シーリーン・エバーディー氏、平和について語る:「経済制裁、頭脳流出に拍車」
2008年07月05日付 E'temad-e Melli 紙
平和国民協議会の初会合が、「軍事攻撃や戦争」、「戦争でもなければ平和でもない現状」、ならびに「経済制裁をはじめとする制裁論議」に異議を申し立てることを目的として、先週木曜日に人権擁護協会事務所で開催された。この会合には、国内外から60人のメンバーが同協議会創立者委員会として集まった。
人権擁護協会会長であるシーリーン・エバーディー氏はこの会議で、21世紀が不快な事件で幕を開け、〔テロの容疑者とされる人々がグアンタナモ基地に拘束されるなどの〕多くの軍事的な拘束が行われるに至ったことに関して遺憾の意を表明し、以下の問いを投げかけた。「平和とは戦争がない状態のことを言うのでしょうか」。
つまり、ある国が直接戦争に巻き込まれていなければ、その国の人々は平和に暮らしていると考えて良いのか、ということである。エバーディー氏は「平和」の定義をし、以下のように語った。「21世紀における平和は、人間が自由に、個人の尊厳が保護された状態で暮らすことができるという条件のもとに成り立ちます」。「我が隣国イラクの運命について少し考えてみると、イラクにとっての戦争とは、イラクへの軍事攻撃の何年も前からすでに始まっていたと言えるでしょう」。
エバーディー氏は、「イラクは約10年にわたり経済制裁を受けており、公表されている統計によると5歳以下の子どもたち100万人以上が、粉ミルクと薬の不足により命を落としてきました」と指摘し、さらに次のように語った。「戦争は何年も前から、イラクの人々の命にとって不幸の源となってきました。言うまでもなく、軍事攻撃はこの状況をさらに悪化させたのです」。
「イラン・イスラーム革命の勝利は、被抑圧者の勝利でした。社会の不平等、不公正に苦しんでいた人々の勝利だったのです」と語る人権擁護協会会長はさらに、「あの日から30年の月日が経過した現在、政府の統計によると1千万人以上の人々が貧困線以下の水準で生活しているという現実を、私たちは目の当たりにしています。これはつまりイラン人の7人に1人は一日1ドル以下で暮らしているということなのです」と語気を強める。
エバーディー氏によると、これは政府の公式発表に基づくものであり、専門家の見解では実際の貧困者数はこの数よりも多いという。エバーディー氏は高い失業率や、労働賃金と生活費の不均衡は頭脳流出の原因ともなっており、ユネスコの統計によるとイランは頭脳流出の割合が世界で最も高く、残念ながら経済制裁はこの状況に拍車をかける要因となるだろうとも述べた。
「戦争でもなければ、平和でもない状況から脱出するためには、私たちには努力が必要です」と彼女は言う。「私たちはイランへの軍事攻撃や爆撃に反対なだけでなく、イランに対する経済制裁にも反対を表明します。軍事攻撃や経済制裁はイランでの貧困の拡大を招くでしょう。私たちはこの災難から免れるために、全力を注がなくてはいけません」。
エバーディー氏の考えでは、イランにとって必要なのは永続的な平和の確立であるという。21世紀にあっては、平和や戦争といった概念は国家の専権事項ではなく、人々こそが自らの運命、つまり平和とその条件という最大の問題について決定を下さねばならないのである。
〔後略〕
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( 翻訳者:綿引香緒里 )
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