イランがミサイル発射実験、米はイランとの衝突の可能性を否定
2008年07月10日付 Al-Nahar 紙

■ イランがミサイルの発射実験を実施、一部はイスラエルに到達可能
■ 米政府、「懸念」するも近いうちの衝突はないと判断

2008年07月10日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 イランがイスラエルに到達可能なものを含む9発の中長距離ミサイルの発射実験を行い、米国やイスラエルのあらゆる攻撃に対処できることを劇的な形で見せつけたが、ロバート・ゲイツ米国防長官は「アメリカとイランが近いうちに衝突することはない」と言明し、CIA(中央情報局)のマイケル・ヘイデン長官は、紛争が勃発した場合にもヒズブッラーが米国関連施設を攻撃することはまずないとの考えを示した。

 イランのテレビ局は、革命防衛隊が射程距離2000kmの改良型「シャハーブ3」を含むミサイルの発射実験をした様子を報道した。また革命防衛隊空軍のホセイン・サラーミー司令官は、「ミサイル数千発はあらかじめ設定された目標への発射準備ができている」と述べ、「軍事演習や実のない心理作戦によって我々を威嚇しようとする敵国に、我々の手は常に引き金にかけられていることを警告」した。

 アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、ロシア、イスラエルの政府は、イランのミサイル発射実験に懸念を表明し、イラン政府を非難した。また米政府はイランに、「本当に世界の信頼を得たければ」すぐにこの実験を止めるよう要求した。

 また、「イランのミサイル発射実験により、イランと米国の衝突の危険性は増したか」との質問に対して、ゲイツ国防長官は「そうは思わない」と述べ、「現在多くの動きがあるが、私は全世界が、いかなる紛争であれそれがもたらす結果を認識していると思う」と語った。そして「米政府は、特にウラン濃縮に関してイランの政策を変化させる方法としては、今後も外交手段と経済制裁を優先する」と強調した。

 ウィリアム・バーンズ国務次官(政治問題担当)は、イランの「挑発的な」政治姿勢を非難しつつも、イランの核開発は今なお「さほどのものではない」と述べ、イランに対する「強力な外交手段の行使」の継続を呼びかけた。

(後略)

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( 翻訳者:桑山沙央里 )
( 記事ID:14308 )