エルゲネコン捜査、大逮捕劇
2009年01月08日付 Zaman 紙

テロ組織エルゲネコンに関する調査の一環で行われた最大の逮捕劇のひとつが、昨日(7日)、7つの県で同時に行われた。37人が逮捕され、24の手榴弾や暗殺用に用意された武器が押収された。

広範な捜査は、イスタンブル共和国裁判所が請求し、イスタンブル第9重罪裁判所の決定によって行われた。これにより、ヤルチュン・キュチュク教授、元高等教育機構(YÖK)理事長ケマル・ギュルズ、退役軍人のトゥンジェル・クルンチ大将、ケマル・ヤヴズ大将、エルダル・シェネル大将を含む37人が逮捕された。容疑者のうち12人が職業軍人士官であるため、ジャンダルマ管轄地域では、捜査に軍の関係者が同行した。

昨日の捜査で、もっとも注目される人物の一人は、2ヶ月前から国外に滞在する、元イスタンブル市長のベドレッティン・ダランである。イェディテペ大学にある彼のオフィスと、彼が長を務めるイスタキ財団のカドゥキョイにある運営本部での捜査のあと、ダランの秘書部長であるその息子が逮捕された。アンカラでは、もとの最高裁検事総長サビフ・カナドオールの名が取りざたされた。カナドオールが住むアンカラの自宅とアイヴァルクの2つの別荘が捜査対象となった。しかし、彼は逮捕はされなかった。

容疑者の自宅や事務所で行われた捜査の結果、書類類やCDが押収された一方、サカリヤとスィヴァスでは、武器庫ともいえるものが明らかにされた。Mustafa D. 中佐のサカリヤにある家では22個の手榴弾と、4丁の鉄砲と、1つのカラシニコフ銃が発見された。スィヴァスでは、12人の容疑者の家と職場で、2つの手榴弾、1つの小型拳銃と、多数の未登録の猟銃が押収された。

「世紀の裁判」と呼ばれるエルゲネコン・テロ組織に関する捜査で、昨日、重要人物が逮捕された。イスタンブル第9重罪裁判所の「逮捕・捜索・調査」決定に基づき、アンカラ、イズミル、イスタンブル、スィヴァス、トカト、カイセリ、アダパザルで37人が逮捕された。

早朝から行動を開始したアンカラ警察対テロ捜査部は、元国家安全保障評議会事務局長の退役大将トゥンジェル・クルンチ、ヤルチュン・キュチュク教授、元の特別機動隊副局長イブラヒム・シャーヒン、元高等教育機構理事長ケマル・ギュルズ、元参謀本部司法顧問で退役少将のエルダル・シェネル、ムハッメト・S大尉と、エンギン・アイドゥン大尉、エルダル・シャーヒン大尉を逮捕した。容疑者の自宅でなされた捜査の結果、コンピュータのなかの文書のコピーも押収された。

ヤルチュン・キュチュク教授の家での捜査は朝7時頃にはじまった。捜査の間、キュチュクは家にいたと言われる。キュチュクの書籍、CDをはじめ、家のあらゆるものが捜査されたと言われる。手書きの文章、ノート、ディスク、コンピュータのなかのデータ、何百ページものメモが押収された。アンカラ警察に連行されるとき、新聞記者の「どうして逮捕されたのですか?」という質問にキュチュクは「独裁政治だ」と返事をした。

エルダル・シェネルの逮捕については、エルゲネコン捜査で逮捕され、のちに釈放された軍事法廷裁判官タンジュ・ギュヴェンディレンの証言が影響したものと見られている。しかしギュヴェンディレンの弁護士はそれを否定した。

元国家安全保障評議会事務局長で、退役大将のトゥンジェル・クルンチも、自宅の捜査のあと、逮捕された。クルンチは、アンカラ裁判所から警察に移動の再、「エルゲネコンとどういう関係があるのですか」という問いに、「私にはわからない。トルコには、法秩序がある。司法に身を委ねる、ただそれだけだ」と答えた。元高等教育機構理事長のケマル・ギュルズの家で捜査を行った治安部隊は、ひとつの電子金庫、ラップトップコンピュータ、4袋の書類を警察に持ち帰った。

元最高裁検事長官サビフ・カナドオールの家での捜査は9時間続いた。カナドオールの住むアンカラの家には、朝、ジャンダルマの中佐1名と警察官がやってきた。カナドオールのバルケスィル県のアイヴァルクにある2軒の別荘でも捜査が行われ、予備のラップトップコンピュータも押収されたという。

