ローザンヌ条約を署名したときの机、スイスからトルコへ
2008年11月12日付 Milliyet 紙

スイス連邦大統領であるパスカル・クシュパン氏は、トルコ共和国独立を承認した歴史的なローザンヌ条約に、イスメト・イノニュが署名した時の木製の机をギュル大統領に贈呈した。ギュル大統領は、「トルコ共和国樹立の証人ともいうべきこの机は、当然ながら、倉庫に放置されることなく、最良の方法で展示される予定です」と述べた。

80年前にスイス初代大使がトルコへ派遣されたことで、両国間で正式に始まった外交関係を記念し、昨日11月11日にトルコ・オジャウ・センターで祝典が挙行された。祝典前に、アブドゥッラー・ギュル大統領とスイス連邦大統領であるパスカル・クシュピン氏は、スイス開発協力局が75万ドル出資して進められるコンヤ県、ムーラ県、コジャエリ県での「青年基金サン・プロジェクト」について説明を受けた。クシュパン氏には、背中に彼の名前が刻まれたコンヤスポル(訳注:トルコ・コンヤに本拠地を置くサッカークラブ)のユニフォームが贈呈された。

■ 「わが国の軍は机も運搬します」
クシュパン氏は、祝典で行ったスピーチで、スイスから初めて1928年にアンカラ大使が赴任し、ムスタファ・ケマル・アタテュルク大統領に信任状が渡されたことに触れた。クシュパン氏は、トルコが彼らにとってとても重要であると述べ、スイスで1923年7月24日に調印されたローザンヌ条約の歴史的重要性を強調した後、イノニュがその歴史的条約に署名した際の木製の机をトルコ側に贈呈した。
クシュパン氏は、祝典で壇上に登場したスイス軍オーケストラにも言及し、「わが国の軍はトルコに机を運搬しました。スイス軍は、机も運びますし、演奏もします」とジョークを飛ばした。
クシュパン氏は、机をトルコ側に渡す前に一度触ってみたいと述べ、大きく、どっしりとして、立派な机を目にし、これが両国間の強固な関係を象徴していると語った。

■ 「倉庫に放置されない予定」
ギュル大統領もそのスピーチで、この80年間で始めてスイスから国家元首レベルでの訪問が実現したことで、両国関係が加速したと強調した。ギュル大統領は、スイスに約12万人のトルコ人が居住しており、このうち大部分が二重国籍を有していることに触れた。言葉を締め括ろうとした際、大統領は側近からメモを受けとり、壇上に置かれた机に言及するのをようやく思い出した。
ギュル大統領は、「ところで忘れてはならないことがあります」と述べ、歴史的な机をトルコに贈呈してくれたことに対し、クシュパン氏に感謝の意を述べた。ギュル大統領は「トルコ共和国およびトルコ国民成立の樹立の舞台となった机です。当然、我々にとって精神的に価値あるものとなるのはもちろん、忘れてはいけないものでもあります。当然ながら、この机は倉庫に放置されることなく、トルコで最良の方法で展示される予定です」と語った。

■イノニュ家:連絡を受けていない
祝典にはムラト・バシェスギオール国務大臣、アリ・ババジャン外務大臣、ビナル・ユルドゥルム運輸大臣と外交官らも臨んだ。祝典に招待されていたイノニュ家からは誰も参加しなかったことが目を引いた。
イノニュの孫であるギュルシュム・ビルゲハン氏は、ミッリエト紙に対し、「イノニュの娘である母オズデン・トケルと私は、スイス大使館より祝典に招待されました。しかし、祝典が私たちにとってこれほど意味あるものになるとは知りませんでした。母も私もこの机の件で、外務省や大統領府からいかなる連絡も受けていません。もしあらかじめ知っていれば、私たちは参加していたでしょうに」と述べた。

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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:15112 )