エルゲネコン疑惑の退役大将フルシト・トロン保釈の舞台裏
2009年02月10日付 Milliyet 紙
フルシト・トルン氏の弁護士団が、保釈のために当番裁判所に対し申請を行った。第12重罪裁判所の裁判官は、トルン容疑者も出てくるエルゲネコン証拠書類に関して、国家諜報機構による「機密ではなかった」という記述に注目した。しかしこの件における最終決定は、最高裁判所が下す予定だ。
エルゲネコン捜査の枠組みで、「武装テロ集団の組織と運営、反政府活動、ならびに職務遂行の妨害未遂」罪で逮捕された退役大将フルシト・トルン容疑者の保釈決定が議論を呼んでいる。トロン容疑者の保釈は、弁護士団が当番裁判所に対して行った10回以上に及ぶ申請を経て実現した。
■異議申立てはしなかった
トロン容疑者の弁護士団は、10月24日に最後の保釈申請を行ったが、当番裁判所であったイスタンブル第14重罪裁判所は請求を棄却した。この種の請求は、裁判所組織内で職務にあたる裁判官のひとりが決定する。裁判官の決定に対する異議申立ては、3人の裁判官から成る判事団により決定が下される。
トロン氏の弁護士団は、「保釈請求の棄却」という決定に異議申し立てをしなかったので、裁判官の決定は判事団の検討を受けることはなかった。裁判ファイルには、「異議申立ては取り下げられた」と記録された。
■判事団ではなく、ひとりの裁判官
弁護士団は、2月3日にイスタンブル検察本部に新たに保釈の申請を行った。申請は、その日に当番裁判所であったイスタンブル第12重罪裁判所になされた。裁判ファイルに書かれていた「異議申立ては取り下げられた」という記録を理由に、この申請は「異議申立て」ではなく、新たな「保釈」申請として扱われた。この申請は、第12重罪裁判所の3名からなる判事団ではなく、この裁判所で勤務中の「一人の裁判官」によって決定された。当番裁判官は、トロン容疑者の保釈を決定した。
■エルゲネコンの書類
この決定では、トロン容疑者が第12重罪裁判所に対し2008年10月14日に行った保釈の申請が棄却されたことを想起させ、その時の保釈申請が「トロン容疑者の自宅で、29ページに及ぶエルゲネコン組織化の章を含む本のコピーが見つかった」という理由で棄却されており、その他の勾留理由が「逃亡・証拠隠滅」を疑わせる状況にないことが強調された。
■国家諜報機構の回答文書
今回の決定では、弁護士団がこの証拠書類に機密性はなかったとする新たな証拠を提示したことが述べられ、以下のように続けられた。
「国家諜報機構の事務次官局が2008年5月9日、そして2008年11月6日にイスタンブル検察本部に送った回答文書によると、問題の文書は2007年7月12日にインターネットで公開されており、2007年4月1日付「アイドゥンルク」誌、そして2001年3月12日付「アクション」誌、そして2001年4月30日および2001年5月1日付イェニ・シャファク紙のコラムで取り上げられている。そしてこの書類は、この問題に関心をもつ人たちや報道機関に既知のものだった。容疑者が一般に知られた書類のコピーを持っていたことは、これまでに下された決定とは異なり、それだけで犯罪組織のメンバーであることの証拠にはならないことが明確となった」
(後略)
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( 翻訳者:白石百合子 )
( 記事ID:15771 )