イズミルでもエルゲネコン捜査が行われた。1名の少佐と警察署長が捜査の一環で逮捕された。イスタンブル共和国最高検察庁の命で逮捕された警察署長のエンギン・Eは、手続きののち、イスタンブルに移動させられた。フォチャの海軍基地に勤務するエルバイ・Ç中佐は、警察によって逮捕されたのち、軍事警察に引き渡されたとされる。元第二方面指揮官・退役大将のケマル・ヤヴズと、退役参謀大佐イルヤス・チュナルと、近代トルコ党党首ハサン・アタマン・ユルドゥルムはイスタンブルで逮捕された。チュナルのメルテペにある自宅に朝、警察官が訪れ、約2時間半捜査をした。チュナルが最後に務めた仕事は、ギョルジュク艦隊司令部だった。カイセリで行われた捜査では、第二空軍補給整備本部で働く大佐C.K.、F.K.、F.C.という女性、トカトでは一人の警察官と教師が逮捕された。捜査のあと参謀本部で、イルケル・バシュブー大将のもと、軍司令官たちも加わった5時間にわたる会議が開かれた。

アンカラからイスタンブルに飛行機で移されたヤルチュン・キュチュク、イブラヒム・シャーヒン、ケマル・ギュルズ、エルダル・シェネル、トゥンジェル・クルンチ、エルダル・シェネルは、イェニボスナにある司法医務協会での健康診断のあと、警察署に連行された。

■スィヴァス県知事「社会を不穏にするため暗殺を計画していた、ぎりぎりのところで阻止された」

エルゲネコンの捜査の一環でスィヴァスで12人が逮捕された。彼らとともに、2つの手榴弾、小型銃1丁、拳銃、未登録の猟銃、ナイフ、36個の銃弾と、エルゲネコンとの関係を示す多数の書類が押収された。スィヴァス知事のヴェイサル・ダルマズは、「情報活動により、暗殺計画がなされてる県のなかにスィヴァスもあるという情報が届いた。イスタンブルと連動し、我が県でも暗殺が計画されていた。実行に移される前に捜査が実施できた。」と述べた。逮捕された人々についての情報もはっきりし始めた。スィヴァス警察が容疑者を2ヶ月にわたって尾行していたという一方、この人々が暗殺計画を実行に移そうとしたため捜査がなされたという。逮捕者のうち2人は、共和国大学の教員であるメフメト・アクユズと元「理想の炉」スィヴァス支部長オウズ・ブルトであると見られている。

■大佐の家で22 個の手榴弾

アダパザルで行われた捜査では、ムスタファ・D大佐の家で行われた家宅捜査で、22個の手榴弾、5個の拳銃、1丁のカラシニコス銃が押収された。こららはトラックでイスタンブルに運ばれた。スィヴァスでは2つの手榴弾と1つの小型拳銃が押収された。トカトでは、イブラヒム・シャーヒンの姪で、トカト警察署特別機動支部で勤務する警官のO.Y.Ş.と、教員O.S.が逮捕された。

■シャーヒン法相「完全に司法当局による活動だ」

司法大臣アフメト・アリ・シャーヒンは、エルゲネコンの関連して逮捕された人々に関する質問に答えた。「何も発言することはありません。完全に、司法当局による活動です。政治的問題ではありません。私もあなた方同様、メディアからだけ情報をえています。」

■民族主義者行動党のバフチェリは、司法を尊重するように求めた

エルゲネコン捜査での逮捕について、党の中央運営委員会で検討した。バフチェリは、司法を妨害する発言をしないようにと希望し、裁判の結果を尊重するように求めた。

■バイカル「これは、法的ではなく、政治的」

共和人民党党首デニズ・バイカルは、昨日の逮捕について、行った記者会見で批判した。「直面している状態は、法的ではなく、政治的なものだ。これを(エルゲネコン問題の)最初の日から言っています。ここまできて、言っていたことが適切だったことが明らかになってきた。」

■裁判官検察官連合(YARSAV) 委員長、捜査を批判

YARSAVのオメル・ファルク・エミンアーオール委員長は、裁判所の決定によって行われた今回の捜査を批判した。「クーデターを裁くかのような動きからは距離をおくべきだ。法の優位にたいする攻撃があるなら、それは、また法によって防がれるべきだ。」

■逮捕の決定は、特別権限法廷から

イスタンブル共和国最高検察庁がエルゲネコン捜査を進めている。テロ組織に関する捜査は、5人の検察官によって続けられている。逮捕は、重罪裁判所裁判官が決めた。従来同様、昨日の捜査でも、この検察官たちが、逮捕・捜査の決定を求めた。この求めに応じて、担当の第9重罪裁判所がその要求を認めた。封印された封筒のなかで警察に届けられた命令は、早朝、実施に移された。様々な県で逮捕された容疑者は、まず、法定健康診断を受けた。容疑者は、イスタンブル警察に連行された。法により、容疑者は2日間、拘置されえる。しかし、検察官が必要と考えた場合、法廷からさらに2日の拘置を求めることができる。この結果、4日間で警察での手続きののち、容疑者はイスタンブル共和国最高検察庁に移される。今回の逮捕の容疑者について、(すでに取り調べられた)退役大将のフルシト・トロン、シェネル・エルウイグル、トゥンジャイ・オズカン、アリフ・ドアン、アディル・セルダル・サチャンら容疑者とまとめて、ひとつの起訴状が作成されるものと見られている。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:トルコ・メディア翻訳班 )
( 記事ID:15532 )