テレビドラマ・ブーム!―端役希望者、5万人が順番待ち
2008年10月05日付 Milliyet 紙

ドラマ業界は、10億YTL(730億円)の経済効果とともに、スクリーンに数秒映って少しの金を稼ぐことを望む人々にとっても重要な雇用の場となっている。学生から弁護士まで、芸能事務所には合計5万人が登録されている。

ドラマの数がこの3年で飛躍的に増えたことで、10億万YTL(730億円)にのぼる経済効果とともに5万人のエキストラがうまれた。イスタンブル・独立会計士諮問組合(ISMMMO)の「ドラマによる経済効果」についての調査によると、芸能事務所への登録のために最高200YTL(14600円)の費用が支払われ、ドラマで約10秒間画面に映ると20~30YTL(1460円から2190円)を得るが、その一部は芸能事務所に支払われているという。
「ドラマによる経済効果」の報告書によると、今季は20本の新作を含め、63本の国内ドラマが放送され、芸能事務所はエキストラを含めあらゆるランクの役者の必要性に重点的に応えている。報告書によると1990年代初頭には5社だけだった芸能事務所の数が今日では100を超えているという。このうち20社はドラマ部門で積極的に活動している。

■1日に50人が登録
芸能事務所に登録された人数は5万人に達すると思われる。弁護士から主婦、技術者から学生までさまざまな職業につく人々が広告、映画、ドラマに出演するため芸能事務所に40~200YTL(2920円から14600円)の登録料を支払っている。写真とテストフィルムの撮影のためとされるこの費用は、非合法であることが明らかである。しかし事務所には1日平均50人の登録が続いている。
芸能事務所は役者をドラマの撮影現場に派遣する際にも制作会社から報酬を得ている。契約によると、芸能事務所は、制作会社によって払われた報酬の20%を受け取り、残りは役者に支払わなければならない。しかし役者たちによると、いつもエージェントが取る金額が70%に達するという。
芸能事務所に登録している人たちは、役者業を趣味としてやっており、そのうちの一部は名声につながることを望んでいる。報告書によると、「企業の顔になる」もしくは画面に自分が映るということが、人々をこうしたことにひきつけるという。

■5時間待機
芸能事務所を通してドラマに出演する役者は一般的に単なるエキストラとして出演している。画面に映るエキストラとして撮影セットに向かう人々は、役のためにいつも4、5時間待機し、得られる報酬はというと20~30YTL(1460円から2190円)である。一言の台詞がある役者は、エージェントを通して撮影セットに行くと、最大70~100YTL(5120円から7300円)を稼ぐ。役者が直接制作会社によって呼ばれた場合、一言つまり10~20秒の台詞を演じて得られる報酬は50YTL~200YTL(3650円から14600円)である。ストーリー上重要な小さな役を得ると、一話につき500YTL(36500円)をもらえる。

■町も役者のように有名に
報告書によると、「ドラマによる経済効果」のもうひとつの重要な部分に観光がある。カッパドキアからマルディンまで、非常に多くの地域がドラマとともに再発見され、旅行者たちにとっての魅力を増している。ドラマで最も人気の増した場所の1つは、疑いなく「蔓のある屋敷」のドラマが撮影されたカッパドキアである、カッパドキアではその後、「ニレの木」、「チグリス川」、「最後のアー」、「傷ついた心」といったドラマが撮影された。町の人々もエキストラとしてドラマに出演した。
重要なドラマの中心地の1つマルディンではこの7年で12本のドラマと3本の映画が撮影された。多くの文明を有するマルディンは、「スラ」、「狼たちの谷」といったドラマによってより知られるようになった。2002年にマルディンを訪れた国内の観光客は2万5000人だったが、去年にはこの3倍まで増えた。

■80分のドラマに30分のCM
テレビで最もよく見られている番組がドラマであり、テレビ局もドラマに挿入するコマーシャルで高い収入を手にしている。ISMMMOの報告では平均80分のドラマの間に30分のマーシャルが入れられているという。
ゴールデンタイムである20時~23時のコマーシャルの1秒あたりの値段は200~400YTL(14600円から29200円)である。調査によると、テレビ局はドラマ1つあたり36万~90万YTL(2628万円から6570万円)のコマーシャル収入を手にしているという。
20時~23時の間に放送される番組の80%をドラマが占める一方、この時間帯のコマーシャル収入はテレビ局の利益の70~80%に達する。

■10億 YTL(730億円)の経済効果
1話あたりコストが10万~30万YTL(730万円から2190万円)のドラマは、広告とスポンサー収入によって約10億YTLの経済効果を作り出している。ドラマ1話あたりの予算は、6万YTL(438万円)から始まり、最も多く見られた「狼たちの谷」と「千夜一夜物語」では50万YTL(3650万円)に達する。
ドラマ1つあたり平均コストを20万YTL(1460万円)として計算すると、今シーズン公開されている63の国内ドラマ1年分の撮影コストは5億YTL(365億円)を超える。これにドラマ1話あたり少なくとも30万YTL(2190万円)のコマーシャル収入と1万~7万YTL(73万円から511万円)のメインのスポンサー収入も加えられ、年間少なくとも10億YTLのドラマ経済効果を生み出している。

■100人が働いている
「ドラマの経済効果」のもっとも重要な推進力は、役者とスタッフである。1つのドラマに平均20~30人の役者が出演する一方、役者以外のスタッフとしてこの2、3倍の技術者グループが控えている。編集段階になりスタジオで働く人々とともに、1つのドラマに関わる人数は60~100人に達する。ドラマの制作には食事の用意をするスタッフからチャイ屋、道具係からスタイリストまで何十もの異なる仕事で働く人たちが関わっている。

■ポラト・アレムダル役に1話あたり7万5000YTL
「ドラマの経済効果」についての報告書によると、あるドラマで主役もしくは主役級の人たちが得る出演料はドラマの予算の20%を占める。主役たちは1話あたり一般的に1万~3万YTL(73万から219万)の出演料を稼ぎ、トルコでもっとも稼ぐドラマ俳優であるネジャティ・シャシュマズが「狼たちの谷」で「ポラト・アレムダル」の役で1話あたり7万5000YTL(547万円)を得たことが明らかにされている。
テレビドラマで重要な役は一般的に演劇や映画出身の役者が演じる。スター俳優、中堅役者、性格俳優の大部分は国立劇場や一般の劇場出身者で、劇場にも出演している。

■音楽収入も
ドラマの中で重要な役割を果たしている音楽担当者にもかなりの予算が配分されている。ドラマの音楽のために1話あたり2000~8000YTL(146000円から584000円)の費用が支払われている。このように、ドラマの音楽は、3000万YTL(21億9000万円)のトルコ音楽市場のうち5%のシェアを獲得している。トルコでドラマ音楽と言って最初に思い浮かぶ名前といえばクラチであるが、今までに「ゼルダ」、「イスタンブルの物語」、「アリイェ」、「白い花嫁」、「千夜一夜物語」、「雨の時」などのドラマの音楽を担当した。
ドラマ音楽はただドラマで放送されるだけにとどまらない。ドラマの最中もしくは終わった後にアルバムも作られる。ドラマ音楽は携帯電話の着信音としても利用され、収入をもたらしている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:14839 )