米との治安協定で行き詰るイラク首相、代わりにイランとトルコに治安協力を要請か
2008年06月18日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イラク合意戦線、長期協定への署名同意に10の条件
■バグダッドの治安が再び悪化、車爆弾で死者

2008年06月18日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バグダッド:ディヤーウ・アル=サーマッラーイー本誌記者】

警察筋の情報によると火曜日にバグダッド北部で、爆弾を搭載した自動車による攻撃により少なくとも51人が死亡し、75人が負傷した。爆発が起きたのはシーア派住民が暮らすバグダッド北部のフッリーヤ地区のバス停付近。これまでの推計では死者10人、負傷者42人とされていた。数十人にのぼる負傷者は、バグダード市内の複数の病院に搬送された。

アメリカ軍とイラク政府が国内の治安状況は著しく改善していると断言する中、この攻撃はここひと月あまりで最も激しいものとなった。バクダッドから北へ60㎞のバアクーバでは5月1日に、数十人の死者を出す攻撃が行われている。

一方、イラク合意戦線のアブドゥルカリーム・サーマッラーイー議員は、アメリカとの間で締結が見込まれている長期治安協定への署名に対し、彼の会派から10の条件をつけたことを確認した。サーマッラーイー議員の言葉を借りれば、イラク合意戦線がそれらの条件を出したのは、イラクの国益を保証するためであるという。

他方、現政府を支える統一イラク連合のアッバース・アル=バイヤーティー議員は、国の安全と政治的経験を守るため、イラクは2つの協定に署名する必要があると強調した。そのひとつであるSOFA(Status of Forces Agreement)は米軍駐留とその範囲、規模、任務に関するもので、もうひとつの協定は経済的な性格を持つと説明しつつ、インフラを近代化し、民主化経験を守り、イラク国境を維持するために、イラクにはこの2つの協定が必要であると指摘した。

これに対してイヤード・アッラーウィー率いるイラク・リストのハイラッラー・アル=バスリー議員は、「政治諸派と議会こそがイラクの国益を決定できる」と指摘した。

これに関連してトルコ紙が報じたところでは、予想されているアメリカとの戦略協定への署名を断念することを視野に入れ、イラク政府がトルコ、イラン両国にイラクと治安面で協力するとの保証の提示と文書での誓約を要求したという。

トルコのジュムフリイェト紙は週間レポートで、トルコ政府とイラン政府がそのような保証を提供した場合、イラク政府は米軍のイラク長期駐留を許す治安協定への署名を断念すると約束したと伝えた。また同紙によれば、イラク領を拠点に第三国に向けた偵察・監視活動や様々な軍事行動を行う権利をアメリカ陸・空軍に認めるとの条項に対して、イラン政府が不満と懸念を表明したという。

同紙の報道では、イランのマフムード・アフマディネジャード大統領は去る3月のバグダッド訪問の際、イラク政府高官たちに協定には署名しないよう要求し、イランにはイラクの治安に役割を果たす用意があると強調した。同じ要求はヌーリー・アル=マーリキー首相のテヘラン訪問の際にも繰り返されたが、マーリキー首相はこの提案に前向きな返答をしなかった。それはアメリカとの長期治安協定に署名する代わりに、〔イラク、イラン、トルコの〕3カ国体制で治安任務にあたるメカニズムの構築について、トルコ側からの返答を待つためだったと見られる。

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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:14167 )