仏外相がシリア大統領と会談「レバノン・シリア間の正式外交関係は今年中に樹立へ」
2008年08月26日付 Al-Nahar 紙
■ クシュネル仏外相、アサド大統領との会談後会見:「レバノンとシリアの正式外交関係は2008年中に樹立へ」
2008年08月26日付アル=ナハール紙(レバノン)HP一面
【AFP、ロイター、AP、UPI、SANA】
フランスのベルナール・クシュネル外相は、昨日行われたシリアのバッシャール・アル=アサド大統領との会談の後、「シリア・フランス関係の新しい時代の幕開け」について語った。また、シリアとレバノンが2008年末までに相互に大使を派遣することを明らかにした。一方アサド大統領は、「対話は紛争解決の唯一の方策である」と述べた。
クシュネル氏はシリアのワリード・アル=ムアッリム外相との共同記者会見で、「レバノンでは進歩がみられる。...我々はそのように約束した。...レバノンがより良い状態になり、レバノン大統領の選出が可能になり...そして我々は今日、シリアとフランスの関係において新しい時代の扉を開くのだ」と述べ、「(レバノンとの正常な関係を樹立するための)プロセスを続行する前向きな意向の手応えを得た。今年末までに大使の相互派遣が行われる見通しだ。これを嬉しく思っている」と述べた。
またクシュネル氏は、シリア大統領と「危険な状態になり暴発する可能性のあるトリポリ市内の情勢」などレバノンの状況に関しても話し合ったことを明らかにした。また、「ヒズブッラーの問題もあり、我々はこれに大変関心を抱いている。イスラエル側とレバノン側双方からの声明の問題もある」と述べてイスラエルがレバノン爆撃を警告したことと、それに対するヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長の応答に言及し、「これら全てが問題だが、レバノン情勢は改善していると思う」と述べた。また、「これらの件は来月のシリア・フランス首脳会談で取り上げられるだろう」と述べた。
また、「フランスはこの地域で起きていること全てに注意を払ってきた。我々はこれまでシリアと良好な関係にはなく、レバノン国民に配慮していた。...我々の話していたことが全て実現したので、シリアとの関係を築いた」と述べ、「イラクとイランの情勢、中東和平問題についてムアッリム外相と協議を行った。シリアがトルコでイスラエルと協議していることについて祝福する」と述べた。
フランス大統領が9月3日から4日にシリアを訪問する際に行われる両国の首脳会談の議題について問われるとクシュネル氏は、「レバノン情勢、中東和平および二国間の経済・文化関係」だと答えた。さらにシリアが「イラク人避難民約150万人を受け入れていること」に敬意を表明した。
■ ムアッリム外相
ムアッリム外相は、「シリアとレバノンの関係は、あくまで両姉妹国家の独自の意思の問題だ。我々は、フランスやその他の国々がこの一歩を奨励していることについては理解している」との見解を示した。
シリア・フランス関係の発展については、アメリカの姿勢に言及しつつ「歴史的、地理的な現実に対応し、正常な状態に戻りつつある。この地域は国際的単独行動主義に苦しめられており、人々は不正とダブル・スタンダードに苦しんでいると感じていた。それゆえにこの地域の人々は信頼を取り戻させてくれるフランスの役割に注目している。フランスとヨーロッパは、地域の安全と安定をもたらす解決策を見出すべく努めているからだ」と答えた。また「シリアはフランスに手を差し伸べ、シャルル・ドゴール大統領が果たした役割を想起させるような特別な役割を我々の地域で果たすよう期待している。我々はこのフランスの役割をもって何者かに敵対しようとしているのではなく、フランスが平和の実現と地域の安定を促すフランスの役割に期待しているのだ」と述べた。
シリア・イスラエルの間接的な協議については、ムアッリム氏は「残念ながら、直接協議に発展するのに十分なほどには進展していない。しかし我々は、双方とも問題の解決に真剣に取り組んでいると感じている。これらの問題は現在議論のテーマになっており、特に1967年6月4日のラインを特定するための議論が行われている」と述べた。
クシュネル氏はベイルートからダマスカスを訪問し、数時間にわたってフランス大統領の訪問に向けた準備を行った。シリア大統領府の声明によるとアサド大統領は「対話と外交を紛争解決の唯一の方法とする必要がある」と述べ、「イスラエルによるアラブの土地の占領を終わらせることが、中東における恒久的な安全と平和の実現を保証する唯一の道だ」と言明した。
同声明によると、「アサド大統領はクシュネル外相と今日のダマスカスでの会談において、中東およびカフカス地方の情勢と、両地域で望まれている平和を脅かす危険について協議した」。また「クシュネル氏は、シリアが中東の危機を政治的に解決するよう模索するために果たしている役割に謝意を示し、フランスがEU議長国としての自らの役割を果たし、中東における責任を引き受けようとしていることを指摘した」という。
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( 翻訳者:梶原夏海 )
( 記事ID:14626 )