イラク情勢:クルド自治区大統領による米軍基地歓迎の発言他
2008年11月03日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ バルザーニー、イラク・クルディスタンでの米軍基地設置を歓迎
■ ディヤーラ、「覚醒」部隊指導者とその家族が死亡

2008年11月03日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【バアクーバ(イラク):ディヤー・アッ=サーマッラーイー(本紙)】

イラク治安筋の発表によれば、昨日日曜(2日)、騒乱の続くバグダード東北のディヤーラ州で起きた爆発により、「覚醒」部隊リーダーとその夫人並びに子供4人が死亡した。爆発は、南バハルズ(バアクーバ南部)において、その地区の「覚醒」部隊リーダー、アッバース・アッ=ターミーの車が通行した際に発生。アル=ムジャンマア部族のシェイクであるターミーはバアクーバへ向かうところで、現場は自宅から200メートル離れた地点であった。

「覚醒」部隊はイラク各地でアル=カーイダ及び過激派グループと戦っているが、バハルズ地区にはアル=カーイダは存在せず、周辺地域にそのメンバーが散っている事が示されている。


また、日曜、高位のイラク治安関係者の発言によれば、武装グループによるイラク領土への侵入通路を塞ぐため、内務省が援軍をシリア国境へ派遣した。同省の作戦指揮官、アブドゥルカリーム・ハラフ少将は、「国内への侵入を可能にしていると思われる幾つかの重要な地点を補強するため、国境警備隊とアンバール警察部隊を派遣した」と述べた。

報道が伝えるとおり先週日曜、アンバールと接する国境地帯アル=ブーカマールのスッカリーヤ村をアメリカのヘリコプターが空爆した後、シリアは国境地帯に駐屯させていた軍の一部撤退を決定している。

アンバールはルマーディーで最大の町であるが、その警察部隊指揮官、ターリク・ユースフ・アル=アスル少将によれば、シリア軍がその駐屯地から引いた後を埋めるべく、県警察から3中隊を派遣した。アスル少将は、「我々の部隊は緊急事態に備えて展開している。(……)、国境情勢は掌握しており、誰であれイラクへ侵入しようとする者は阻止されるだろう」、「シリア軍はこれまで何をしてきたのか。(……)、彼らがいたにも関らず侵入者達は好きなようにイラクへ入ってきていた」等述べた。


他方、地元クルド紙によれば、クルド指導者マスウード・アル=バルザーニーは、ワシントン・バグダード間の治安協定が署名に至らなかった場合、イラク・クルド自治区の「議会、政府、市民」は、同地区での米軍基地設立を「歓迎する」と述べた。

クルド民主党の機関紙「ハーバート」が伝えるところによれば、自治区大統領は、金曜(10月31日)ワシントンの国際戦略研究センターでの会合で、2008年以降のイラクにおけるアメリカの駐留を合法化するための「協定に、もし署名が成されなかった場合、自治区議会は米軍基地設置を承認するだろう事を確信する」と発言した。

通訳をとおしてバルザーニーは次のように述べた。

「現在は協定の署名に集中すべきであり、そのために我々は全力をあげている」、「署名が成されず合意に達さなかった場合に合衆国からクルド自治区に基地設置の要請があれば、自治区の議会、市民、政府はそれを歓迎するものと確信している」、「イラク治安情勢の悪化は、湾岸地域と恐らくそれ以外の地域でも、経済に多大な影響を与える。協定は、イラクをテロ集団の聖域にするのを防ぎ、治安が掌握されたうえで米軍が撤退するというスケジュールを含むものと考える」

ワシントン訪問によりバルザーニーはブッシュ大統領、チェイニー副大統領他と会見した。バルザーニーは、治安協定を「主権には抵触しない」として擁護するが、イラク政府は、米軍の駐留延長の可能性を無くす事、米兵の法的地位をはじめとする5項目について見直しを求めている。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:15043 )