オスマン・ハムディ・ベイ作「イスタンブルの淑女」画に大金がつぎ込まれた
2008年05月30日付 Radikal 紙
オスマン・ハムディ・ベイの「イスタンブルの淑女」が、30日、ロンドンで723万YTL(約6億4千万円)で売却された。トルコ人画家のもっとも高額な絵画であるこの作品は、あるトルコ人コレクターによって購入されたと推測されている。
オスマン・ハムディ・ベイは、彼の記録を破り、トルコ絵画のもっとも高額な画家であり続けている。ハムディ・ベイが1881年に作成した絵画、「イスタンブルの淑女」は、30日、ロンドンで338万500ポンドで売却された。ソスベイズによって今朝行われたオリエンタリスト絵画作品のオークションの中で最も稀少な作品である絵画が、220万ポンド開始価格で出された。競り上がりの結果、名前と国籍を非公開とする落札者が絵画を300万ポンド(723万YTL 6億2千万円)という価格で購入した。絵画の仲介手数料と諸費用とともに購入費用は338万500ポンドであることが公表された。ソスベイズは、ヨーロッパ人のコレクターがもっていたこの絵画が、300万ポンドで売却されるという予想をしていた。芸術関係者のあいだでは、オークションに参加した複数のトルコ人コレクターがいたことが分っており、この絵画をトルコ人が購入したということが確実視されている。185センチ×109センチの大きさで、カンヴァス地の上に油絵の技法で描かれた絵画は、オスマン・ハムディ・ベイの作品の大きさとしては、最も大きい作品のひとつだ。トルコ人的価値と、最新のパリのファッションを反映した服装を着た魅力的な茶色の髪の若い女性が絵には描かれている。オスマン・ハムディ・ベイのこの絵画では、当時のイスタンブルで流行だったパリのファッションを伝えていると考えられている。昨日までトルコ人画家で最も高額な絵画は、2004年にスナ・イナン・クラチ・コレクションに入れられたオスマン・ハムディ・ベイの「亀使い」だった。トルコ預金保険機構により差し押さえられたエロル・アクソイのコレクションに属していた絵画が、500万YTLで売却され、クラチ家は公的な1年が過ぎた後に開館したペラ美術館で展示した。
■この価格はオスマン・ハムディだけ
ヤフシ・バラズ(ギャラリー経営):この絵画は、「亀使い」よりも共感が持て、美しい見た目の作品です。バイヤーはこちらを好むでしょう。その絵画の価格もペラとエッザージュバシュの攻防で競り上がったのだった。そうでなければ、100万ドルで落札されただろうに。オスマン・ハムディ・ベイは、パリに行った後、当時のオリエンタリストたちと一緒に絵を描いたので、彼らとともに思い出されることになる。時間とともに忘れられたとしても、今も価値がある。オリエンタリスト絵画は、以前はアラブ人たちが買ったものですが、80年代にトルコ人もこの市場に入った。今回の売却は、もちろんトルコ市場に影響を及ぼす可能性があります。しかしオスマン・ハムディ・ベイは常に唯一の存在のままだと私は思います。トルコ人画家に影響を及ぼした芸術家ではないのです、自分独自の孤高の画家なのです。今日、この高い価格は、彼独自のものであり続けるでしょう。その次にくる価格はとても低いものになるでしょう。
■「亀使い」は唯一の作品
オザルプ・ビロル(ペラ美術館館長):オスマン・ハムディ・ベイの「亀使い」をクラチ家が当時の条件にしては高い価格で購入したことは、オスマン・ハムディの作品にひとつの基準価となった。そのため、ロンドンで支払われた価格は、私は普通だと思います。それともちろん、その絵画がペラ美術館のような場所で展示されているということも、影響を及ぼしたでしょう。この種の作品が、購入可能なコレクターによって購入され、トルコに持ち込まれることは喜ばしいことだ。一般社会と共有することは非常に重要なことです。この絵画が美術館に展示されれば、我々はスナ・イナン・クラチ財団としてこれに敬意を表します。またこの絵画が開館予定の美術館のために購入されたのであれば、ペラ美術館が前回の戦略が真似されたことは、私たちを喜ばせます。しかし忘れられてはならないことは、「亀使い」はその背後にあるストーリーとともに、解説とともに、とても重要で唯一の作品であり続けるでしょう。売却された絵画も、オスマン・ハムディの重要な絵画ですが、「亀使い」と同じ土俵で論じられる絵画ではありません。
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( 翻訳者:西丸綾香・藤井庸平 )
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