アッバース大統領がクリントン長官と会談、不仲説が流れるクレイウ和平交渉団長を会談から外す
2009年03月05日付 al-Quds al-Arabi 紙
■アッバース大統領、イスラエルに2国家解決案の遵守を要求
■クリントン国務長官、米政府は和平実現に本気で取り組むと強調
■クレイウ氏はアッバースとの軋轢のために会談から外される
2009年03月05日付クドゥス・アラビー(イギリス)HP1面
【ラーマッラー:本紙、ワリード・アワド】
昨日水曜日(4日)にパレスチナのアッバース大統領はイスラエルに対し、2国家解決案と入植活動および家屋破壊の停止の約束を遵守するよう呼びかけた。またイランに対しては、パレスチナ問題への介入を止めるよう求めた。一方、ヒラリー・クリントン米国務長官は「アメリカ政府はパレスチナとイスラエル間の恒久的和平実現に向けて、強力に関与 していく」と強調した。
アッバース 大統領はヨルダン川西岸地区ラーマッラーでのクリントン国務長官との共同記者会見において、「我々はクリントン氏に対し、国際法とロードマップに則った和平プロセスの進行を維持し、それを完全な形で履行するというわれわれの約束を確認した」と述べた。
また大統領は、「クリントン氏と、次期イスラエル政府についても協議した」と指摘し、「我々はイスラエルの選択を尊重するが、2国家解決案と入植計画の終結、〔東エルサレム〕スィルワーン地区での[パレスチナ住民]追放の停止をイスラエル政府に要求する。これらは受け入れがたい問題だ」と主張した。そして、「我々は、オバマ政権と中東和平4者〔米・国連・EU・露〕が、両当事国がこの方針を遵守するよう、後押しすることを待ち望んでいる」と続けた。
また質問に答える形で、イランがパレスチナ問題に介入していることを批判し、「我々はイラン人やその他の人々に対して、我々の問題への介入をやめよと言いたい。それはマイナスの介入だ」と語った。
さらにアッバース大統領は、カイロで行われたパレスチナ国民対話と新政府組閣の意志についてもクリントン国務長官と協議したと語り、「その新政府のもとで2010年1月24日までには間違いなく選挙が実施されるようにする 」と指摘した。
(中略)
クリントン長官は〔東〕エルサレムでイスラエルが〔パレスチナ人の〕住宅を破壊していることに関する質問に対し、「このような活動がロードマップの遵守と相容れず、その助けにもならないことは明白だ」とコメントし、この件についてイスラエル政府およびエルサレム市当局者と話し合うつもりだと指摘した。
アッバース大統領はパレスチナ側の和平交渉団長であるアフマド・クレイウ氏を、ラーマッラーでのクリントン長官との会談に参加させなかった。一方、クレイウ氏はクリントン長官の訪問を「視察」と評し、「視察も時間の浪費も、パレスチナ人がこれ以上待たされることも、もう十分だ」と批判した。クレイウ氏は記者会見でオバマ新政権に対し、パレスチナ・イスラエル紛争についてはっきりと発言するよう、厳しい口調で求めた。
アッバース大統領がクレイウ氏を、水曜日ラーマッラーでのクリントン長官との会談に出席させなかったことについてパレスチナ筋は、アッバースとクレイウとの間に軋轢が生じ、アッバースがクレイウをイスラエルとの和平交渉担当団長から外したことの徴だと推測している。
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( 翻訳者:梅原春奈 )
( 記事ID:15955 )