レバノン南部でPLO幹部暗殺、レバノン各派やハマースが非難
2009年03月24日付 al-Hayat 紙

■ アッバース・パレスチナ大統領、「テロ犯罪」との見解
■ レバノン各方面から非難、非難の矛先はイスラエルに
■ [在レバノンPLO]大使の車列が通過後、爆発物によりパレスチナの在レバノン幹部が暗殺される

2009年03月24日付アル・ハヤート紙(イギリス)HPアラブ世界面

【ベイルート:本紙】

 パレスチナ解放機構(PLO)在レバノン副代表であるカマール・ミドハト少将の暗殺によって、PLOとファタハ運動はレバノンで痛撃を受けた。ミドハト副代表は昨日午後、レバノン南部のミーヤ・ワ・ミーヤ難民キャンプ(サイダのアイン・アル=ヘルワ難民キャンプに隣接)を出た後、副代表の車を狙った遠隔操作装置による爆発物の爆破によって暗殺された。

 ミドハト副代表の他に、同行していたファタハ運動の幹部3人が死亡し、爆発によってミドハト氏の車がミーヤ・ワ・ミーヤの道路脇の低地に吹き飛ばされた後、爆発で生じた穴に落ちた車に乗っていた3人が負傷した。

 パレスチナのマフムード・アッバース大統領はラーマッラーの大統領府からの声明で、ミドハト副代表の暗殺を「テロ犯罪」と表現した。

 ミドハト副代表と3人の同行者の遺体および彼らが乗っていたメルセデス社製の車の残骸は、250キログラムに相当すると見られる爆発物の爆発現場から100メートル先に散らばった。

 ミーヤ・ワ・ミーヤを取材した本紙特派員によると、爆発物はミドハト氏の車列がキャンプから出る際に通った道路の舗装の下の下水管に仕掛けられていた。UPI通信によるとアッバース・ザキー在レバノンPLO代表は、爆発は自分を狙ったものだったと述べた。ファタハ運動の在レバノン事務局長であるスルターン・アブー・アル=アイナイン准将は、「爆発は数日前の氏族抗争で死亡したファタハのメンバーの弔問のためミドハト副代表より先に出発したザキー代表を狙ったものだった。ザキー代表は、ミドハト副代表が通る約15分前に同じ道を辿ってキャンプから出て行った」と述べた。また、情報によると、ザキー代表が使用している車はミドハト氏の車列のものと似通っていたという。アブー・アル=アイナイン事務局長も同様のことを指摘したが、いかなる方面に対する非難も控えた。一方、ザキー代表は「この犯罪を実行した者は、何らかのかたちでイスラエルに協力する者である」として、イスラエルの関与を示唆した。

 この犯罪は、パレスチナおよびレバノンの各方面から非難された。ミドハト副代表は過去数年間、難民キャンプとりわけアイン・アル=ヘルワ難民キャンプ内部の安定化や、同難民キャンプ内でのファタハ運動の再構築に努力し、内部での戦闘を防ぐためキャンプ内における権威を遵守するよう諸イスラーム主義組織への説得に成功していたからだ。

(中略)

 ハマース運動は声明の中でミドハト副代表暗殺を非難し、同暗殺を「シオニストの犯罪に他ならない。この犯罪で利益を得たのは敵シオニストである」と主張し、「ミドハト氏は内部の改革においても各派間の和解においても積極的で実行力のある幹部の1人であったため、国民的な損失である」と述べた。また、パレスチナ各勢力に対しては団結を、治安機関と司法当局に対しては事件の糸口と犯人の早急な究明を訴えた。

 ヒズブッラーも「レバノンとパレスチナの情勢を混乱させるためのシオニストの痕跡」を指摘しつつ事件を非難した。また、自由国民潮流の指導者であるミシェル・アウン中将も事件を非難し、「ミドハト氏は理性的かつ穏健であった」と述べた。カターイブ党政治局も声明で事件と爆破テロを非難し、「今回の犯罪は、パレスチナ情勢において支配的な紛糾状態の必然的な結果である。この状態は、パレスチナ本土での分裂の結果であり、レバノン人とパレスチナ人の安全を弄ぶべく余所者の魔の手が国内に忍び込むことを許している」と述べた。

 ムスタクバル潮流の指導者であるサアド・アル=ハリーリー議員は公式訪問中のロンドンからザキー代表に弔電を送り、バヒーヤ・アル=ハリーリー教育相も事件を非難した。

 ミドハト少将は1951年生まれで、ファタハ運動の古参将校である。故ヤーセル・アラファート大統領と活動し、80年代にファタハの軍事情報部の責任者に任命された。90年代には組織での活動を退いて学問の修得に専念し、政治学の博士号を取得した。パレスチナ人に対して、レバノン内戦期にとられた旧来の政策を再考するよう呼びかけ、それは後に実現することになった。

(後略)

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:16188 )