フーゼスターンの砂埃、原因究明へ向けサンプル調査:健康被害も
2008年08月04日付 E'temad-e Melli 紙

 数ヶ月前から〔イラクとの国境沿いの〕フーゼスターン州に飛散している砂埃に対し、最近新たにイラン南部の住民が多大な懸念を示し始めている。アフヴァーズ選出の国会議員が、フーゼスターン地方の砂埃に関して政府関係機関の責任者がきちんとした調査・対応を取っていないことを理由に、大統領に申し入れを行い、その後原因究明のために砂埃のサンプルが研究所へ送られたことが、今回の懸念のきっかけとなっている。

 砂塵を含んだ暴風は、数ヶ月間にわたってフーゼスターン州の住民たちを悩ませてきた。南部の住民が暴風と、それとともにこの地域一帯を覆う砂塵に直面した当初、この出来事が大問題に発展するとは思ってもみなかった。数ヶ月前から続く交通の混乱や停電、交通事故、その他のさまざまな事故に加えて、最近になってこの砂塵に関する新たな問題が浮上しているのだ。この砂塵が数十万人の命を脅かしているというのである。

 アフヴァーズ選出のセイイェド・シャリーフ・ホセイニー議員はこのことに関し、イラン学生通信に以下のように述べた。「砂埃は州内の活動に大きな打撃を与えているだけでなく、フーゼスターン市民の健康にも危害を加えている。この砂埃発生の後を追うように、多くの住民が呼吸器系の疾患を発症している。この州で起きている一部の病気の原因は、砂塵現象にある可能性がある。このことに関して専門的な調査が必要だ」。

〔中略〕

 統計によると、イラン暦ホルダード月27日、28日(西暦6月16日、17日)の両日に、大気汚染が原因で病院を訪れた患者数は205人にのぼっており、この間呼吸器不全が原因で二人が命を落とした。これとは別に、この間砂埃に加えてフーゼスターンの住民を悩ませてきたのは、この問題に関する正確で科学的な情報提供がなされてこなかったことである。このような中で、国と州の責任者は市民にマスクの使用を喚起する以外に、この現象を引き起こしている要因やそれへの対応策、ならびにこの汚染による危険の軽減策について、これといった発表は行っていない。

〔中略〕

 これまで責任者はこの問題の原因に関してほとんど言及しておらず、そのような沈黙が、さまざまな噂を煽ることにつながっている。そのような噂の中でも最も印象的なものに、汚染物質には〔イラクがイランとの戦争で用いた化学兵器の残骸など〕「強要された戦争」〔=イラン・イラク戦争〕に由来するものが含まれている、というものがある。他方、近年近隣諸国とこの問題に関して適切な話し合いを全く行ってこなかったばかりか、最近になって政府はフーロルアズィーム湿地帯のうち7,520ヘクタールもの土地を原油採掘事業のために石油省に委ね、現在同湿地帯に「最後の杭」を打ち込もうとしている。このことが、かつて砂嵐を「濾過」する役目を担ってきた湿地帯が乾燥化し、その後それ自身が砂塵を発生させる原因となっているのである。

〔後略〕

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( 翻訳者:綿引香緒里 )
( 記事ID:14477 )