エジプトでイスラームに改宗した妹夫婦をキリスト教徒の兄が襲撃
2008年10月08日付 al-Quds al-Arabi 紙

■エジプトでキリスト教徒が妹とその夫に発砲、イスラーム改宗への報復で
■「教会の情報相」と呼ばれる人物が、イスラーム教徒のキリスト教への改宗を許可するよう国に要求

2008年10月08日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【カイロ:本紙】

エジプト治安筋は昨日、「妹がイスラームに改宗し、イスラーム教徒と結婚したことに怒ったキリスト教徒がカイロにある夫婦の住居を襲撃、家族に銃を乱射して夫を殺害し、妻のマリヤム・アーティフ・ハッラと二人の娘ノーラに重傷を負わせた」と語った。

同筋によると、ラーミー・アーティフ・ハッラ(28才、職業:運転手)は叔父のラアファト・ハッラと共謀し、カイロのアミーリーヤ地区の家に押し入って機関銃を発射、アフマド・サラーフ・バサーティーを殺害した。また同件によりアフマドの妻マリヤム・アーティフ・ハッラと1歳半になるその娘ノーラに怪我を負わせた。2名は意識不明の状態で病院に搬送された。

同筋によれば事件は一昨日の夜に発生し、警察が実行犯とその親族を捜索しているという。〔マリヤム・〕ハッラはイスラーム教徒の男性と結婚するため、家族の希望に反して3年前にイスラームに改宗した。彼女の兄は別れてキリスト教に戻るよう、彼女とその夫に要求したが、夫婦は拒否していたという。

エジプトでは少数派のキリスト教徒と多数派のイスラーム教徒との関係は普段は平常なのだが、礼拝堂や女性をめぐって諍いがおき、暴力沙汰に発展することがある。この事件の数日前にもエジプト中部で銃や棒、石が持ち出される宗教間衝突があり、キリスト教徒1名が死亡、キリスト教徒3名とイスラーム教徒1名が負傷していた。

1999年にエジプトでは過去数十年間で最悪の宗教間衝突が起き、南部でキリスト教徒20名が殺され、22名が負傷、店舗数十件が放火された。2006年には地中海沿岸のアレクサンドリアでイスラーム教徒がキリスト教徒1人を刺殺、5名を負傷させる事件があり、イスラーム教徒1人が殺される衝突に発展した。政府はイスラーム教徒の犯人は精神に異常があったと発表した。

この最中、『コプト教会の情報相』と称せられるある大物が、キリスト教への改宗を望むイスラーム教徒をエジプト政府が禁じている理由に疑問を投げかけ、「教会の主な仕事は伝道であるにもかかわらず、教会は伝道を行っていない」と発言した。

ショブラ・ヘイマの司教でコプト正教会評議会広報委員会報告者のアンバー・マルコス司教は、エジプトにおけるイスラーム教徒とコプト教徒の信仰の自由という原則を尊重するよう政府に求め、「コプト教徒問題」について、政府がコプト教会と話し合う対話を開くよう呼びかけた。

マルコス司教は昨日のドイツ通信社とのインタビューで、「キリスト教に改宗したがっているイスラーム教徒もいる。国はなぜ彼らから信仰の自由とキリスト教を選択する自由とを奪っているのか。コプト教徒にはイスラームに改宗する自由があるのに」と語った。

(後略)

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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:14926 )