インターネットはもう一つの“戦場”…パレスチナ・ホロコースト博物館がバーチャル空間に登場
2009年01月05日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ ウェブ上に「パレスチナ・ホロコースト博物館」開設

2009年01月05日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ラーマッラー:本紙】

 イスラエル軍がガザ地区内部へ侵攻する中、アラブ世界では世界中から支援を募るための斬新な手法が編み出された。

 イスラエルのインターネット・ニュースサイト『ワイ・ネット』によれば、カタールに拠点を置くインターネット・サイト『イスラーム・オンライン』が、3Dオンライン仮想世界『セカンドライフ』上に「パレスチナ・ホロコースト博物館」という名称の〔バーチャル〕博物館を立ち上げた。セカンドライフでは利用者が〔アバターという〕3Dの分身キャラクターを作ることができる。博物館に辿り着くためにはセカンドライフのプログラムをロードして、利用者登録する必要がある。

 パレスチナ・ホロコースト博物館のサイトによると、博物館では新たなホロコースト〔訳注:今回のイスラエルによるガザ地区への攻撃・虐殺のこと〕でイスラエル軍に殺されたパレスチナの子どもたちの写真と名前、ライフヒストリーを公開し、〔虐殺の〕現場、武器、結果、生き残った目撃者の証言といった今回のホロコーストの諸要素に光をあてるという。

 パレスチナ人執筆者のアラーウッディーン氏は、「現在、インターネットは世界中で抗議の手段として用いられている」「今われわれが目にしているのは、戦争のあらたなバージョン、イスラエルとアラブ世界との戦いの新たなバージョンなんだ。起きている事態への抗議を表明する手段として、人々はインターネットを利用している」と語る。

 セカンドライフのサイト上には国旗やプラカードを手に、イスラエルにガザでの「戦争犯罪」を止めるよう求めて抗議するパレスチナ人たちの写真が公開されている。ワイ・ネットによればこの博物館には開設以来、6700人以上が訪れているという。博物館が開設されたのは、イスラエル南部へのロケット弾を阻止するためにイスラエルが空爆を開始した後のことである。

 アラーウッディーン氏は、通りで抗議運動をすることが出来ない人たちにとって、インターネットは理想的な意見表明の場だと強調し、「イスラエル側もアラブ諸国も、世界中がもうひとつの場でこうした戦いをしている。たとえば通りに出ることができない、あるいは出る用意がない多くのエジプト人が、セカンドライフのサイトをガザで起きている事態への抗議の表明のために利用している。それだけでなく、ネット上である種の抗議デモを組織して、人々を結集し、写真を見たり出来るようにしている」と語った。

 またアラーウッディーン氏は、イスラエルは無料のツイッター〔=Twitter。ブログとチャットを融合したようなコミュニケーション・サービス〕にサイトを開設して、ガザでの軍事作戦に一般からの支援を集めるため、直接的な集団コミュニケーションを図っており、「ニューヨーク駐在のイスラエル領事を含め、イスラエルの高官たちもツイッターにサイトを開き、事態への意見を表明したり他者の意見を知ろうとしたりしている。このほか、イスラエルに向けて発射されるロケット弾の数の統計を載せているツイッターのサイトもある」と語った。

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:15490 )