サウジアラビア王子、オバマ新政権にイスラエル偏向を修正するよう警告
2009年01月24日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ トゥルキー・アル=ファイサル王子:「サウジアラビアの忍耐は切れた。イスラエル偏向が変わらなければワシントンの立場への支持を放棄する可能性がある」

2009年01月24日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ロンドン:本紙】

 サウジアラビアの前情報局長官トゥルキー・アル=ファイサル王子は、アメリカのオバマ・バラク政権に対し、アラブ・イスラエル紛争に関してアメリカの方向性に目覚ましい変化が起きなければ、サウジアラビアとワシントンの間の特別な関係は脅かされ、アメリカが中東における平和的解決を見出すための支援をサウジアラビアは放棄せざるを得ない、と警告した。

 トゥルキー王子はイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」紙に記した論説で、自国サウジアラビアに奉仕した数十年間、自分はアラブとイスラエルの和平を最も多く呼びかけたうちの一人であった、と述べた。

 元ワシントン駐在サウジアラビア大使でもあるトゥルキー王子はアメリカに対し、「引き続き中東で指導的役割を果たし、サウジアラビアとの戦略的同盟を維持したいのであれば、イスラエルとパレスチナに対する政策を効果的なかたちで変更しなければならない」と要請した。

 トゥルキー王子はこの数ヶ月間、「ベイルート・サミットで提案され採択されたアラブ和平提案がバラク・オバマ政権のもとで実行される可能性があるが、それはパレスチナ、イスラエルの両者が難しい譲歩を受け入れた場合のことである。そしてそれこそが新政権が尽力すべきことである」と強く主張してきたという。

 トゥルキー王子は、故インド首相ネールの「和平のために汗を流すほど、流れる血は少なくなる」との言葉に言及した。しかしガザにおけるイスラエルの軍事作戦の後、楽観も協力も遠い記憶となってしまったことは王子も納得しているようである。王子は、「イスラエルは多くが民間人であるパレスチナ人1300人を虐殺したばかりか、和平プロセスの構想を殺した」と述べた。

 王子は、「新たなパレスチナ人虐殺や彼らがこれ以上苦しむのを阻止するために必要な措置をアメリカがとるまでは、和平会談ばかりではなく中東地域もアメリカ・サウジアラビア関係も危機の中にある」との考えを述べた。

 また、サウジアラビアの努力や、イスラエルと関係を持つアラブ諸国とイスラエルの関係にも軍事作戦の影響が及んでいることに触れた。カタールやモーリタニアは関係を凍結している。

 同時に王子は今回の事態についてアメリカに罪がないわけではないと述べ、イラクでの何千人もの殺害から、アブー・グレイブでの拷問部屋、ガザでの虐殺に対する不遜な態度に至るまで、ブッシュ政権が中東地域に病んだ遺産を残したことを指摘した。

 また、「アメリカが中東での指導的役割や戦略的利益、特にサウジアラビアとの開かれた関係を引き続き望むのであれば、アメリカはイスラエルやパレスチナ人との関係を根本的に見直さなければならない」と述べた。

 また王子は、「オバマ政権はブッシュ政権から「籠いっぱいの蛇」を継承することになる。オバマ大統領はガザの危機に挑戦し、その取り組みにおいてハマースの行為を糾弾するであろう。この際にオバマ大統領は公正でなくてはならない。イスラエルの行為やパレスチナ人に対する虐殺を糾弾し、ガザの封鎖や無差別な殺害を糾弾する国連の決議を支持しなければならない。また、中東地域における大量破壊兵器の問題に立ち向かうアメリカの意図を知らしめ、シリアの和平協議への取り組みを奨励し、シャバア農場の問題の解決を支援しなければならない」と述べた。

 トゥルキー王子は、ジョージ・ブッシュ前政権は「中東地域に嫌悪すべき遺産を残した。...サウジアラビアはイスラエルに対するジハードを率いようとするイランの呼びかけに立ち向かい続けてきたが、結局、世界中でのイスラエルに対する民衆蜂起にサウジアラビア国民が参加するのを防ぐことはできない」と述べた。

 また王子はオバマ大統領に対し、アブドウッラー国王の和平提案を採用するように要請した。この提案は、[パレスチナの]土地[の返還]および東エルサレムを首都とするパレスチナ国家の承認と引き換えに包括的和平を呼びかけている。また王子は、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領の書簡に言及した。書簡はサウジアラビアがアラブ世界とイスラーム世界のリーダーであることを率直に認め、ガザの虐殺に対してより断固とした責任と役割を果たすことをアブドゥッラー国王に要請しているという。今のところサウジアラビアはこの要請を断っているが、サウジアラビアの忍耐は日ごとに切れていく。「今日全てのサウジアラビア人はガザ人である」と囚われのアル=アクサー・モスクについてファイサル元国王が言った言葉にトゥルキー王子は言及した。

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( 翻訳者:森本詩子 )
( 記事ID:15767 )