レバノン駐在国連代表のグルジア転任、「イスラーム主義過激派」の脅迫が原因か
2008年09月19日付 Al-Nahar 紙
■ 国連調整官のレバノンからの転任決定は「脅迫」が原因!
2008年09月19日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【UPI】
ベルギー紙『ル・ソワ』が昨日報じたところによると、潘基文国連事務総長は、ベイルートの国連調整事務官をグルジア共和国の首都トリビシに転任させる決定を下していた。「イスラーム原理主義過激派による」度重なる脅迫が原因だという。
同紙によると、ベルギーのヨハン・ヴェルベッケ前国連常駐代表は8月4日、トリビシにおける事務総長特別代表に任命された。トリビシではヴェルベッケ代表任命の4日後、分離独立を主張するアブハジア共和国と南オセチアが火種となり、ロシアとグルジアの間で全面戦争とも言うべき流血の紛争が勃発している。
ベルギー外務省は4月12日に声明を発表し、誇らしげな口調で、ヴェルベッケ大使が「国連事務次長待遇で」レバノン特別調整官に選ばれたと伝えていた。
ベルギーのカレル・デ=グフト外相は、ヴェルベッケ氏の任命を歓迎した。同氏は国連エイズ合同計画(UNAIDS)のピーター・ビオット事務局長や旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷のセルジュ・ブランメルツ検察官と同様に、国連で重要なポストにつくベルギー国民の1人である。
『ル・ソワ』紙によるとヴェルベッケ氏は、実際にはレバノンでの任務を遂行することができなかった。ヴェルベッケ氏は、ミシェル・スレイマーン中将がレバノン新大統領に選出された数日後、ギア・ペダーソン前レバノン駐在国連代表の後任として6月4日にベイルートに到着した。国連レバノン暫定軍(UNIFIL)の拡大につながった国連安保理決議第1701号の履行監視を委任されていた。
7月24日、ニューヨークの国連本部である記者がミシェル・モンタス国連総長報道官に対して、ヴェルベッケ氏がベイルートでの公的な活動に姿を見せていないことについて質問したところ、報道官は「ヴェルベッケ氏は個人的な家庭の事情でベイルートから帰国せざるを得なくなった」としつつ、レバノン駐在国連特別調整官にはなお在任中であると述べた。
8月1日、すなわちグルジアでの新しい職務への任命が発表される数日前には、国連報道官はヴェルベッケ大使の転任は「個人的な理由」によるものだと強調していた。しかしヴェルベッケ氏がベイルートで脅迫に遭っていたのではないかという記者らの質問に対して、モンタス報道官は「私は詳しいことは知らない。事務総長はヴェルベッケ氏をグルジアでの職務に任命することを選んだ。何故ならそれが、現在の難局にあってグルジアでの国連派遣団の活動の継続を確かなものにするための良い手段だと考えているからだ。国連では安全上の問題についてはコメントしない。これが我々の一般的なポリシーだ。したがって、レバノンに関する情報については、肯定も否定もできない」と述べた。
ベイルートでは、国連レバノン駐在事務所のパスカル・キッスィース報道官が「ヴェルベッケ大使は実際に、今夏初頭に家庭の事情でベイルートを出発し、グルジアでの難局にあたって同国駐在の特別代表に任命された」と発表した。
しかし『ル・ソワ』紙が国連の「消息筋」の話として伝えたところでは、ヴェルベッケ氏は「イスラーム原理主義過激派」から本人に対する度重なる脅迫を受けていたという。同筋によると、脅迫の原因としてはヴェルベッケ氏が国連常駐代表を務めていた際に、国連安保理においてイランやアル=カーイダ、ターリバーン運動、および両組織と関係のある個人に対する制裁を検討した委員会の委員長を務めたことと関係があるという。
ヴェルベッケ氏は現在ニューヨークに滞在中で、今月末にはジャン・アルノルト前特使の任期が終了した後に正式にトビリシに移転する予定である。
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( 翻訳者:松原翔 )
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