レバノン軍ヘリ操縦士死亡でヒズブッラーがメンバーを司法当局に引き渡し
2008年08月30日付 Al-Nahar 紙

■ デイル・アル=アシャーイル水資源へのシリアの侵害行為に対し閣僚会議で非難、スレイマーン大統領が連絡協議中
■ サルバでは喜び、タンヌーリーンでは悲しみ、国軍司令官の選出方式で5閣僚が反対
■ ヒズブッラーがメンバーを司法に引き渡し、多数派閣僚は防衛戦略について問題を提起

2008年08月30日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面

 サーミル・ハンナ操縦士殉職の渦中、国軍司令官にジャン・カフワジー准将が任命された。任命の数時間前には、一昨日トゥッファーフ地方のウラムティ・スジュド間で国軍のヘリコプターに発砲したヒズブッラーのメンバー1人が司法に引き渡されたとの発表があった。この発砲によってハンナ大尉が殉職、マフムード・アッブード操縦士が負傷している。

 ミシェル・スレイマーン大統領、フアード・アル=セニョーラ首相、イリヤース・アル=ムッル国防相が、「発砲者の1人が司法に引き渡された」と発表したことは注目を集めた。これは、ヒズブッラーがメンバー1人を引き渡しても、司法的に事が決着したわけではないということを意味する。昨日バトルーン郡タンヌーリーンで行われたハンナ大尉の葬儀に明らかなように、大尉の殉職は国民の間で大きな位置を占めている。また政治的にも、ほぼ全ての勢力を巻き込む様相が認識されるにつれ、小さな扱いにとどまるかも知れないとの予測を上回る大問題となっている。

■ 閣僚会議

 閣僚会議での出席者の発言には、基本的な要点が2つあり、1つ目はヘリコプター墜落事件に関するものであった。スレイマーン大統領、セニョーラ首相、ムッル国防相が示した情報により雰囲気が「和らぎ」、またヒズブッラーがメンバーを国軍司法当局に引き渡したことが発表されたことを受けて、[※ヒズブッラー所属の]ムハンマド・フナイシュ労働相は、「ヒズブッラーは起きたことを遺憾に思っている」と述べ、「この出来事が繰り返されないよう協力する」と約束した。

 多数派勢力所属の閣僚の大半の発言では、単発的な事件の域を超えるこのヘリコプター事件に取り組む必要性が強調され、あらためて防衛戦略問題に注目し、大統領の呼びかけによる対話会議の開催を急ぐ必要性が主張された。

 各閣僚の発言の2つめの要点としては、国軍司令官の任命問題が取り上げられた。「民主主義会合」所属の閣僚ガーズィー・アル=アリーディーとワーイル・アブー・ファーウールは、カフワジー准将の選出について、人物にではなく採用された方式に対して異議を唱えた。2人は選出の基準が個人の資質であるのか政治的合意であるのかを問いかけ、いずれの閣僚にもこの問題について知る権利があり、秘密裏に料理されたうえで閣僚会議のテーブルに乗せられるべきではないと主張した。また、いずれの政治勢力にもこの件に関して拒否権を持つ権利はないと強調した。

「レバノン軍団」所属の閣僚イブラヒーム・ナッジャール、アントワーン・カラムの2人は、国軍司令官の選出に採用された方法に反対し、イブラヒーム・シャムスッディーン行政改革担当相は国軍と防衛戦略の問題に関する基本的なコメントを行った。

 カフワジー准将を国軍司令官に任命する件は投票にかけられ、賛成21票で可決された。「民主主義会合」と「レバノン軍団」の閣僚4人は反対し、シャムスッディーン行政改革担当相は投票を棄権した。また、閣僚4人が欠席していた。

 夜には多数派勢力の有力な閣僚が本紙に対し、閣僚会議での投票の結果は「軍組織に対する我々の支援には影響しない。むしろ軍組織を支援し維持していく意志はより強まるだろう」と述べた。

 国軍司令官の任命とそれにともなう状況の展開により、在バチカン・レバノン大使として任命されたジョルジュ・フーリー准将に代わる情報局新長官の任命がより困難になると見られており、次の段階では異なるアプローチの確立が求められるだろう。

(後略)

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:14650 )