イラク治安情勢、「ヒズブッラー」を名乗るグループの登場
2008年07月02日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ 武装シーア派グループ「イラク・ヒズブッラー連隊」、占領軍攻撃の画像を配布
■ イッザト・イブラーヒーム、抵抗戦線のレベルアップを求めアンバール県を訪問
■ 「覚醒」軍に対する新たな攻撃
2008年07月02日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【バグダード:ハーニー・アーシュール、ディヤー・アッサーマッラーイー(本紙)】
イラク武装国民抵抗を名乗るグループのスポークスパーソンは、最近イッザト・イブラーヒームがアンバール県を訪れ、ジハード主義諸グループの指揮官らと会見したと述べた。本紙が入手した声明文によればイブラーヒームは、米占領軍に対する軍事作戦をレベルアップするよう要請、不意打ち、だまし討ちなど戦術を凝らし、戦場においては攻撃しては退避する戦法に集中するよう指示した。バアス党は、イブラーヒーム逮捕との最近のニュースを否定しており、同人はイラク国内で反占領作戦の指揮を執っているとしている。
イラクの治安における危険な兆候としては、裁判官5名が狙われた1日後に、イラク「ヒズブッラー連隊」を名乗る武装グループが、バグダードのシーア派地区、カージミーヤで米軍車両を破壊したとの声明を出した。米占領に対する闘争を目的とするグループが複数形成されたとの情報があったが、それらが活動を開始したと見られる。「ヒズブッラー連隊」のサイト上に出された声明によれば、同グループは月曜(6月30日)、バグダードのカージミーヤ地区にて爆発物を用いることにより米車両の破壊に成功、車内の全員を殺害した。
グループは作戦中に撮影したビデオを放映しているが、アメリカ側は事件について明らかにせず、コメントもしていない。ヒズブッラー指揮官の一人であったイマード・ムグニヤの写真を掲げた「ヒズブッラー連隊」サイトによれば、彼らは連日米占領軍に対する作戦を実施している。サイトは、それらのショートフィルムを公開し、米軍に対する脅迫的声明を発している。
イラク分析家らによれば、最近のイラクでは、アメリカがイラン攻撃を示唆しイスラエルがこの緊張を更に高めるにつれ、米軍に対する挑戦的な行為が増加している。
イランの支持を受けているとされるグループから大勢を拘束したとの米イラク双方の声明に反し、バグダードと国内南部の都市でイラクのシーア派による抵抗組織は活動を続けている。発見された武器隠匿所が示すように、イスラム抵抗を自称する小グループは活発であり、政府側はなす術が無い。
火曜(1日)、ディヤーラ県警察の治安筋が述べたところによれば、バアクーバ南部で別々に起きた2件の攻撃により、「覚醒」部隊の3名が殺害され他8名が負傷、負傷者には子供3名が含まれる。同筋によれば、バフラズ(バアクーバ南15キロ)郊外のイバーラ村で「覚醒」軍を狙った攻撃によりメンバー1名が死亡、他1名が重傷を負った。これに続き、身元不明の武装グループに殺害された「覚醒」メンバーの弔問の場を狙った攻撃が発生、メンバー2名が死亡、他7名が負傷した。負傷者は軍人3名、子供3名、警官1名である。
また、火曜、イラク国会石油委員会は、マーリキー首相、タラバーニー大統領、バルザーニー・クルド自治区大統領が署名した「極秘文書」が存在するとの報告を受けた。この文書は、自治区政府が中央政府の判断を仰ぐことなく外国企業と石油契約を結べるとするものである。しかし、クルド側は、自治区政府が石油契約を結べるというのは憲法で保証された権利であるとして、そのような文書の存在を否定している。国会石油ガス委員会で報告したジャービル・ハリーファ・ジャービルは、先月の自治区訪問の際、自治区政府とバグダード中央政府が署名した極秘文書を見たと述べた。
他方、フーシュヤール・ズィーバーリー外相は、火曜、国会において、今月末にバグダードとワシントンで調印される予定の長期治安協定草案に対する承認を迫った。外相は、協定の期間は1年ないし2年を超えないと強調し、この協定を受入れないという事は、国連による委任期間が延長され、公式な合意もないままに外国軍のイラク駐留が続くという事であり、それはイラクの望むところではない、従って、我々の前に選択肢は多くないと述べた。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:14213 )