ヨルダンがイラク人に入国ビザを発給する際の条件を明示
2008年05月23日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ヨルダン:イラク人への入国ビザ発給の条件を新設
■ ブッシュ大統領:イラク早期撤退は悲惨な結果となるとの見解を示す
2008年05月23日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【バグダード:本紙】
イラク外務省は昨日、ヨルダンへの入国を希望するイラク人へのビザ発給について、ヨルダン外務省が定めた規則と手続を公表した。[※これまでイラク人がヨルダンへ入国する場合にビザは不要であったが、イラク避難民の大量流入に伴い、国境で入国を拒否されるケースが増加したため、イラク政府からの要請に基づき、ヨルダン政府がイラク人へのビザ発給業務を開始することになっていた。]
イラク外務省の声明によれば、ヨルダン・ハシミテ王国外務省から在アンマン・イラク共和国大使館宛に、希望するイラク人に入国ビザを発給するにあたっての規則と手続を記した覚え書きが送られてきたという。それによると、イラク国内にいるイラク人がビザを請求するにあたっては、外交官パスポートを持つ者を除き、「TNT」という専門の会社を通じて所定の書式を提出しなければならない。一方、イラク国外に滞在している場合は、その国にあるヨルダンの在外公館に問い合わせることと説明されている。
国連の報告書によれば、2003年のアメリカによるイラク侵攻以来、少なくともおよそ420万人のイラク人が他国、特にシリアとヨルダンへ逃れた。この両国ではその後、イラク人へのビザ発給手続きが厳しくなっている。国連難民高等弁務官事務所やヨーロッパのリサーチセンター等が作成した統計では、ヨルダンに暮らすイラク難民の数はおよそ50万人と見積もられ、大多数はアメリカによる侵攻後のイラク国内の暴力行為から逃れてきた。その大半がヨルダンの首都アンマンで暮らしている。
イラク外務省の声明からは、イラク国内・国外いずれからの申請であっても、ビザが発行されるためには申請にあたって所定の書式に則り、決められた情報やデータをすべて満たす必要があると規定されていることがうかがわれる。今後、ビザを請求する者は「ヨルダン王国において有効と認められるパスポートを所有していること、治療・訪問・通過のいずれかの申請理由を特定すること、ヨルダンでの滞在住所を詳細に記し、それを裏付ける資料を添付すること」が求められる。訪問ビザにはケースに応じてシングルとマルチがあり、ヨルダン領土を経由する通過ビザは通過期間がヨルダン入国から72時間と規定されている。訪問ビザについては、ヨルダンの在外公館からの要請に基づいて、有効期間が発行から一ヶ月以内のビザをヨルダン外務省が発給するという。
また申請が認められた場合には、許可されたとおりの予定の訪問期間を遵守しなければならず、ヨルダン入国の際にはパスポートに加え、身分証明書と国籍証明を携帯しなければならない。ヨルダン外務省からの覚え書きでは、これらの証明書のいずれかが真正でないと判明した場合はビザが取り消される。また提出された情報やデータが正しくないと判明してビザが取り消されるリスクについて、責任は全て入国者が負う。
イラク外務省は声明で、パスポートに加えて国籍証明や身分証明書まで携帯するという条件の取消に向けて、在アンマン・イラク大使館とともに働きかけを行っていると述べている。というのも旅行客にとってパスポートは該当国の当局機関から発行された公式の文書と見なされ、ここで必要とされている書類に代わるものだからである。イラクのパスポートの発行には、こうした書類を管轄機関に提出することが必要とされている。
(後略)
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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:13972 )