酸をかけた求婚者へのキサース刑、最高裁で支持
2009年02月03日付 E'temad-e Melli 紙
復讐のために好意を寄せていた女性に酸を振りかけた元求婚者の男に対して、失明とディーヤ〔=賠償金〕の支払いを命じた判決が、昨日朝、最高裁判所第33法廷で支持された。
本紙記者の報告によると、83年アーバーン月10日(2004年10月31日)16時、ある若い女性がレサーラト通り沿いにある職場の建物から出てきたときに、事件は起きた。道で誰かにつけられていると感じた彼女は、それを確かめるために振り返った。まさにその瞬間、何かが彼女の顔に振りかけられた。顔に激しい痛みを感じたアーマネ〔=被害者の女性〕は、叫び声をあげて助けを求めた。しかし何が起きたのか、彼女にはもはや何も分からなかった。
数日後、病院のベッドの上で意識が戻ったアーマネは、求婚を断ったことのある妬み深い元求婚者に酸をかけられたことを悟った。アーマネの顔は完全に焼けただれ、いまや全ての望みを医療チームにかけざるを得ない状態になっていた。この事件の後アーマネを診た医療団は、彼女の顔は酸でひどく焼け爛れており、両目の視力は失われてしまったことを告げたのであった。
こうして、アーマネは眼の専門的手術を受けるためにスペインに向かうことになった。彼女はそこで、17回にわたって様々な外科手術を受けたが、再び視力を取り戻すことはなかった。
この恐ろしい事件から4年後、アーマネはイランに戻り、最終予審の中で容疑者に対するキサース刑〔=同害報復刑〕を要求した。この予審の中で、彼女は予審判事に「酸を振りかけられた時から、私は危険の中にいるとずっと感じてきました」と述べ、容疑者への判決について「私は死刑には強く反対します。なぜなら死刑は一瞬ですが、私と家族はこの間つねに苦しみ続けてきたからです。この苦しみはこれからも続いていくのです」と訴えた。
アーマネはさらに、スペインでの手術費用について次のように語った。「治療のために、2万7千ユーロが政府から支給されましたが、私の17回に及ぶ手術には十分な額ではありませんでした。支給が始まってから9ヵ月後には、残りの手術費は自己負担となり、治療を継続するために両親は慈善家に支援を求めざるを得ませんでした」。
これに対し容疑者は、「酸を振りかけることで、アーマネをいつも私のそばにおいておけると思っていた。酸が顔にこのような結果を残すとは知らなかった」と弁明した。
〔中略〕
被告はアーザル月7日(11月27日)、訴えを起こした被害者が見守る中、テヘラン州刑事裁判所第71法廷の裁判官らの前で弁論を行った。裁判の冒頭、アーマネは裁判官に次のように訴えた。「何度も言いましたが、もう一度言います。私は被告に対するキサース刑を望んでいます。もちろん彼の目だけを奪ってください。私には彼のような行動はできません。顔に酸をかけることなんてことは、できないのです。こんな行為はとても野蛮です。彼の眼が私の眼のようになるように、視力だけを奪ってください。私は個人的な理由でキサース刑を要求しているのではありません。これは社会の要求なのです。マジード〔=被告の男〕は罰せられるべきです。それは、女性の顔に酸をかける権利などないということを、この種の人間に知らしめるためです」。
極めて冷静な状態で裁判に臨んでいた被告の男は、裁判官に「私は自分がやった行為に後悔していない。アーマネを永遠に私のものにするために、彼女に酸をかけた」と語った。
アズィーズ・モハンマディー裁判官は、酸をかけられる前のアーマネの写真を被告の男に見せたが、被告は「私の行為は正しくなかったかもしれないが、しかし私の意図は善意にもとづくものだった」と開き直った。
最終的に、裁判官らは被告に対し、身体へのキサース刑(酸による両目の失明)と女性に加えられた傷に対するディーヤの支払いを命ずる判決を下した。この判決は昨日朝、最高裁判所第33法廷で支持された。
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( 翻訳者:尾曲李香 )
( 記事ID:15853 )