スーダン大統領がダルフールで演説、補佐官をダマスカスに派遣
2008年07月25日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ スーダンのバシール大統領、あらゆる当事者を含めたダルフールでの和平プロセスを約束
■ バシール大統領の演説で国際刑事裁判所と関係づけて罵られた米政府が不快感を示す
2008年07月25日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ハルツーム:カマール・バヒート本紙記者】
昨日木曜日、スーダンのウマル・アル=バシール大統領はダルフール訪問を締めくくるにあたり、同地方最西部の町ジュナイナで群集を前に演説を行った。バシール大統領は全ての武装勢力に対し、ダルフール危機の平和的解決の基礎を定めたアブジャ合意に参加して和平プロセスに加わるよう呼びかけ、和平プロセスはダルフールの誰一人として排除しないと約束した。
バシール大統領はダルフール地方の全ての地域で発展と安定を後押しすると明言し、一昨日にダルフール南部の町ニヤーラで発表した和平プランの概要を明らかにした。そのプランの内容は、治安と国家の威信を行き渡らせ、避難民や難民には便宜を図って元の地域へ帰還させて補償を与え、本格的な建材で家を建てるほか、保健衛生・教育・道路といった公共サービスを提供するというものである。
これに関してバシール大統領のダルフール訪問に同行したアメリカのアルベルト・フェルナンデス代理大使は今回の訪問への失望を表明し、「ダルフール危機の解決や地元民との取引の成立、和平プロセスのステップの提案などについて、新しい何かを聞くことができるものと期待していたが、アメリカやブッシュ大統領らに対する悪口の連続に驚かされた」と述べた。続けて、「罵詈はダルフールに何の解決ももたらさない。我々は国際刑事裁判所やオカンポ氏[※同裁判所の検察官]とは何の関係もない」と述べた。
さらにフェルナンデス代理大使は、「国際社会はスーダン政府に対し、たんなる約束ではなく、ダルフールの悲劇を終わらせるための取り組みを期待している。避難民が200万人も存在し、現在の治安状況・人道的状況が続くことは受け入れられないからである」と語り、スーダン大統領府の危機解決に向けたイニシアチブについては、「新しいところは何もない」と返答した。
一方、ダマスカスに派遣されているスーダンのガーズィー・サラーフッディーン・ウトバーニー大統領補佐官は、「私はアラブ・サミットの議長を務めるシリアのバッシャール・アル=アサド大統領に、スーダンの最新状況とスーダン指導層に対する国際刑事裁判所の訴追について報告した」と述べた。
ウトバーニー大統領補佐官はダマスカスでの記者会見で、アラブ・サミットの議長として、また地域・国際社会との関係において、シリアが担う役割の重要性を指摘しつつ、スーダンの治安と安定を奪うことを目的とする数々の批難に直面しているスーダンを支援するというシリアの姿勢を示唆した。同補佐官は、「このダマスカス訪問の間、シリアの同胞たちからあらゆる協力や支援をいただいた。シリアがアラブ世界の様々な問題に対して示しているゆるぎない原則的な立場から見て、我々が当初から期待していたとおりのものだった」とも述べ、「スーダンの統一と安定を引き裂こうと試みる陰謀を挫折させるために、アラブ連盟レベルで早急に動くことをシリア指導部は提案した」と指摘した。同補佐官はこのシリアの見解と提案をスーダン指導部に伝え、シリア指導部との協議に備えると説明した。
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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:14394 )