「市民への電気供給時間をもう4時間増やす」というような。

実際には、〔公金を横領して〕逃亡したアイハム・アル=サーマッラーイー電力相の時代から現在にいたるまでの電力省高官達が発表した、増強されたメガワット数をすべて集めれば、数カ国に電力を供給するのに十分な、数万メガワットというとんでもない量になるはずだ。ところが現実の状況は全く逆で、市民への電気供給に関していえば、2003年の夏の方がましだった。それからは、新たにメガワット数が追加されると発表されるたびに状況は悪化し、通信社が電力省高官の声明を報じるたび、多くの市民が心臓を手で押さえるようになった。なぜなら新しい声明が出るということは、停電時間が2倍に延び、苦しみが増すことを意味すると、市民は苦い経験から学んだからだ。しかも、電力状況の改善が報道されるのはいつだって、暑さが和らいで、エアコンはおろかシーリングファンすら使わなくても済む時期になってからなのだ。

電力関係者が夏が来る前に、とか6月あるいは7月に、数千メガワットの電力を増強すると語るとき、われわれは6月が過ぎ、7月が過ぎ、夏が過ぎても相変わらずの猛暑の中、イラクの夏に身を焼かれる。

 さてここに面白い話が2つある。どちらも現実に起きたことで、想像の産物ではない。1つはこんな話だ。ある市民が体中汗まみれで、「メガ・・・メガワット・・・メガワット・・・」と叫びながら飛び起きた。朝、彼の妻は隣人に、「夢から覚めた夫が英語を喋ったのよ」と話したそうだ。もう一つの話の主人公はカラーダ地区で扇風機を売っている男だ。扇風機の見本に「十年間保証」と書いていた彼に、意地の悪い奴が「どういう意味だい」とたずねると、彼はまじめにこう答えたそうだ。「そうだな、毎年、夏になったらここに来るといい。新しい扇風機と換えてやるよ。俺はあいかわらず定職が見つからず、扇風機を売ってるだろうし、電気はあと10年したって改善されないだろうから」。

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( 翻訳者:平寛多朗 )
( 記事ID:13923 )