【事件部：スィーマー・ファラーハーニー】ナーセル・モハンマドハーニーの妻を殺害した罪で起訴されたシャフラー・ジャーヘド被告をめぐる裁判が、昨朝ベッサト裁判所1147支部で非公開のうちに開かれた。この審理の中で、シャフラーはナーセルへの愛ゆえに〔虚偽の〕自供をしたに過ぎないと主張した。今日の朝裁判の続きが行われ、その上で最終的な判決が下る見込み。
〔※訳注：ナーセル・モハンマドハーニーはかつて人気クラブ・ペルセポリスで活躍したサッカー選手。サッカー選手の妻が殺害されたこの事件は、真犯人をめぐる憶測とともに、メディアで広く取り上げられた〕

　本紙記者の報告によると、81年メフル月17日水曜日（西暦2002年10月9日）、ナーセル・モハンマドハーニーの妻ラーレ・サハルヒーザーンの死体が自宅で発見された。死体発見現場に判事と警察官が到着した後、33歳の女性殺害のナゾを解くための捜査が始まった。

　捜査の最初の段階で、ナーセル・モハンマドハーニーと一時婚をしていたシャフラーという名の女が、ラーレ・サハルヒーザーン殺害の容疑者として自宅で拘束された。シャフラーに容疑が向けられた背景には、ラーレ・サハルヒーザーン殺害は嫉妬が動機だったとの見方が有力となり、警察は2人の女性のライバル関係が事件の主な動機であると判断したことがあった。

　シャフラー・ジャーヘドはラーレ・サハルヒーザーン殺害のちょうど1ヵ月後の81年アーバン月17日（11月8日）に逮捕されたが、同容疑者は当初から、殺害には何ら関与しておらず、人目を避けてモハンマドハーニーと暮らしていたにすぎないと供述していた。

　しかしそれから11ヶ月後、ついにシャフラーはラーレ・サハルヒーザーン殺害を自供、警察に対し｢ナーセルがペルセポリス・チームとドイツに遠征したとき、ラーレを殺してナーセルを自分だけのものにしようと決心した｣と供述した。

〔中略〕

　世間を騒がせたこの事件を担当したジャアファルザーデ判事の前で、シャフラーは供述どおりに事件を再現した。しかしそれからしばらく後、シャフラーは自らの供述を撤回、ナーセルへの愛と拷問によるプレッシャーが原因で殺害を自供したにすぎないと主張し始めた。

　3回の裁判を経て、この若い女はキサース刑（同害報復刑）を宣告され、この判決は最高裁判所でも支持された。ナーセル・モハンマドハーニーもシャフラーに不利な証言を行い、彼女を訴えた。しかし、そのたびにシャフラーと彼女の弁護人は判決に不服を唱えた。

〔中略〕

　これまで複数回にわたり、シャフラーへの死刑判決は最高裁判所の裁判官らによって支持されてきた。しかし、被告が殺害の容疑を執拗に否定したため、司法権長の直接の命令により〔‥‥〕、事件の審理の差し戻しが行われてきた。そして今回、ベッサト裁判所1147支部のホセインプール裁判長が、この事件の審理を非公開で行ったのである。

〔中略〕

シャフラーの弁護人ホッラムシャーヒー弁護士とのインタビュー

　シャフラーの弁護人を務めるアブドッサマド・ホッラムシャーヒー弁護士は昨朝裁判所で、今回の裁判に関して「イスラーム刑法第188条によれば、裁判は公開で行われねばならなかったはずだ。しかし、『秩序の維持』を主な理由として、裁判所は非公開で行われた」と語った。

〔中略〕

　ホッラムシャーヒー弁護士は続けて、エッテマーデ･メッリー紙記者に「私たちは本日の公判で、すべての証拠や〔‥‥〕その他事件の曖昧な箇所について調査を行うよう、裁判所に要求した」と述べ、拷問で得た自供以外、シャフラーにとって不利な証拠は何もないとの見方を示した。

〔中略〕

　ホッラムシャーヒー弁護士はさらに、「本日の公判でシャフラーは以前の主張を繰り返し、殺害を自供したのはナーセルへの愛と拷問のためだったと語った。ナーセルもこの公判で再度シャフラーを訴え、法に則ったふさわしい判決を希望する旨、述べていた」と続けた。

　シャフラーの弁護士はその上で、「判事は最初の捜査で十分であり、これ以上追加の捜査を行う必要はないと考えているようだ。恐らく今回の裁判が、最後のものとなるであろう」と述べた。

　こうして、本日シャフラー裁判の最終審理が行われる予定で、裁判の終了にともない、数年間にわたり世間を騒がせてきたこの事件に対する最終的な判決が下される見込みである。

Tweet

この記事の原文はこちら

　同じジャンルの記事を見る

（ 翻訳者:水谷陣也 ）
（ 記事ID:15975 )