憲法裁判所、AKPは暴力を用いておらず解党は不適切、と理由を公表
2008年10月24日付 Yeni Safak 紙

憲法裁判所は、公正発展党(AKP)の政党助成金の半分削減に関する判決理由を公表するため、官報に送った。同裁判所は、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相を始めとする公正発展党員の発言や声明が「世俗主義」の原則に反していると判断した。

■政権を悪用しなかった

公正発展党が反世俗的活動の焦点を形成していると主張されたにも関わらず、「暴力を扇動する」政党ではないことに注目が注がれた。判決では、こう述べられている。
「大学でのスカーフ着用解禁を目的とし、トルコ大国民議会(TBMM)代表である一部の政党所属の国会議員の提案及び総会での投票時の賛成票により承認された第5735号の憲法改正に関する法律が、世俗主義の原則に反しているという理由で取り消された後、被告である政党(公正発展党)が有権者層をデモや暴力的行動に扇動するなど、政権を悪用したという証拠は見受けられなかった。この見解と同様に、被告政党が民主主義及び世俗主義国家の秩序の転覆、または憲法による秩序基盤に暴力を用いたり、不寛容に破壊する目的でこの目的を具体化する活動をしたり、与党であることを利用し暴力に訴えたといった証拠は確認されなかった。よって(同政党の)活動は、解党に値するほど重大なものではないと結論づけられた」

■脅威は防がれた

憲法裁判所の判決の過半数の見解において、政党の重要性が強調されたことに関心が集まった。判決理由では、次のように述べられている。
「民主主義体制がすべての組織や法律により浸透した国々で、民主主義的原則に反する目的を持たず、暴力を扇動したり道具として使用しておらず、民主主義及び民主主義で定義される権利や自由を脅かすことを目的とした政党ではない限り、政党の解党は認められない。我が国の憲法でも、政党が単なる考えを表明しただけで、政治活動の自由が求める、社会の要求を平和裏に法整備によって対応しようとする努力が原因で解党されなければならないと判断されることは憲法とは合致しない。なぜなら、自由主義で民主主義的な政治体制を前提にした我が国の憲法は、起こりうる法的整備や行政上の手続きに司法監視の条件と組織を設けることで、法的な道筋から生じうる脅威を防いでいるのである」

■自由とは常に異なる考え方をもつ人たちだけのもの

憲法裁判所ハシム・クルチ長官は、反対票についての説明の見出しに、ローザ・ルクセンブルグの「自由とは常に異なる考え方を持つ人たちだけのものである」という文章を入れた。クルチ長官が引用したローザ・ルクセンブルグは、ドイツの資本家階級に89年前に虐殺された労働者階級の共産主義指導者のひとりである。クルチ長官は、反対説明文の中で政党の解党に反対して次のように述べた。
「政党は、宗教的信条を受け入れる、またはそのプロパガンダをすることは出来ない。国の体制を宗教の戒律で統治する要求を出すことはできない。しかし、この信条、あるいは宗教的教義が外界に反映されることで、宗教を信奉する者たちが必要としている自由に関心をもつことは妨げられない。このため、憲法裁判所は政党の解党訴訟では、民主主義、世俗主義、そして法治国家の基本的要素が政党により否定されたかどうか、また政党が民主主義的で世俗的な法治国家に敵対心を抱いているかどうか、そして人間の尊厳を侮蔑する目的の有無、または異なった考えを持つ人に不寛容であるという点を精査しなければならない」

■政教分離に反する活動

憲法裁判所の判決では、公正発展党が行った反世俗主義的な活動として、被告政党が憲法68条第4項で明示された『民主主義で世俗的な共和国』の原則に反するいくつかの活動をしたことが明らかにされた。大学で実施されているスカーフ禁止、コーラン学校に対する年齢制限やイマーム・ハティプ高校で実施されている大学入試における得点係数制限の廃止については社会的な要請の声がある。しかし被告政党は、この方向での政治的な闘争を、憲法の具体的規則に現れている世俗主義原則の方針に適したかたちで進めたと主張することはできない。この問題は、社会に分裂や緊張をもたらすほど、政治における基本的な問題となった。そして社会が宗教的な事項に払う配慮が、単純な政治的利益のために道具として使われ、社会の基盤である経済的・社会的・文化的な問題が政治の議事事項に入ることが困難となった。

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( 翻訳者:田辺朋子 )
( 記事ID:14970 )