ヨルダンのテレビドラマ、国際エミー賞を受賞
2008年11月26日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ シリアのリヤード・サイフ脚本、チュニジアのシャウキー・アル=マージュリー演出、そしてヨルダンのタラール・アワーミラ製作
■ アラブ衛星放送局が拒んだパレスチナ・ドラマ「殲滅」に国際エミー賞

2008年11月26日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ロンドン:本紙】

製作者側が伝えるところによれば、2007年放映のヨルダンのテレビドラマが、同国製作のものとしては初の国際エミー賞を獲得した。ドラマは2002年イスラエルが西岸の町ジェニーンに対して行った掃討作戦を背景としたラブストーリーであり、国際エミー賞の長編テレビドラマ(Telenovela)部門の最優秀賞を得、製作者タラール・アル=アワーミラが月曜(24日)ニューヨークで行われた式典で賞を受取った。

2007年のラマダーン月間にこのドラマを放映した唯一の衛星放送局はレバノンの「LBC」であった。テレビ製作局関係の匿名ソースによれば、「他の局は、イスラエルについての機微なテーマを扱っているためこのドラマを無視すると決めていた」。さらに同人は、「ヨルダン国内でも曖昧な理由で放映されなかった」と述べたが、この作品に300万ドル以上の制作費をかけることを可能とした事情の詳細については明らかにしなかった。

いくつかのインターネット・サイトがドラマのヒロインを演じたサバー・ムバーラクの発言を紹介しているが、それによれば、ドラマはパレスチナ人による闘争の重要な一段階を生きいきと描き出している。ドラマとして描く事を通じ、政治と情報の二面に集約される一人のパレスチナ人の日々の苦しみという問題を提起している。

国際的なレベルに達したという事は、それ自体が大きな成果で、この作品に関った全員を勇気づけるものである。日の目を見なかった作品だがこうして国際競争の場に出る事ができた。アラブでは、放映される事を通じてこの作品に相応しい機会を与えられることがなく、メディアには無視されていた。これは、テレビドラマを評価する際の基準やメディアの方針を再考する必要があることを示す出来事である。アラブの全視聴者が、このような作品をテレビで見られるようにすべきだ。

「殲滅」は、シリアの作家リヤード・サイフの作品をチュニジアのシャウキー・アル=マージュリーが演出し、タラール・アワーミラが製作したもので、ヨルダンはじめアラブ各国の有名俳優たちが共演している。サバー・ムバーラクに加え、アッバース・アル=ヌーリー、ムンジル・ラヤーハナ、ナーディラ・イムラーン、ディーマー・カンダルファト、ナビール・アル=マシーニー、アントワーネート・ナジーブ、マクシーム・ハリール、ムハンマド・カッバーニー、アシュラフ・ティルファーフ、ハサン・ウワイティー、キンダ・アルーシュといった人々である。

主演のひとり、アッバース・アル=ヌーリーは、このアラブのドラマが国際的に成功したことに満足の意を示し、これまでこの作品を無視してきたアラブのテレビ局や各種フェスティバルなどに、この成功を捧げたいと述べた。

(国際ミー賞を授与する)国際テレビ芸術科学アカデミーは、テレビ関係の最大の国際組織として知られ、メンバー国65、協賛は400社以上を数える。賞は、テレビ番組、連続ドラマ、報道、子供番組、ドキュメンタリー、最優秀男優並びに女優などの15部門で贈られる。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:15192 )