エジプトが突如、ヨーロッパ首脳らを集めてガザ問題に関する協議を開催
2009年01月19日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ エジプト政府、武器密輸防止合意に不快感
■ ヨーロッパ諸国は同合意の実施支援をイスラエルに約束
■ エジプトの「顔を立てる」ためのシャルム・シェイフ会議、イスラエルの撤退と封鎖の解除を呼びかけ

2009年01月19日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ロンドン、シャルム・シェイフ:本紙】

昨日シャルム・シェイフでアラブ、ヨーロッパ各国が参加した突然の協議会合が開催され、イスラエルにガザからの撤退、封鎖の解除、確実な停戦、通行所の開放、ガザ地区への密輸防止を求めるとの結論に達した。

ムバーラク大統領が主催した昨日のシャルム・シェイフでのガザ問題国際協議には、フランスのニコラ・サルコジ大統領、トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領、ヨルダンのアブドゥッラー2世国王、ドイツのアンゲラ・メルケル首相、スペインのホセ・サパテーロ首相、イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相、イギリスのゴードン・ブラウン首相、EUの現議長国であるチェコのミレク・トポラーネク首相が出席した。またパレスチナのマフムード・アッバース大統領、国連のパン・ギムン事務総長、アラブ連盟のアムル・ムーサー事務局長も参加した。閉会にあたっての合同記者会見でムバーラク大統領は、イスラエルのガザ地区撤退と再停戦、通行所の開放、封鎖の解除に向けたエジプトの尽力に対し、ヨーロッパ首脳が支援を継続するよう求めた。

またムバーラク大統領は、ガザ地区への武器密輸を阻止するために自国領内に国際部隊が駐留することをエジプトは拒否するとあらためて表明し、「エジプトは現在の危機から脱するにあたって、国境の保全に尽力している」「エジプトは自国領内に外国人監視員が存在することを決して受け入れない…国連と国際社会の役割は、今後エジプトが主催する予定である国際会議の場で、ガザ復興に必要な財源を集めることにあると私は考えている」などと語った。また大統領は、今回の協議では確実な停戦、ガザからのイスラエル軍撤退、通行所の開放、封鎖解除が検討されたと指摘し、「昨日以来、危機解決の兆しが見えてきたが、努力を続ける必要がある重要な問題がまだ残されており、停戦とイスラエル軍のガザ撤退を遵守し、確実にするための保証や、再停戦、通行所開放、封鎖解除に向けて、まだまだ行動せねばならない」と述べた。

今回のシャルム・シェイフ協議が開催される3日前の木曜日には湾岸緊急サミットが開かれ、2日前にはドーハでアラブ地域サミットが開かれていた。また一夜明けた今日にはクウェート・サミットが開催される予定。

 事情通は今回のシャルム・シェイフ協議の目的を、〔エジプトを批判するシリアやハマースなどが参加した〕ドーハ・サミットの開催で明確になったエジプトに最近向けられている広範囲な批判に対し、エジプトを支援し、顔を立てることにあると見ている。同様にエジプト政府はシャルム・シェイフでヨーロッパ同盟諸国の力を結集して、ガザ地区への武器密輸防止策における協力で突然合意したアメリカとイスラエルの勢いに対抗しようとしたものと見られる。ライス米国務長官が「この合意は武器密輸防止の大きな責任をエジプトに担わせるものだ」と発言したこの合意に対し、エジプト高官たちは不快感を示し、エジプトのアブルゲイト外相は「エジプトはこの合意に関知していない」と述べていた。

(後略)

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( 翻訳者:飯田桃子 )
( 記事ID:15634 )