イスラエル軍、白リン弾などの非人道的兵器を使用
2009年01月14日付 Al-Ahram 紙

■占領軍がガザで犯した犯罪行為
■白リン弾や燃料気化爆弾はすべて国際的に禁止されている
■3種の新たな爆弾やミサイルが初めて使用

2009年01月14日付アル・アハラーム紙(エジプト)HPアラブ諸国面

【ハーリド・アスマイー】

 イスラエル軍によるガザでの地上攻撃が始まると共に、複数の病院で戦争開始まで見られなかった新たな負傷の症状が現れた。その症状はヒステリー状態に似ており、痙攣と呼吸困難、筋肉の硬直と負傷者の体に広がる異様な火傷が見られ、火傷の部分は骨にまで達する溶解を引き起こす。

ガザで活動する医療チームは、イスラエル軍が禁止されている兵器を使用しているのではないかと見ており、それが化学兵器であると言う者もいる。ノルウェーの医師たちは複数の衛星テレビ局に対し、「これらの負傷は濃縮ウランによるものである」との見解を述べた。医師らは爆撃現場から負傷者を搬送する中でそのことに気付いたという。

 イギリスのタイムズ紙は「イスラエル軍が閃光弾に搭載した白リン弾(注:黄燐爆弾とも呼称される)を使用したことが確実になった。それらの砲弾にはME-825と書かれており、これはアメリカで製造された白リン弾頭だ」と報じた。さらにタイムズ紙は「薄青色の爆弾について、ガザ南部ハーン・ユーニス近郊のフザーア地区での爆発映像を収集し、軍事専門家に見せたところ、専門家はそれを国際的に禁止された白リン弾であると判断した」と続けた。

 国際人権団体のヒューマンライツウォッチ報道官は、「白リン弾の使用はクラスター爆弾の使用に匹敵するもので、攻撃用兵器としての白リンの使用は、国連の特定通常兵器禁止条約の第3追加議定書において禁止されており、その使用は戦争犯罪や人道に反する罪にあたる。1980年のジュネーヴ条約も人や動物、植物への破壊的影響のため、居住地区における白リン弾の使用を禁じている」と述べた。

 そして同報道官は、「この白リン弾という殺人兵器の使用は、イスラエルに遵守が求められている市民を保護するための可能な限りの措置を定めたジュネーヴ条約に合致するだろうか」と問いかけ、「ヒューマンライツウォッチは法律や協定で禁止されている非武装市民の人権を蹂躙する罪に対して黙ってはいない」と述べた。

 軍事専門家によると、白リンは空気中の酸素と化合すると閃光と煙を発し、長時間にわたって視界を完全に遮る煙幕の役割を果たす。煙によって完全に(敵の)監視機器の機能を奪うので、軍は作戦行動をカモフラージュする際にこれを使用するという。また白リンの軍事的使用は、飛び散った断片の多くからの出火と濃い煙の発生によって、非戦闘員の非武装市民の負傷を引き起こす。

それだけでなく一部の爆発物専門家の研究によれば、白リンを吸い込んだ者は痙攣を起こし、呼吸困難、筋肉の硬直、そして皮膚や体に付着した場合は火傷を引き起こし、火傷はすばやく骨に達するような溶解を伴う。科学的に実証されたこうした影響のため、通常兵器に関する協定で国際的に使用が禁止され、戦略拠点を偵察して撮影を行う偵察機が使用する閃光弾で代用されるようになっている。これは光を発するだけで、人体に危害を加えない。

 また軍事専門家たちは、イスラエルがガザへの砲撃で、白リン弾以外にも国際的に禁止されている兵器を使用していると指摘する。戦争開始時にイスラエル空軍はガザ北部で音響爆弾 と燃料気化爆弾を使用し、戦争8日目にはハーン・ユーニス地区でもこれらの爆弾を使用した。一部のテレビ局が爆発の映像を撮影し、建物に対する砲撃として視聴者に報道したが、爆弾の種類や、それが禁止されているかどうかはもちろん誰にもわからなかった。

さらにガザ住民に対して、過去に使用されたことのない新しい3種類のミサイルや爆弾が試されたが、情報筋はイスラエル軍の南方司令部にアメリカ人の軍事専門家たちが立ち会っていると明言する。彼らの目的はイスラエル軍の支援と、炎を吹き上げる火山と化したガザ地区で使用されているミサイルや爆弾の影響と破壊力を記録することにある。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:鈴木啓之 )
( 記事ID:15614 )