ハマース、イスラエルに対するロケット攻撃の範囲拡大を宣言
2008年12月31日付 al-Quds al-Arabi 紙

■カッサーム・ロケットがベエル・シェバを砲撃
■ムバーラク大統領はラファハ閉鎖に固執
■死者数は約400人、負傷者は2000人に
■イスラエル、2日間の和平受け入れをほのめかす

2008年12月31日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ガザ、ラーマッラー:アシュラフ・アル=ハウル、ワリード・アワド】

イスラエルのエフード・バラク国防相は火曜日(30日)晩の遅い時刻、エフード・オルメルト首相およびツィピ・リブニ外相との三者会談を終えた後、フランスの提案に応じてガザ地区でのイスラーム抵抗運動ハマースとの2日間の停戦を受け入れることを前向きに検討すると公表した。

時を同じくしてエジプトのホスニー・ムバーラク大統領は、パレスチナのマフムード・アッバース大統領指揮下の治安部隊とEUの監視団が現場に復帰しない限り、エジプトはラファハ通行所を開放しない意向であると発表した。

現在、ヨーロッパによる停戦に向けた活発な努力が行われており、木曜日にはリブニ外相がパリを訪問する予定だ。また、ガザ地区の状況を議論するため水曜日にEU外相が緊急会合を招集、月曜日にはフランスのニコラ・サルコジ大統領が占領下エルサレムを訪問する。

過去数十年で最悪のイスラエルによるガザ空爆の4日目、イスラエル軍は機甲部隊や地上部隊を境界線に動員、ガザ地区への侵攻に備えている。一方でイスラエル空軍は火曜日も早朝から空爆を続け、10歳と12歳の姉妹を含むパレスチナ人12人を殺害、ハマース所属の行政施設やその他のハマースのシンボルが狙われた。

ハマースの軍事部門イッズッディーン・アル=カッサーム軍団は、火曜日晩に発表した声明で、「より遠く、他の町々にまで」イスラエルに対するロケット攻撃の範囲を拡大すると威嚇した。またカッサーム軍団はガザ地区から約40㎞離れているイスラエル領のベエル・シェバを火曜日晩にロケット弾で砲撃したと発表した。カッサーム軍団は簡潔な声明の中で、「『油の染み』作戦の範囲を拡大した」と述べ、初めてベエル・シェバに砲撃を行った。また、スデロットにもあらたにミサイル3発を打ち込んだ。

カッサーム軍団はカッサーム・ロケット7発とロシア製のグラード・ロケット2発、迫撃砲3発をイスラエル領内に向けて発射したことを明らかにした。グラード・ロケット2発はガザ地区から30㎞以上離れたキルヤト・ガト入植地に向けて発射され、ロケット弾4発がスデロットに、2発がキスフィームに向けて打ち込まれたという。またイスラーム聖戦の軍事部門エルサレム旅団もスデロットにロケット弾2発を発射したと公表した。

ガザの医療関係者によると、イスラエルによる攻撃が土曜日に開始されて以降、死者の数は400人、負傷者は1800人に増えている。死者のうち179人が一般市民で、その中には16歳以下の子どもが39人と女性13人が含まれるという。一方、土曜日にイスラエルの空爆が開始されて以降、イスラエル人市民が3人とイスラエル人兵士1人がパレスチナからのロケット攻撃で死亡している。

イスラエルのメディアは、エフード・オルメルト首相がシモン・ペレス大統領にガザでの作戦は「いくつかの段階のうちの第一段階だ」と語ったと報道した。マタン・ヴェルナイ副国防相は火曜日、イスラエル軍は「数週間」戦う用意があるとの声明を出した。

ハマースのファウジー・バルフーム報道官はパレスチナ諸派に対して、「殉教作戦」すなわち自爆攻撃を含めたできる限りの手段を使ってイスラエルに応酬するよう促した。ハマースは1967年の戦争以来もっとも激しいイスラエルの攻撃に挑みかかり、ロケット攻撃を続けている。またハマースはイスラエル国家の承認と抵抗運動の停止、現在までに締結された暫定的な和平協定への合意という、国際的な要求を拒否し続けている。

目撃証言によると、イスラエル戦闘機が発射したミサイルは省庁の建物5棟とイスラーム大学付属の建物1棟を全壊させたという。またイスラエルによるガザ地区北部ベイト・ハヌーンへの空爆では、家のゴミ出しをしていた幼い少女2人が殺害された。続いてハーン・ユーヌスの本部を狙った空爆では、警備員一人が死亡した。空爆によりガザは停電し、町中に爆音が響きわたっている。また空爆によりハマース系のスポーツセンターとハマースが運営する訓練キャンプ2箇所が破壊された。イスラエルのアシュドドでは、警報サイレンが鳴ったために車から跳び降りたイスラエル人女性一人が道路に倒れ、ロケット弾で死亡したと地元当局者が語った。

イスラエルはガザ地区との境界線から半径30㎞以内の地域の学校を閉鎖し、住居にとどまって事態に備えるよう住人に求めている。

人口150万という世界有数の人口密集地であるガザ地区では、住人の多くが相次ぐ爆発で粉砕された窓から離れた部屋で過ごしている。イスラエル側はパレスチナからのロケット攻撃の脅威を理由にガザ地区周辺エリアを「軍事閉鎖地域」に指定し、機甲部隊の集結の取材にあたっていたジャーナリストたちに、地域からの退去を命じた。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:15458 )