イスラエル、ハマースが用意した釈放者リストは無視して独自のリストを準備
2008年09月10日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ハマースが用意したリストを無視して釈放者リストを準備
■ イスラエル、シャリットを解放させるために通行所を閉鎖し地区に侵攻するとハマースに脅し
2008年09月10日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ナザレ:ズハイル・アンドラウス本紙記者】
テルアビブの政府高官筋は昨日(9日)火曜日、「ハイム・ラモン副首相が代表を務める捕虜・行方不明者問題閣僚委員会が日曜日に会議を行い、イスラエル治安機関の各長官も出席した。委員たちは〔拉致されたイスラエル兵〕シャリットとの交換取引のため、イスラエル政府が釈放に合意するパレスチナ人囚を記載したイスラエル側のリストを準備した」と語った。同筋によると、このリストにはイスラエルの刑務所に収監されているパレスチナ人囚450人の名前が記載されている。オルメルト政権はエジプトの仲介を通して、彼らをハマースに引き渡すことになる。またこの会議には、エフード・オルメルト首相、ツィピ・リブニ外相、エフード・バラク国防相、治安機関の各長官が参加した模様。
同じ筋によると、エジプト側高官がイスラエル政府に対し、「ハマースは要求を増し、姿勢を硬化させている」と伝えてきたという。つい最近までハマースは450人の釈放を要求していたにもかかわらず、現在では1500人のパレスチナ人囚の釈放をイスラエルに要求している。さらにハマースは、イスラエルの情報筋によると、イスラエル人・ユダヤ人を殺傷したパレスチナ人囚も含む新しいリストを準備してきたため、捕虜交換問題を担当するイスラエルの閣僚委員会がこの件について話し合ったという。
イスラエルの「ハアレツ」紙の報道では、閣僚委員会が作成したリストはすでにオルメルト首相に渡されており、首相が目を通して受け入れ可能か否か、このリストを公式に採用してイスラエル政府からの公式提案としてエジプトに届けるかどうかの決定を下すことになる。パレスチナの組織との捕虜交換取引でイスラエル政府がパレスチナ人囚のリストを準備したのはこれが始めてであることに同紙は注目し、エジプトを通してハマースから提出されたリストは考慮に入れられなかったと強調した。政府高官筋は「閣僚委員会の議論は大きく前進した」と話し、「オルメルトはこのリストについて、ツィピ・リブニ外相、エフード・バラク国防相と話し合うだろう」と指摘した。リストが承認された場合、ハマースとの間接交渉におけるイスラエル側からの実現可能な提案として、オフェル・デケル拉致兵士担当政府代表がエジプトにリストを渡す予定。
イスラエル筋は昨日、捕虜交換取引協議でハマースが譲歩を見せないことから、イスラエルはガザ地区のハマースに対して一連の行動を起こす決意だという内容の書簡を先週の間に数回エジプト側に渡したことを明らかにし、「ハマースとの協議は現在、完全に凍結している。態度を軟化させるよう、エジプト情報長官オマル・スレイマーンがハマースに説得を試みたが、失敗した」と指摘した。また同筋は、数週間前に本紙のみが報じた「イスラエルがエジプトを介してハマースに『もし協議が前進しなければ、イスラエルは通告なしにガザ地区で多くの軍事行動を取るだろう』と強い口調で脅す書簡を送りつけた」との報道内容を確認した。
それに対しテルアビブの政府筋は昨日、「捕虜交換取引におけるハマースの態度を軟化させるためのイスラエルの行動には、ガザ地区の各通行所の閉鎖と同地区への集中的な軍事侵攻作戦が含まれる」と語った。
そんな中、日曜日にエジプトのオマル・スレイマーン情報長官と会見したヨッシ・ベイリン〔訳注:和平推進派のイスラエルの政治家〕は、ファタハとハマースの和解を含めたガザ地区での包括合意に到達することで〔イスラエルとの〕停戦を延長し、その代わりにガザのハマース指導部は彼らを暗殺しないとの誓約をイスラエル側から受け取るという案を考えているとスレイマーン長官に聞かされたと語った。
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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:14709 )