■　バグダード訪問中のエルドアン首相、戦略的相互協力のため上級委員会結成を発表

2008年07月11日付クドゥス・アラビー紙（イギリス）HP１面

【バグダード：本紙】

　トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、木曜日にバグダードでイラクのヌーリー・アル＝マーリキー首相と会談を行った後、苦難を乗り越えようとしているイラクへの支援強化を呼びかけ、トルコの政府と国民はイラクの味方である、と強調した。

　エルドアン首相はマーリキー首相との共同記者会見の際、「イラクへの支援を我々近隣諸国のレベルで増やさなければならない」と述べた。また、イラクの人々に向けて、「イラク国民にご挨拶申し上げます。あなたがたが明るい展望を持ってこの困難な時期をくぐり抜けていかれますよう。私は常にあなた方のそばにいることでしょう」とのスピーチを行い、トルコの政府と国民がイラク国民の味方になることを強調した。

　一方、マーリキー首相は、［今回のトルコ首相の訪問が］両国間の相互理解のため行われた「歴史的」訪問であり、様々な分野での相互協力に広く地平線を切り開いた、と表現した。これに応えてトルコ首相は、「18年ぶりとなるこの訪問が歴史的であることは疑いない。（…）これほど関係が断絶していたイラクを訪問できたことを私は幸せに思っている。今後はこのような断絶が起きないだろうと信じている」と述べ、「私たち（イラクとトルコ）はこれから毎年、首相レベルで年１回、閣僚レベルでは年３回の会談を行う」と付け加えた。

　この記者会見でマーリキー首相は、両国間における戦略的相互協力のための上級委員会を結成し、経済、テロとの戦い、水資源など全ての分野における相互協力を組織していくと発表し、この上級委員会は年2回ずつ開かれると説明した。
　
エルドアン首相は、「私は委員長として、我々が設定した目標の実現に取り組む」と述べ、この戦略的相互協力の枠組みにはハイレベルでの共通意志が存在することを示した。また、マーリキー首相はトルコ企業に対し、イラクへの投資を呼びかけた。エルドアン首相によれば、両国間の通商規模が250億ドル平均に達するよう両国で取り組むという。

　このほかエルドアン首相は、トルコがイラク中央政府とクルド自治政府から、クルディスタン労働者党（PKK）との戦いに際し、支援を受けたと公表した。記者会見でエルドアン首相は、「我々は、PKK戦闘員との戦いにおいて、マーリキー首相の政府とクルド自治政府とから支援を得た」と述べ、PKKがイラクとトルコだけでなく、地域全体に対する脅威となっている、と説明した。

　エルドアン首相は、「我々はこの組織［PKK］が両国関係に害を及ぼすことを許さない。この分野ではお互いに共通の理解があり、この組織を排除する共通の意志がある」と強調した。両国はクルディスタン労働者党の問題に直面しており、特にトルコ軍がイラク領内への侵入を続け、クルド地域の一部で爆撃を繰り返している点が問題になっている。

　トルコはアメリカの諜報機関の支援を得て、イラク北部に存在するクルディスタン労働者党を標的として国境地域での空爆を何度も行っている。ここ数年イラク北部ではクルド人抵抗組織の２千人以上が複数の軍事拠点に立てこもっている、とトルコ政府は主張する。アメリカ、トルコ、EUはクルディスタン労働者党をテロ組織とみなしており、NATOの中でアメリカに次いで2番目に規模の大きい51万5千人の軍を持つトルコは、380キロメートルに及ぶイラクとの国境に沿って約10万人の兵を集結させている。

　エルドアン首相は、外相のアリー・ババジャンやエネルギー相のヒルミー・ギュレルなど4人の閣僚を含む随行団とともに、木曜日の朝バグダードに到着した。イラク当局はエルドアン首相の訪問に先立ち、トルコの複数の企業がイラクで投資プロジェクトの実行を要望していると発表していた。また、トルコのアナドル通信社によれば、トルコ首相はジャラール・タラバーニー大統領を含めイラクの指導者多数と会見する。

　2003年のイラク戦争後にイラクを訪問する中東地域の国家元首としては、エルドアン首相は2番目となる。その前には今年3月にイランのマフムード・アフマディネジャード大統領がバグダードへの歴史的訪問を行っていた。米政府はイラクとシーア派国家であるイランの関係が発展することに不安を覚え、イラク中央政府に対して外交関係を拡大するよう急き立てていた。

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（ 翻訳者:森本詩子 ）
（ 記事ID:14518 )