イラン各地でアーシューラーの哀悼行事
2009年01月10日付 Iran 紙


【地方部】ここ数日間、イラン全土がカルバラーの荒野の殉教者たちと抑圧されしガザの人々への哀悼と挽歌の舞台となった。

 全国の「イラン」紙記者からの報告によると、今年のタースーアーとアーシューラーは、多くの人々がモスクやタキーイェ、ホセイニーイェに集い、哀悼行事を執り行う各団体(ダステ)に参加するなどして、無謬なる預言者〔ムハンマド〕の一門、特にイマーム・ホセイン(彼に平安あれ)とその忠実な仲間たちへの愛と真理への希求を示す、他に類のない舞台となったとのことである。
〔※訳註:アーシューラーとは、預言者ムハンマドの孫である第3代イマーム・ホセインとその一族郎党がカルバラーの地でウマイヤ朝のカリフ・ヤズィードの軍隊によって虐殺されたことを悼む、シーア派にとってもっとも重要な宗教行事である。哀悼行事はイスラーム太陰暦ムハッラム月1日から10日間にわたって行われる。そのクライマックスはイマーム・ホセインの殉教日であるムハッラム月10日(アーシューラー)であり、その前日のムハッラム月9日をタースーアーという。タキーイェはホセインの殉教劇を演じる場所、ホセイニーイェはホセインらの殉教の物語を語り、説教をする場所のこと〕

 シーア派第8代イマーム・レザーの殉教地にしてその宮殿たるマシュハドはここ数日間、数百万人の参詣者や哀悼者で一杯になり、聖廟内や周囲の敷地では心清らかな哀悼の儀式が行われた。
〔※マシュハドはイラン北東部ホラーサーネ・ラザヴィー州都で、イマーム・レザーの聖廟がある〕

 しかしながらホラーサーネ・ラザヴィー州トルバテ・ジャームでは、テロリストの狂信的な行動により、ホセインの哀悼者1名が殉教、数名が負傷する事件が起きた。

 ホラーサーネ・ラザヴィー州政府はこの行為を非難し、この事件の容疑者数人を逮捕したと発表した。州知事が発表した声明では、ホセインの哀悼者たちにお悔やみの言葉が示された上で、「このような行為はむしろ、我々の団結をより強固なものにするだろう」と述べられている。

 国会の国家安全保障・外交委員会キャリーミー委員も今回の犯罪行為を非難し、「この事件に対する外国人の目的は、国内を分裂させ地域に対立の種をまくことである」と話した。

 マアスーメ廟にもホセインの哀悼者たちが大勢訪れた。この間、清浄かつ無謬なる預言者の一門を慕う者たちが全国から聖域に集い、イマーム・ホセインとその仲間たちを悼んでサル・ザニーやスィーネ・ザニーを行い、哀悼の涙を流した。
〔※マアスーメ廟とは、テヘランの南に位置する宗教都市ゴムにある、第8代イマーム・レザーの妹ファーテメを祀った廟。マアスーメは「無謬なる」の意でファーテメの異名。「サル・ザニー」及び「スィーネ・ザニー」とは、ホセインとその仲間たちが受けた苦痛を共有すべく、頭や胸を手や鎖などで打つ行為のこと〕

 大アーヤトッラーたちの家々でもこのような服喪行事が行われ、語り手たちがカルバラーの英雄たちの生涯や、彼らの起こした蜂起の端々を語った。

 ヤズド州〔イラン中央部〕では、数百人がナフル〔ホセインの棺を象徴する山車〕を担いで回した。ナフル担ぎの儀式は、祈りの町ヤズドではアーシューラーの重要な儀式となっている。ナフル担ぎの前に、熱狂的な盛り上がりで知られるスィーネ・ザニーの儀式が最高潮に達した。そして、回すのに強い力が必要なナフルが、イマーム・ホセイン(彼に平安あれ)とアッバース〔※〕(彼に平安あれ)の御名とともに人々の手によって担ぎ上げられ、数回にわたり回された。
〔※アッバースはホセインの異母兄弟。敵軍の包囲を抜けて水を汲みに行くが見つかってしまい、水袋を持った右手を射落とされ、左手に持ち変えると左手を射落とされ、なお水袋をくわえて戻ろうとすると水袋を射抜かれ、こぼれる水を目の前にして絶命する。この悲劇から、イランでは水の聖者として人気が高い〕

 服喪行事は歴史あるハマダーン〔イラン西部に位置する古都〕の町でも盛大に催された。この期間に行われる胸を締め付けられるような行事に、ハマダーンの多くの人々も参加し、改めて《殉教者たちの長》〔=ホセイン〕に対して、抑圧されし者たちを守る誓いを立てた。

 あるプロジェクトの視察のためにハマダーンを訪れていたホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーン〔シーア派宗教指導者の位階の一つで「アーヤトッラー」に次ぐ尊称〕・ラーズィーニー行政監督院長も、〔ホセイン他の殉教に〕哀悼の意を示し、抑圧されしパレスチナの人々への共感を表した上で、「我々はガザの事件で、イスラーム教徒への殺戮とシオニストによる残虐行為を目の当たりにした」と述べ、さらに「イスラエルはイスラーム共同体の抵抗と団結の前にひざまずくことになるだろう」と付け加えた。

〔後略〕

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( 翻訳者:佐藤成実 )
( 記事ID:15574 )