アンマンでガザ封鎖反対デモ、ヘブロンでは家屋を巡る争い
2008年12月06日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ ヘブロン入植者の暴力にパレスチナ市民が抗議
2008年12月06日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ヘブロン、アンマン:本紙】
金曜(5日)、アンマンの中心部で、ヨルダンのイスラム運動により組織されたガザ封鎖への抗議とハマース支持のための行進に2500名以上が参加した。金曜礼拝の後、大フサイニー・モスクを出発した行進は約1キロ離れたアマーナ・ビルディングへ向かい、参加者たちは、「ガザは陥落しない、封鎖を破るだろう」というプラカードやヨルダン国旗、緑のムスリム同胞団旗などを掲げて歩いた。
10名ほどの児童がガザの子供たちの「苦難」を訴えるため、薬箱やパン、「水、ガス」と書かれた空の瓶などを持って参加した。ガザではハッジ(メッカ巡礼)に出る事が禁じられていることを表現すべく、ハッジ用の衣服を身に着けた子供たちもいた。
参加者達が叫ぶ「血も心もガザのために」、「アンマンから封鎖打破の決意を」等のスローガンは、じきに「進めハマース、あなたが大砲なら我々はその弾だ」、「抵抗を続けよハマース、ユダヤ人を気にするな、封鎖を気にするな、大衆の支持がついている」などハマース支持の掛け声に変わった。
ヨルダン・ムスリム同胞団の調整官フマーム・サイードは、FP通信に対し、「ガザを封鎖させ、その封鎖に加わるとは、恥を知れ、というのが、我々からアラブ諸国政府へのメッセージだ。エジプト政府がユダヤ人と一緒になってガザの人々に敵対しているのでない限り、エジプトがガザとの国境を閉じるはずがない」、「これらの(閉じられた)国境を破りパレスチナの同胞に対する封鎖を解くよう、エジプト国民に要請する。ガザ市民にガス、水、燃料、食糧、飲み物を届けなくてはならない、これは全ムスリムの義務である」等述べた。
水曜(3日)、数十人のヨルダン人がアンマンのエジプト大使館前に集まり、ヨルダン専門職組合の呼びかけに基づき、ラファハ通行所の開放とイスラエルによりガザに課せられた封鎖の打破を訴えた。
イスラエルは、2007年6月にハマースが政権を掌握して以来、パレスチナのロケット弾がイスラエル領土に発射されるのを防ぐ目的で封鎖を課している。この封鎖は、11月5日イスラエル軍のガザ侵攻に対しパレスチナがロケット弾を発射した後、強化された。
* * * *
イスラエル当局により入植者がヘブロンの家屋から立ち退かされた後、ユダヤ人入植者による暴力行為が増加し、事態収拾のためイスラエル側が支援部隊を展開、入植者の暴力に抗議するパレスチナ人によるデモが金曜(5日)行われた。目撃者によれば、ヘブロンではパレスチナ人の若者たちがタイヤに火を放ち、チェックポイントでイスラエル兵に投石した。これに対しイスラエル兵は催涙ガスやゴム弾で応戦した。
騒乱は西岸の他の街にも広がり、パレスチナ側によれば、入植者に発砲されパレスチナ人3名が負傷した事件に続き、数軒のオリーブ園で入植者による放火が起きた。
パレスチナ外相リヤード・アル=マーリキーは、入植者がパレスチナ人に対する戦争を始めた可能性があるとして、国連安保理による調査を主張している。ラーマッラーでの記者会見でマーリキーは、オルメルト首相が汚職事件捜査のため辞職して以来の権力の空白が入植者に利用されている、選挙前のイスラエルは入植者に対する措置が弱くなっているように見える等述べた。
ロバート・セリー国連中東特使による声明は、「緊張が高まる可能性を懸念」し、「入植者による攻撃を即座に終わらせ各方面が自制と沈着を取り戻す事」を求め、「昨日起きたような事件が二度と繰り返されないようイスラエル側に自覚を促す」と述べている。
ヘブロンでは、11月16日、入植者側によれば彼らがパレスチナ人男性から購入したとする家屋からの退去決定が裁判所により発せられ、それを不服とする入植者たちのため緊張が高まっている。問題の家につきパレスチナ人男性は売却の事実を否定している。
パレスチナ人と入植者の間で数日間投石などの争いが続いた後、木曜(4日)イスラエルは12のユダヤ人家族をその家屋から立ち退かせるため軍を派遣した。
警察スポークスパーソンのミッキー・ローゼンフィルドによれば、イスラエル側は金曜、警察の対騒乱部隊500名を展開、ヘブロンでの治安強化措置を取っている。また、暴力沙汰の発生を防ぐため、エルサレム、アクサー・モスクの金曜礼拝には45歳以下のパレスチナ人を参加させないなど、パレスチナ側に対する制限も設けられている。
金曜、いくつかの暴力事件が伝えられたが負傷者のニュースはなかった。パレスチナ人目撃者によれば、金曜、カルキリヤの町近くで入植者が数百のオリーブの木に放火した。現場は木曜に同様の事件が起きた所に近い。木曜、同地区では入植者による一時的検問所が多くの道路に設置され、パレスチナ人の移動を妨げた。
金曜、ヘブロンの問題の家屋前をイスラエル国境警備隊の警察部隊が固め、私物を取りに入ろうとする入植者以外を締め出した。家屋の持ち主ファーイズ・アル=ラジャビーは、テレビ各局に対し、まだその家を引き渡されてはおらず返還を求めていると述べた。
この記事の原文はこちら
( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:15277 )