高等選挙委員会(YSK)は、選挙に先立って議論されるさまざまな問題に結論をだしている。高等選挙委員会は国民番号(のついたID)を提示したうえで投票することを義務付けたが、今度は各政党の投票所立会人に対するスカーフ禁止を決めた。各政党が各投票所の監視委員会で働く立会人の氏名を公表したのち、高等選挙委員会のムアッメル・アイドゥン委員長がサインをした回状が送られてきたことが注目をひく。
土壇場の決定に各政党は反発している。議会憲法委員会のブルハン・クズ委員長が、投票立会人はいわゆる普通の役人とみなすことはできないと強調する一方、大統一党(BBP)のムフシン・ヤズジュオール党首は諸政党が難しい状況に置かれていると述べた。民主党(DP)のスレイマン・ソイル党首は「委員会は最初から決めていた事項で選挙に影響を与えようとしている。これは前もって計画された策略である」と述べた。共和人民党(CHP)のイスタンブル選出メフメト・セヴィゲン議員はというと、「意味の無い決定である」と結論づけた。チャルシャフ(長衣)解禁の立役者であるギュルセル・テキン前共和人民党イスタンブル県支部長の反発も厳しいものとなった。「高等選挙委員会が今日までに決めた全ての決定は間違っている。わざと議論を呼ぶようなことを行って、市民に試練を与えている」
選挙法第21条によると投票所監視委員会は1人の委員長と6人の委員と6人の予備委員から構成される。この委員会は委員によって召集される。政党外から選出された委員の中から委員長が1人選ばれる。同法第23条によると、投票所監視委員会の委員は、その選挙区で選挙に参加し、また郡に支部を持つ諸政党のなかから、直近の国会議員総選挙で、その郡で最も多くの票を獲得した5つの政党が発表したメンバーからなる。高等選挙委員会が地方の選挙委員会に送った回状では、投票所が「公共の場所」であり、投票所監視委員会で働く人々も「公務員」的立場にあると説明されていた。投票所立会人は法と判例で規定された身なりと衣類に従うことが必要であると告げられた。2007年7月22日の総選挙では高等選挙委員会からのこのような回状もなかったし、政党の名のもと投票所監視委員会で働く人々の服装を規制する法もない。法律家たちは、高等選挙委員会が法に反する決定をしたと説明している。この問題に関する見解は次のようなものである。
憲法学者メフメト・トゥルハン博士:高等選挙委員会は「公共の場所」を勝手に解釈し、要らぬ世話を焼いた。選挙立会人は政府の役人ではなく、政府の機関ではない。この理論でいけば公共の場所であるとして国立の病院や自治体のバスにも規制をすることができる。
ブルハン・クズ国会憲法委員会委員長:高等選挙委員会のこの決定は正しいやり方ではない。政党は民間組織である。投票監視委員会で働く人々をいわゆる普通の役人とみなすのは正しくない。女性たちはスカーフをしたままでも政党の設立者となることができる。憲法裁判所がこの方向で判決を下している。何年もの間、このような規制はなかった。法的根拠は無い。何を根拠として行われたのか、私には分からない。高等選挙委員会が、この決定を選挙近くになってから発表したことも正しくない。決定は前もってなされるべきであり、政党がその決定によって準備することができるようにすべきである。
スレイマン・ソイル民主党(DP)党首:前もって計画され策略である。選挙を挑発しようとしている。高等選挙委員会はその決定でもって選挙を混乱させた。
ムフシン・ヤズジュオール大統一党(BBP)党首:この決定は自由選挙に対する妨害である。人々の信仰と慣習的価値に介入する権利は誰にもない。人々の生活スタイルを「罪」とみなし、彼らを投票所から遠ざけることを認めることはできない。高等選挙委員会が決定を土壇場でおしつけたことも認めることはできない。
ヌマン・クルトゥルムシュ至福党(SP)党首:最も間違った決定である。高等選挙委員会にこのような決定をする権利があるのか、このことが議論されなければ。この決定では自治体のバスにもスカーフをして乗れなくなることにつながる。法の基本原則と矛盾するこの決定を認めることはできない。
メフメト・セヴィンチ共和人民党イスタンブル選出議員:意味の無い決定である。公共の場所で政府の役人(公務員)のみがこの禁止に従うべきだ。その他の一般市民たちは好きな服を着て投票所で働くことが出来る。立会人としても当然参加できる。だれが、どんな干渉ができるというのだ、こうした人々に。
ギュルセル・テキン前共和人民党イスタンブル県支部長:高等選挙委員会が今日までに決めた全ての決定は間違いである。わざと議論を呼ぶようなことを行って、市民に試練を与えている。政党が任命した人々は民間人である。「公共の場所」という規定はこうした人には通用しない。
ジハン・パチャジュ民族主義者行動党(MHP)幹事長:高等選挙委員会は、憲法によって選挙が健全に、そして順調に滞りなく実施されることに責任がある。委員会がこのような決定をしても、これに反対することはなんら問題とならない。
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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:16037 )